人生百年時代と言われるようになり、50代からでも投資は決して遅いものではなくなりました。政府もNISA(少額投資非課税制度)などで国民の投資を後押ししています。

NISAを活用して、つみたて投資枠で毎月こつこつ積み立てている方は急増しています。しかし、成長投資枠を使って個別銘柄の株を購入している人はそれほど多くはないかもしれません。

そこで、参考にしたいのが、『投資初心者の僕がプロたちから学んだ、正しいお金の増やし方』(徳間書店)です。元TBSアナウンサーで、アメリカで起業するなど、ビジネスの世界でも活躍する国山ハセンさんが、投資初心者だったご自身の体験も交えて、投資のイロハについて、わかりやすくまとめた一冊。

今回は、国山ハセン著『資初心者の僕がプロたちから学んだ、正しいお金の増やし方』(徳間書店)の中から、「個別株投資のマインドセット」を紹介します。

世界が違って見える「カラーバス効果」の魔法

投資の鉄則は「長期・分散・低コスト」。この3大鉄則にくわえて「早期」、つまり早く始めることも重要だとお伝えしました。

投資信託では、「世界経済は長期的に右肩上がりで成長するのだから、早く始めたほうがいい」という理屈でした。では、個別株で早く始めるメリットは何か。それを教えてくれたのが、元ゴールドマン・サックスの田中渓さんでした。キーワードは、「カラーバス効果」です。

カラーバス効果とは、意識したものが目に入りやすくなる現象のこと。たとえば、テレビで「今日のラッキーカラーは青」と聞いた日、街中の“青いもの”ばかりが気になる。これが、カラーバス効果です。

投資でも同じ現象が起きます。ある文房具メーカーの株を買うと、そのメーカーに関する情報が自然と目に入ってくるようになります。

「このメーカーは若者に人気なのか」「海外の観光客が日本の高機能ペンをお土産として買っていくのか」「競合メーカーの新商品の売れ行きは?」──こうした情報に、自然とアンテナが立つのです。

つまり、世界そのものは何も変わっていないのに、「自分が何を持っているか」で景色がガラッと変わる。

この感覚には心当たりがあります。僕の個別株投資はAppleやNIKE からスタートしました。正直、深く考えたのではなく、「自分が使っているから」「製品が好きだから」といった軽い気持ちで買ってみました。それでも、初めて株を買った瞬間から情報の受け取り方が変わったのです。

流し見していた経済ニュースが「自分の未来に直結する情報」に変わり、興味がなかった投資コラムにも自然と目がとまる。株価の値動きにも敏感になり、「なぜ上下したのか」を調べるようになったのです。

1株でもいい。ほんの少額でもいい。実際にお金を投じた瞬間、経済ニュースや街の景色から得られる情報の質が変わります。この感覚を早く体験すればするほど、投資の知識とスキルが早く身につくのです。

投資を始めるのに、「完璧な知識」は必要ありません。まずは少額で一歩を踏み出す。その瞬間から、あなたの情報アンテナが変わります。

長期投資のための「ホールド力」

株式投資の鉄則の1つに「長期投資」があります。

長期投資とは、短期的な値動きに左右されず、企業の成長とともに数年単位で資産を育てていく考え方のこと。投資の世界では、これが“王道中の王道”と言われています。

しかし、王道ではあるものの、実際に続けるのは簡単ではありません。なぜなら、株価が下がったときに冷静でいられる人はそう多くないから。くわえて、「それでもこの企業の価値は変わっていない」とブレずに判断し続けるには、強い根拠が必要です。この「下時に手放さない力」こそ、長期投資を成功させるうえでもっとも重要な“ホールド力”なのです。

僕自身も、ホールド力の大切さを痛感する失敗を経験しました。

ある専門家の方から「この銘柄はおすすめですよ」と教えられ、いくつかの個別株を買ってみたことがあります。その1つが、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの株でした。

ところが、株価は思うように上がらず、むしろ下がる一方。「こんなに下がってどうしよう……」と焦る一方でした。

この経験から学んだのは、他人の意見だけを頼りにした投資では、下落したときにメンタルがもたないということです。株価が下がり始めたとき、僕の頭の中にあったのは「○○さんが言っていたから大丈夫」という他人任せの根拠だけ。それでは、株価が下がったときに「なぜこの株を持ち続けるべきか」を自分に説明できないのです。

応援したい思いが平常心をもたらす

一方で、僕にとってTeslaは違います。Teslaの株価はディズニーランドにあるビッグサンダー・マウンテンよりも激しく上下しますが、いくら下がっても動揺しません。その理由は、僕自身がTeslaという企業の未来を確信しているからです。

CEOのイーロン・マスク氏のビジョンに共感している。EVと自動運転技術が未来を変えると考えている。だから、一時的に株価が下がっても「これは調整局面だ」「むしろ買い時だ! ラッキー!」と判断できる。

誰かが「良い」と言っていたから買った株は、少し値下がりしただけで不安になります。一方で、自分が納得して選んだ企業なら、下落しても保有し続ける判断ができる。この違いが、長期投資を続けられるかどうかの分かれ目です。

長期投資とは、「納得して時間を味方につける投資」だと思います。そして、その納得感を支えるのは、他人の意見ではなく、自分自身の理解と判断です。好きで、応援したいと思える企業に出合えたとき、はじめて真のホールド力が身につくのです。

※投資にはリスクがつきものです。自己責任において無理のない範囲で行いましょう。本記事は、特定の銘柄株をお勧めするものではありません。

*  *  *

 投資初心者の僕がプロたちから学んだ、正しいお金の増やし方
著/国山ハセン
徳間書店 1,760円(税込)

国山ハセン(くにやま・はせん)
1991年生まれ、東京都出身。中央大学商学部卒業。2013年、TBS テレビに入社。数々の番組でメインMC などを務め、2021年8月からは報道番組『news23』のキャスターも務める。2022年末をもってTBSテレビを退社し、ビジネス映像メディア「PIVOT」に参画。さまざまな動画コンテンツの企画・制作に携わり、なかでもMCを務める『MONEY SKILL SET(マネースキルセット)』『MONEY SKILL SET EXTRA(マネースキルセット・エクストラ)』は資産運用の学びの番組として大きな人気を博している。
2025 年、アメリカでFOX UNION Inc. を立ち上げ、日本発のグローバルメディア「UnKnown」を合わせてローンチ。
著書に『アタマがよくなる「対話力」』(朝日新聞出版)がある。
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Instagram https://www.instagram.com/hasen_kuniyama/
YouTube https://www.youtube.com/@hasen_ch

 

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