おいしいと評判をよび、連日、近隣住民でにぎわうレストラン『ヴァイスホルン』は、長野県上田市・丸子中央病院内にあります。腕を振るうのは、異色の経歴を持つ、山田康司シェフです。
「今の日本だからこそ作ることができる家庭料理をここに集めました」
山田シェフは東京大学を中退し、『クイーン・アリス』の石鍋裕シェフの元で「料理人」として一から学び始めました。フランスでの修業を経て料理長としていくつもの店舗の立ち上げを担当した後、「地域のしあわせ創りに貢献する」という丸子中央病院の思いに共感し、2013年より専属シェフとして勤務しています。
健康とおいしさを実現するメニューは多くの人々に支持され、シェフが毎月考案している地元スーパーマーケットとの共同企画「いきいきレシピ」は、厚生労働大臣賞「健康寿命のばそうアワード<生活習慣病予防分野>」の団体部門優秀賞を受賞しました。
その集大成が新刊『日本一おいしい病院レストランの 野菜たっぷり 長生きレシピ』(著/山田康司 1400円 小学館)です。
豊富な食材、便利な調理器具、多様な食文化に囲まれた「今」。
一方で、不健康が切実な問題となり、食事の準備にかけられる時間的、肉体的な余裕も少ない「今」。
私たちが「今」必要とする食の姿が、ここにあります。
「この本は減塩のための本でも低カロリーメニューの本でもありません。食材の味を活かしてバランスよくおいしく食べるための本です。しかしながら、それでこそ減塩につながり、食における健康を具体化するものだと思います」と、山田シェフは語ります。
30年以上前から実践していた、炊飯器調理
今回は、この本の中から、山田シェフが1番におすすめする「豚バラ大根」のレシピを紹介します。
豚バラ大根
【材料】(2~3人分)
1)豚バラ肉(かたまり)※1㎝幅に切る
2)豚スペアリブ ※1と2合わせて250g。どちらか片方のみでもよい。豚バラ肉のみの場合、脂が少なめのもの。
大根 1/2本(500g)※大きめの乱切り
しょうが(すりおろし) 大さじ1/2
中華スープの素、または、鶏がらスープの素(顆粒) 小さじ1
八角 1個
〈キャラメルしょうゆ〉
砂糖 大さじ4
しょうゆ 大さじ1
【作り方】
1.〈キャラメルしょうゆ〉を作る。小鍋に砂糖と水(大さじ2)を入れ中火にかける。色がついてきたら弱火にし、くるみの殻程度の色になったら火を止め、水(大さじ11/2)を加えて温度を下げる。さらにしょうゆを加えて溶かす。※やけどに注意する。
2.炊飯器の内釜に豚肉と1、しょうがと八角を入れ、よく混ぜて、5分ほど置く。
3.2に大根、中華スープの素、水(75cc)を加え、炊き込みご飯モードで炊く。
4.炊飯器のスイッチが切れたら全体をひと混ぜして上下を返し、しばらく置いてから盛り付ける。
「材料がシンプルで手順も簡単ですがおいしくできるのが、豚バラ大根です。用意する食材は豚スペアリブと大根。調味料も多くなく、調理は炊飯器の炊き込みモードで加熱するだけです」
火加減を気にせず楽に作れて、味がよく染みた豚バラ大根。実は炊飯器調理は、山田シェフが自炊していた学生時代にいろいろ試していたことがベースになっているといいます。
普段のおかずや、あと1品欲しいときの副菜、シェフの技が光るオーブン料理やデザートなど、毎日の食卓で実践できる厳選レシピが60品。
さまざまな食材の「味を引き出す」調理の楽しさにぜひ触れてみませんか。
『日本一おいしい病院レストランの 野菜たっぷり 長生きレシピ』
著/山田康司 1400円 小学館https://www.shogakukan.co.jp/books/09310634