18世紀ヨーロッパで始まったとされる近代サーカスは、幕末に日本へ渡来し、現代に至るまで多くの人々を魅了してきました。

旅芸人たちが作り上げる非日常的な華やかさや賑やかさ、また彼らが同時に背負う悲哀や苦悩といった魅力は、多くの芸術家の創作意欲をかきたて、サーカスや道化師を題材としたさまざまな作品は世界各地に存在します。

マリー・ローランサン《サーカスにて》1913年頃 名古屋市美術館蔵
川西英《サーカス(曲馬)》1928年 神戸市立博物館蔵

岡山県立美術館で開催の「サーカス! ~ようこそ夢の世界へ~」は、サーカスの歴史と魅力を、美術作品を通して紹介する展覧会です。世界三大サーカスと呼ばれる木下大サーカスの公演が、拠点とする岡山で4年ぶりに行われることを機に企画されました。(8月1日~9月23日)

歌川芳虎《大坂下り軽業太夫早竹虎吉》1857年 国立民族学博物館蔵

本展の見どころを、岡山県立美術館の学芸員、橘凛さんにうかがいました。

「本展は、岡山に拠点を置き活動する木下大サーカスの岡山公演(6月27日~9月27日)を機に企画した、当館の独自企画です。

「サーカス」というテーマで企画を立ち上げられたのは、サーカスというテーマに取り組んだ作家が世界各地に存在すること、また国吉康雄や竹久夢二といった岡山出身の近代の画家たちが、サーカスや道化師を題材とする作品を残しているからに他なりません。

国吉康雄《ミスターエース》1952年 福武コレクション

木下サーカスは明治37(1904)年以降岡山での公演を続けていますが、本展出品作の児島虎次郎《木下サーカス(2)》が端的に示すように、本県出身の作家たちへの刺激となったことでしょう。

児島虎次郎《木下サーカス(2)》
1917年頃 高梁市成羽美術館蔵

本展では、サーカスや道化師をテーマに連作を残したシャガールとルオーを皮切りに、日本のサーカスの歴史をたどることのできる作品、そこから生み出された多種多様な作品を一挙にご紹介します。

ジョルジュ・ルオー《マドレーヌ》1956年 パナソニック汐留美術館蔵

近代サーカスは18世紀の誕生以降、時代や地域に合わせて演出と演目を加えて発展しており、この新しい題材に近代の作家たちがどのようにアプローチしたのか、ご覧いただければ幸いです。

また酒井敦美氏が本展のために制作した体験型作品「光の切り絵」が特別出品されるほか、当館ボランティアによる対話型鑑賞体験ツアーも実施しますので、どうぞお気軽にご来場ください」

創立124年を迎える木下大サーカス所蔵の歴代ポスターや衣装も展観、サーカスの歴史をより深く知ることができます。ぜひ会場に足をお運びください。

【開催要項】
サーカス! ~ようこそ夢の世界へ~
会期:2026年8月1日(土)~9月23日(水・祝)
   前期8月1日~8月23日 後期8月25日~9月23日
   ※会期中一部展示替えあり
会場:岡山県立美術館
住所:岡山県岡山市北区天神町8-48
電話:086・225・4800
公式サイト:https://okayama-kenbi.info/
開館時間:9時~17時、8月29日(土)・9月19日(土)は~19時
     いずれも入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(ただし8月10日、9月21日は開館)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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