取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

レゾンデートル株式会社では、「婚外恋愛」をテーマにした実態調査を実施(実施日2023年6月30日~2023年7月7日、有効回答数:30~59歳の既婚男女1,000人(男性500人、女性500人)、インターネット調査)。既婚男性3人に1人(33.0%)、既婚女性6人に1人(16.1%)に「婚外恋愛」の経験があることが判明した。特に年収1000万円超世帯の既婚者(176人)では割合がさらにアップし、40.3%(71人)が「経験あり」という結果になった。

今回お話を伺った亜美さん(仮名・42歳)は現在夫と小学生の子どもとの3人暮らし。亜美さんは不倫問題に悩まされているが、当事者は夫ではなく、義弟。義弟夫婦や義両親の問題に巻き込まれて、仕事をやめている。

母は情緒不安定。その原因は、父の不倫だった

亜美さんは埼玉県出身で、両親と2歳下に妹のいる4人家族。小さい頃に覚えているのは母親の泣き声。父親は遅くに帰って来ることが多かったが、それでも休日には亜美さんや妹とよく遊んでくれていた。そんな優しい父親の不倫が原因で母親は泣いていたという。

「父の不倫を知ったのは高校生のとき。それまでは深夜に声を殺して泣く母親を何度も見ていたのですが、理由を聞いても泣いてないと誤魔化すだけで教えてくれませんでした。何度聞いても教えてくれないと、こちらからも聞かなくなっていった。私たちの前では両親は普通で、ケンカしている様子もなかったから。

だから、母親から日常会話の延長として父親の不倫を伝えられたときはびっくりしました。『お父さん昔不倫をずっとしていてね』という感じでサラッと言いました。両親は離婚をしていないから、もう過去のことなんだとは思いましたが、そこから私は父親とうまく会話ができなくなりました。何か、気持ち悪くて」

父親の過去の不倫は、父親に対しての嫌悪感を抱くきっかけにはなったものの、不倫に対してはそこまで拒否感はなかった。その理由は「不倫があまりにも身近にたくさんあったから」と亜美さんは振り返る。

「大学を卒業して就職してから、友人が既婚男性と不倫をしたり、職場でみんなに周知されている不倫カップルがいたりと、不倫は身近に普通にありました。

職場での不倫カップルは噂で聞くぐらいなんですが、友人の話は生々しかったです。友人もまるで悪びれることなく、普通の恋愛のように私に相談してくるから、私も普通に聞いてしまっていました。『他の友だちから反対ばかりされているから、亜美ちゃんは味方になってくれて嬉しい』と言われ、いつからか友人から不倫容認派に分類されていたほど、否定はしていなかったみたいです。『頑張れ!』など応援はしていなかったはずなんですけどね」

【不倫リスクの少ない男性と結婚したものの、義弟の不倫騒動に巻き込まれる。次ページに続きます】

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