
海と山に挟まれた頭ヶ島集落の中心に立つ頭ヶ島天主堂。大正8年(1919)竣工、重要文化財。●住所:長崎県南松浦郡新上五島町友住郷頭ヶ島638 電話:095・823・7650(長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター) 開館時間:9時~17時(教会行事により見学不可の場合あり)(※) 定休日:不定 交通アクセス:西肥バス頭ヶ島教会停留所から徒歩約5分
※「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター」公式サイトより2日前までに事前連絡が必要。
五島列島の教会堂巡りの最後は、中通島と橋でつながる、周囲約8㎞の頭ヶ島を訪ねる。島の北部の海岸近く、背後の山に抱かれるように頭ヶ島の集落がある。江戸時代末期、無人島だったこの島に、中通島のキリスト教信者たちが迫害を逃れて住みつき、一丸となってこの地を開拓し、仏教信者を装って信仰を守り抜いたという。明治になって着工したのが石造りの頭ヶ島天主堂。設計施工したのは、鉄川与助である。
解説の山田さんによれば、用いられている石は頭ヶ島とその周辺に広く分布する砂岩で五島石と呼ばれ、長崎の居留地やオランダ坂を彩る石畳としても用いられているという。天主堂の外壁は五島石を荒々しく加工した仕上げになっており、背面にはいちど開けた窓枠を石で塞いだ跡がある。
頭ヶ島天主堂の内部は、天井から壁面にかけて施された淡い色調の花のレリーフが堂内を彩っている。この島で潜伏していた信徒たちは厳しい環境に耐えながら、心の中に信仰という美しい花を抱き続けたのかもしれない。

外壁は下3段を基礎石、その上部を軒先まで化粧石とする。加工の度合いや石の色味に変化をもたせ、色彩豊かな印象を与えている。

背面には、半円アーチの窓を設けた後に石で塞いだ跡がある。ステンドグラスをはめる計画を途中で変更したとみられる。

内部は一室。左右の軒位置から梁をはね出し、二重のアーチで受け止める構造。天井などに花模様が施された。

解説 山田由香里さん(長崎総合科学大学教授)

取材・文/藪内成基 撮影/松隈直樹
※『サライ』2026年7月号より












