資産形成に投資を取り入れるということの最大の目的は、「運用益」を得るということです。もちろん投資にはリスクがありますので、「運用益」は常に保証されているわけではありませんが、長期分散投資することで、リスクを軽減しながら、NISA(少額投資非課税制度)の非課税効果を利用して、資金を効率よく育てていきたいところです。

そこで今回は、そもそも「運用益」とはどのようなものなのか? 将来予測される運用益累計の計算方法や、いつ運用益を現金化するのかなどについて詳しくみていきましょう。

100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。

目次
NISAの運用益とは
NISAの運用益の計算方法
NISAの運用益はいつもらえる?
まとめ

NISAの運用益とは

運用益とは、投資した資産が増加した際に生じる利益や配当のことを言います。NISA制度において、扱われている金融商品とは大まかに株式と投資信託ですが、運用益はキャピタルゲインとインカムゲインという2種類に分類することができ、その運用益は全額非課税で受け取ることができます。

<キャピタルゲインとは?>

キャピタルゲインとは、株式や投資信託そのものが値上がりして売却した際に得られる利益です。株式であれば株価が、投資信託であれば基準価格が上昇した分、売却をすることで投資元本よりも多く受け取れた部分が、投資で得られたキャピタルゲイン(元本値上がり益)となります。

<インカムゲインとは?>

インカムゲインとは、資産の保有中に継続的に得られる「現金収入」のことです。株式では「配当金」、投資信託では「分配金」が該当します。

株式の配当金

株式の配当金は株式を保有している間、定期的に現金で受け取ることが出来ます。しかし、配当金を出さない企業があったり、配当金がある企業でもその時の業績によって金額が変動したりします。

投資信託の分配金

投資信託の分配金はファンドを保有している間、定期的に現金で受け取るケースと、受け取らずに投資元本に組み入れて再投資するケースがあり、どちらかを選択することが可能です。たとえば、毎月現金収入が欲しい場合には分配金の受け取り方法は、「現金受取」を選択すると良いでしょう。

ただし、投資信託には分配金が出るファンドと出ないファンドがあることや、特別分配金(元本払戻金であり利益の一部ではない)となるケースもあることは覚えておきましょう。

キャピタルゲインにせよ、インカムゲインにせよ、NISA口座で得られた運用益に対して課税されないのがNISAのメリットです。とくに複利で長期投資する場合には税金を引かれずに運用益全額を投資できることから、その効果は大きなものとなります。

NISAの運用益の計算方法

将来予測される運用益の累計は、どのように計算したら良いのでしょうか? 自分のライフプランを作り、投資可能額や積立可能額を把握した上で「いくら準備できるのか?」という視点でシミュレーションをしていく場合、その計算方法は知っておくと良いでしょう。

NISAには、成長投資枠とつみたて投資枠がありますが、購入方法は一括で金融商品を購入して運用する場合と、毎月一定額分を積立購入して運用する場合の大きく分けて2つのパターンに分けられます。成長投資枠では、一括購入か積立設定をして購入するかを選択できます。

つみたて投資枠では、基本的には毎月の積立設定をして購入していきますが、ボーナス時に金額を増やすことも可能です。ここでは「一括購入して運用する場合」と「積立ながら運用していく場合」の将来予測される運用益の累計について、具体的なシミュレーションの方法を見ていきましょう。

一括購入して運用する場合

成長投資枠で、投資信託を一括購入して運用する場合の運用益は、次の式で計算できます。

将来の評価額=元本 ×(1+利回り)t ※tは投資年数

例えば、平均利回り5%のポートフォリオで投資信託を成長投資枠で240万円購入し、20年間運用した場合
将来の評価額=240万円×(1+0.05)20=6,379,140円 ※投資年数を20乗する

となります。

積み立てながら運用する場合

積み立てながら運用する場合は計算式が複雑となりますので、資産運用のシミュレーションができる計算サイトなどを利用すると良いでしょう。金融庁のホームページにも、「資産運用シミュレーション」のページ(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html)があります。

<図表1>は、例えば、平均利回り5%のポートフォリオで、毎月5万円ずつ投資信託を購入して30年間積み立てたケースでシミュレーションした結果です。

<図表1>資産運用シミュレーション

(出典:金融庁ホームページ「資産運用シミュレーション」資産運用シミュレーション : 金融庁 (fsa.go.jp)より抜粋)

NISAの運用益はいつもらえる?

はじめの項で、キャピタルゲインは売却時、インカムゲインは保有している間、定期的に受け取ると説明いたしましたがもう少し詳しくみていきましょう。

<売却時に受け取る>

運用益を売却時に受け取る場合、そのタイミングが気になるところです。売却するタイミングは、前回【NISAを売却するには? タイミングや再投資する方法を解説】(https://serai.jp/living/1178226)でも説明いたしましたが、教育資金や住宅資金のように「目的の資金として使う時」をあらかじめ決めておき、その際に売却して運用益を元本と併せて受け取ることが考えられます。

旧NISA制度では、非課税投資期間が決まっていたため、期限が来た時にいったん売却して運用益を受け取るかどうか検討するかもしれません。しかし、NISA口座で得た運用益を継続して、特定口座などの課税口座で保有し続けることも可能です。一方で新NISA制度では、非課税期間の期限が無くなりましたので、「目的の資金として使う時」にいつでも気軽に売却して運用益を受け取ることができます。

<保有期間中に受け取る>

株式の配当金

株式の配当金や投資信託の分配金は、保有している間に定期的に現金で受け取ります。株式の配当金は、決算のタイミングで支払われるので、本決算で1回または本決算と中間決算で2回といったように、受け取る回数は企業によって異なります。

投資信託の分配金

投資信託の分配金には、「毎月分配型」や「年2回決算型」などがあり、ファンドによって異なります。ただし、特別分配金となるケースもあるため、分配金がすべて運用益ではないことは理解しておきましょう。また、分配金を再投資する場合、「普通分配金」はNISAの投資枠を消化しますので注意が必要です。

まとめ

今回は、NISAの「運用益」についてみてきましたが、いかがだったでしょうか? NISA口座では運用益は非課税ですのでそのメリットを活かして将来のための資金作りをしていきましょう。

NISAは、資産運用する人にとって必須アイテムと言えますが、投資にはリスクがあります。ルールを理解した上で、非課税のメリットを生かすために上手にNISAを活用していきましょう。

資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行なわれています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか? 

さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。

●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)

株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com

●編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB

 

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