取材・文/関屋淳子

2009年、小学館ノンフィクション大賞を受賞した河合香織さん著『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』が映画化。10月20日(土)に全国公開される(※記事末に《特別試写会》のお知らせがあります)

映画の公開を前に、主演の渡辺大さんに、映画の見どころと日本ワインへの想いを聞いた。>>インタビュー動画はこちらから

――主演オファーが来た時の印象はいかがでしたか。

今回の映画は優れた日本ワインを造り出そうという若者たちのトライアルを描いた作品です。私自身も俳優としてはまだまだなので、一緒に飛躍していかれるような作品になればいいな、というモチベーションでした。

――原作はワイン・コンサルタントの麻井宇介さんに影響され、ワイン造りに情熱を傾ける若者たちのノンフィクションですが、原作を読まれた感想はどうでしたか。

主演が決まり、柿崎監督から台本と原作を渡されました。原作を読むと、ワイン造りの現実の厳しさが色濃く描かれていて、それをどこまで映画で伝えられるかという思いになりました。原作者の河合さんはブドウ栽培やワイン造りの知識が豊富なので、なぜこの工程が大変なのか、なぜ日本では優れたワインを造るのが難しいのかということが理論立てて書かれていました。原作を読むことで、演じる際に説得力をもってひとつひとつの場面に臨めたと思います。

――日本ワインには興味があったのですか。

この作品の撮影に入る前は、私自身、日本ワインが美味しいという印象がありませんでした。日本ワインに造詣の深い柿崎監督から薦められて、ワインをいただいてみると、なるほど、こんなに美味しいワインがあるのだなと驚きました。台本を読み、ワイン造りの映画を残すことの大切さを思い、日本のワイン業界を一層盛り上げる役割を担うんだということを強く感じましたね。

映画『ウスケボーイズ』より

――では、撮影中はいろいろなワインを飲まれたのですね。

そうですね。映画の中でもワインを勉強する試飲のシーンが出てきますが、撮影が終わった後でも有志が集い、毎晩のようにワインを飲んでいましたね。10人前後で毎晩5~6本は空けましたよ。私のモデルとなったワイナリーは、山梨県北杜市の『ボー・ペイサージュ』なのですが、ほかにもそれぞれの役者が映画のモデルになった方々のワインを飲み、ワインに対する愛情を育みました。

――『ボー・ペイサージュ』の代表・岡本英史さんとお会いになったのですか。

撮影前に、岡本さんとお会いし、撮影地も岡本さんの畑で行ないました。岡本さんは感情の起伏が激しい人ではなく、自身の世界観を持ち、じっくりと畑に向き合う方。ですので私もあまり感情を表に現わさずに淡々と畑に向き合う姿にしようと。それは情熱がないわけではなく、畑づくりやワイン造りに対して、長い期間ゆっくりと粘り強く傾ける情熱という形を表現できるようにしたいと思いました。

チャップリンの名言に、「人生は間近で見ると悲劇だが俯瞰で見ると喜劇である」とありますが、まさにそうで、主人公の岡村にはいろいろなことが起きますが、それを淡々と、俯瞰で見るような感覚を大切にして演じました。

――主人公の岡村との相違点はありますか。

モデルとなった岡本さんののめり込み方というのはすごいですよね。ワイン造りのゴールがわからないなか、手探りで進んでいった。畑づくりやワイン造りに何年も費やし、一本のワインとなるまでの年月を考えると、映画の仕事とは時間軸が違いますよね。かなりのロングタームのなかで耐えられる精神性、自分がやって来たことを信じられる精神性の強さというのは、とてもまねできないですね。

――この映画の一番の見どころはどこでしょうか。

この映画はワインと醸造家が主役です。映画を見終わった後に、日本ワインに親しみを持っていただければと心から思います。日本の食卓にごくごく普通に日本ワインがあるという文化のスタートになるのでは、と思っていますので、他の映画作品とはちょっと違う意味合いがあると思います。日本のワイン造りへの愛情、日本の風土への愛着が胸に感じるものがあり、海外の方が興味を持ってくださり、マドリード国際映画祭2018での最優秀外国語映画作品賞、アムステルダム国際フィルムメーカー映画祭2018での連続受賞につながったのではないかと思います。

私自身もこの映画がきっかけで、地方に行くとその土地で造られている日本ワインを飲んだり購入するようになりました。ストックも多いですよ。肉料理が好きなので赤ワインを合わせたりと、普段から楽しんでいます。私たち30代はまだまだワインを知らない世代ですので、この映画をきっかけにワイン=美味しい日本ワインをスタートにして飲んでみてほしいですね。

――最後に読者の方にメッセージをお願いします。

日本ワインの文化は始まったばかりなので、この映画を見た方は日本ワインの歴史を同時に歩まれる方です。ぜひ、日本のワインを応援して、日本のワイン文化を盛り上げてほしいと思います。日本ワインは日本の食に合います!ワインを眼で楽しんだあとは、舌で味わってみてください。

日本ワインの常識を覆した革命児たちの物語――。映画『ウスケボーイズ』は10月20日(土)より新宿武蔵野館ほか、全国ロードショー。主演、渡辺大。 出合正幸、内野謙太、竹島由夏、和泉元彌、安達祐実、大鶴義丹、升毅、伊藤つかさ、橋爪功ら豪華キャスト出演。監督は、マドリード国際映画祭最優秀作品賞3年連続受賞に輝く実績を誇る、柿崎ゆうじ。映画公式サイト>> http://usukeboys.jp

《特別試写会のお知らせ》
今回、サライ.jp 読者のために、映画『ウスケボーイズ』の特別試写会が開催されます。当日は、監督の柿崎ゆうじさん、出演者の伊藤つかささん、竹島由夏さんが来場、トークショーを行ないます。この特別試写会に、抽選で20名の方をご招待します。ふるってご応募ください。

●日時:10月5日(金) 18時開場、18時30分スタート
 ※試写後、トークショー、懇親会。21時30分頃閉会予定。参加費無料。
●会場:東京・神保町のイベントホール
 ※当選された方には詳細をお伝えします。会場までの交通費は各自ご負担いただきます。
●応募締切:9月17日(月)24時
 ※当選された方には、9月22日(土)頃までにご連絡いたします。

※特別試写会へのご応募はこちらから
↓↓↓
http://p.sgkm.jp/1408

【映画をより深く味わえる原作はこちら】
『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』
(河井香織著、小学館刊)
※小学館文庫版が2018年10月5日に発売予定です。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09406570

【特報】
10月23日発売のサライムック『美味サライ』は「日本ワインを究める」と題して日本ワインを大特集します。

今回の美味サライでは、世界中でブームとなっている新たなワイン「オレンジワイン」をはじめ、高品質な日本ワインを醸造するワイナリーに焦点を当て、数ある日本ワインの中から今のむべき逸品を厳選。気鋭の醸造家や秘めたる味わいなどを深掘りします。

さらに、珠玉の日本ワインと料理の新たな楽しみ方を提案する和洋の飲食店も取り上げ、日本国内のみならず世界からも注目を集める日本ワインの魅力を徹底案内します。

紹介している日本ワインの中には、すでに入手困難になりつつある銘柄もあります。人気先取りの購入ガイドとして役立つこと間違いなし。ぜひご期待ください。

詳しくはこちら
↓↓↓
https://www.shogakukan.co.jp/books/09104237

取材・文/関屋淳子
写真撮影/小倉雄一郎(本誌)

>>今回のインタビュー動画はこちらから

 

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