【ビジネスの極意】IQが高い人が必ずしも成功するわけではない

コンピュータが人間にとって代わる、そんな時代がすぐそこまで来ている、という説がある。AIやロボット技術の進化を見ると、説得力を持っている感じもする。では、そんな時代が来たら、人間はお払い箱になってしまうのだろうか? その時に必要な能力とは何か?
リーダーシップとマネジメントに悩む、マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研から、来たるべき未来のリーダー像を探ろう。

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人工知能時代にリーダーに必要な条件とは?

人工知能が活躍するという時代、リーダーの条件とはなんでしょうか。頭脳明晰であること、性格が良いこと、コミュニケーション能力が優れていること…。
様々な考え方がありますが、実は「今まで必要と言われていたEQ、IQと共にLQが必要になってくる」という説があります。

「IQが高いだけ」で成功できるのか

米ワシントン・ポストの元記者、マルコム・グラッドウェル氏はその著書「Outliers」で、天才と成功する人々について書いています。さまざまな天才たちや、天才たちを追跡した結果について考察をしていますが、非常に興味深いのは、「ただIQが高い天才だからといって、優れたリーダーにならない」という事実の数々です。
言い換えれば、IQが高い人が必ずしも成功するわけではないということです。
例えば、米国で天才児と呼ばれた子供達を追跡してみると、その結果は驚くほど一般人と変わらなかったというものです。

例としてIQが飛び抜けて高い米国人男性のクリス・ランガンという人が出てきます。彼のIQは195で、全米で最高級の知能。かれは幼少期からその天才児ぶりを発揮して、周りを驚かせるのです。日本で言うところの大学入試センター試験であるSATでは、居眠りしながらも満点を取ります[1]。

ところが彼は、奨学金など、さまざまなチャンスを与えられながらも、結局、工事現場や漁業や酒場などの職業を転々としたあげく、現在は農場で働き、合間にクイズ番組の回答者として有名になるにとどまるのです。彼は「自分より知性が高い人にはあったことがない」とも語っており、知的好奇心を失っておらず、読書を続けているのにもかかわらず、です。

IQが高く、さらに成功するためには、なにかが欠けているのだ、と。

ランガンが、世間一般に決して「成功者」と呼ばれるに至らなかった理由は何なのか。

この本ではそこは明記されていません。しかし著者は、彼の家庭環境や、「誰かにものを伝える際のタイミングの悪さ」を指摘しています。大学時代、クリス・ランガンの母親は奨学金の書類の提出を忘れてしまうのですが、彼の家庭環境や母親の性格を考えれば、それは予測できることだったかもしれません。

おそらく、クリス・ランガンに母親の性格を察知し、事前に起きそうなことを予測して助言するだけのコミュニケーション能力があれば、彼は大学を追い出されなくて済んだのではないでしょうか。

また、成功するにはその人を支えてくれる「環境」「コミュニティ」の存在が不可欠であると言います。

EQとはどんなものか

一方、作家・科学ジャーナリストであるダニエル・ゴールマンは、成功するためには、EQと呼ばれる「こころの知能指数」が大事だと提唱しました。彼の説はビジネスパーソンのあいだで大変話題になり、日本でもベストセラーになりました。

EQはEmotional Intelligence Quotientの略。日本では、心の知能指数と言われていて、感情をコントロールするスキルなどを指す言葉です。
対人関係の能力や、好奇心、セルフコントロールなどが重要とされます。

実際に、最近の欧米系の教育システムはすでにこのEQを重視したカリキュラムになりつつあります。
例えばインターナショナル・バカロレア(IB)は、文科省が理想の教育の一つとしてあげるものです。

国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置されました[2]。

IBでは10の学習者像を規定しています。「協力する人」「信念を持つ人」「心を開く人」「思いやりのある人」「バランスの取れた人」などという到達目標があります。学生たちは知識を吸収するだけではなく、グループ学習やボランティアなどを通して、他人との協力の方法を学ぶのです。

これなどはまさにEQ時代の教育手法と言えるでしょう。

ジャック・マーの唱える「成功するリーダーに必要なこと」とは?

IQとEQだけではなく、さらに違う能力が必要だという人たちもいます。

例えば、中国のアリババ(阿里巴巴集団)創業者の馬雲(ジャック・マー)は、今後、成功するリーダーになるためには、EQ、IQに加え、「一歩進めてLQが必要になる」と言います。

劣等生、落第生だったマーは一度は大学進学を諦め、三輪自動車の運転手にまでなりますが、今では大学を卒業し、ハーバードで公演するなど、教育にも一家言もつ人です。

LQのLは、意外なようですが「LOVE」の「L」。LQとは「愛の指数」。ジャックはLQを「機械が決して持つことができないもの」とし、「成功するには、高いEQが必要。簡単に負けたくなければ、IQが必要。しかし尊敬されるためには、LQが必須である」と話しています。

「AQ」が必要になるという人もいる

さらに、技術のスピードが上がる現在、「AQ(Adaptability Quotient)」が必要になるという人も現れました。

AQとは、変化の速い環境についていくための能力です。ゴールドマン・サックスのナタリー・フラット副社長は、スタートアップに投資するにあたってこのAQに興味を持つようになったとTEDで語っています。

彼女によれば、AQとはただ新しい情報を吸収することではありません。関連する問題を解決し、さらには、時代遅れの知識を「アンラーニング(Unlearning)」し、変化に対応する力だというのです。

IQとEQの両方は、私たちのキャリアの成功にとって重要であると考えられています。しかし今日、テクノロジーが私たちの働き方を再定義するにつれて、雇用市場で成功するために必要なスキルも進化しています。ここに適応能力(AQ)を追加しましょう[3]。

人工知能の時代だからこそ、人間性や愛、情熱、適応能力とかいった人間ならではの能力がいよいよ重要になってくるのかもしれません。

【参照】
[1]出典・Outliers:The Story of Success(English Edition)Kindle版 Malcolm Gladwell
[2]出典・文部科学省 IB教育推進コンソーシアムhttps://ibconsortium.mext.go.jp/about-ib/
[3]出典 BBC Is“AQ”more important than intelligence?https://www.bbc.com/worklife/article/20191106-is-aq-more-important-than-intelligence

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いかがだっただろうか。今までSFの世界での出来事だと思っていた、機械との共存を真剣に考え、今までとは違う能力が必要になってくる、ということがおわかりいただけただろうか。

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/

 

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