夏の「土用の丑の日」。その言葉を聞くと、鰻を食べたくなる人も多いのではないでしょうか。実は鰻の旬は冬。では夏に鰻を食べる習慣はいつ始まったのでしょう? 古くは『万葉集』にて「夏痩せにはうなぎが良い」と詠んだ歌があります。ビタミンAなど豊富な栄養素を持つ鰻は、はるか昔から健康食として認識されていたようです。
一般に鰻が流通し始めたのは、江戸時代。夏の売り上げが伸びないことに悩んでいた鰻屋が、当時の「丑の日は、梅干しやうどんなど、うのつくものを食べるといい」という風習を参考に「本日土用の丑の日」という張り紙を店頭に出したところ、大繁盛。それ以来、夏に鰻を食べる習慣が定着しました。
優雅なひとときを過ごせるレストランを厳選して取り扱う宿泊サイト「一休.com」に掲載されているレストランの中から、大人の贅を知り尽くしたサライ.jp読者におすすめしたい「鰻が楽しめるレストラン」を厳選しました。関東と関西の鰻の調理法の違いに着目し、それぞれの鰻が楽しめるレストランをピックアップしています。
利用したいレストランを見つけたら、<一休ボタン>をクリックしてください。「一休.com」でWeb 予約が可能です。
鰻の魅力は何と言っても、食欲をそそる甘辛く香ばしいタレと、口の中でとろける脂の乗った身。その味は多くの人を虜にし、全国各地に名店と呼ばれる鰻料理店が存在します。
1:赤坂ふきぬき本店
情報提供:一休.com
鰻には関東風と関西風があるのをご存知ですか。違いは大きく分けて二点あり、一点目は鰻の開き方。関東風は背開き、関西風は腹開きです。二点目は、焼きの工程。関東風は蒸してから焼き、関西風は蒸さずに焼きます。その結果、関東風はふっくらとした食感に仕上がり、関西風はカリッと香ばしく仕上がります。
『赤坂ふきぬき本店』は、東京にある関東風の鰻が楽しめる名店です。
伝統の江戸前手法
『赤坂ふきぬき本店』の鰻の最大の魅力は「伝統の江戸前手法」。江戸前手法とは、串に刺して背開きしたあと、再び串に刺して蒸し、最後に焼くという代々江戸に伝わる伝統的な調理手法。使用するのは、その日に生きたまま仕入れた鰻。調理は全て熟練した職人が行います。タレは、創業当初から継ぎ足した秘伝のもの。ふっくらと香ばしい仕上がりがなんとも魅力的です。
創業99年の老舗
『赤坂ふきぬき本店』は大正12年創業の歴史ある老舗。関東だけでなく、大阪にも大丸心斎橋店を構えており、関西でも『赤坂ふきぬき』の伝統の江戸前手法による関東風鰻を楽しむことができます。鰻本来の味を堪能できるよう、素材、製法、提供までこだわる姿勢はさることながら、鰻に合う旬の日本酒も全国各地から取り寄せています。
【店舗情報】
予算 昼2,000円〜2,999円/夜8,000円〜9,999円
住所 東京都港区赤坂3-6-11
最寄り駅 東京メトロ千代田線 赤坂駅、東京メトロ各線 溜池山王駅、東京メトロ各線 赤坂見附駅
営業時間 昼11:00~15:00(14:30)/夜17:00~22:00(21:00)
※()内の時間はラストオーダーの時間です。
定休日 なし
おすすめのプランは、「【うなぎ懐石コース】うまき玉子、うなぎ湯葉巻、うな重又はひつまぶしなど全7品」13,000円。
2:麻布しき 本店
情報提供:一休.com
なぜ関東風の鰻は背開き、関西風は腹開きなのでしょう。一説によると、関東では武家文化から、腹開きが切腹を連想させるため背開きに、関西では商人文化から「腹を割って話す」ことが良しとされたため、腹開きになったのだとされています。一方で、蒸してから焼く関東風は、関西風に比べて腹側の身が柔らかくなるため、背側に串を打つために背開きにしたという説もあります。
次にご紹介するのも関東風の鰻を楽しめる名店で、麻布十番で長年愛されてきた歴史ある割烹料理店『麻布しき 本店』です。
特大サイズの国産鰻
『麻布しき 本店』の鰻は毎日厳選して仕入れた特大サイズの国産を、贅沢に330g使用。39年間継ぎ足している秘伝のタレにくぐらせながら、丁寧にふっくらと焼き上げます。蒸し焼きの鰻の柔らかさは、口の中で消えて無くなってしまうほどだとか。注文が入ってから焼き上げるため、早めの注文がおすすめ。最高に美味しい焼きたての瞬間をお楽しみください。
有名人も愛した味
『麻布しき 本店』は、故・志村けんさんも通ったという名店。一見敷居が高いと感じるかもしれませんが、様々なお客様のニーズに応えるため、お土産の注文も可能です。また、鰻を食べられないお客様のために、ふぐや刺身、焼き鳥など、鰻以外のメニューも充実。さらに、料理に合わせて、その日ごとに厳選したワインや日本酒も提供してくれます。
【店舗情報】
予算 昼4,000円〜4,999円/夜8,000円〜9,999円
住所 東京都港区麻布十番3-3-4 サンピアビル3F
最寄り駅 東京メトロ南北線 麻布十番駅、都営地下鉄大江戸線 麻布十番駅
営業時間 【月~日曜日・祝日】昼11:30~14:00/夜17:00~23:00(22:00)
※()内の時間はラストオーダーの時間です。
定休日 なし
おすすめのプランは、「【鰻満喫コース】う巻、肝焼き、うな重等全7品」8,980円。
3:日本料理 梅林
情報提供:一休.com
今でこそ関東風と関西風の違いがある鰻ですが、もともとは関東でも関西風の調理がされていたと言われています。では、なぜ関東では鰻を蒸すようになったのでしょう。ある説では、せっかちな江戸っ子のために、蒸した状態まで調理しておき、仕上げは焼くだけにすることで、提供スピードを上げようとしたのだとか。関東風、最後に紹介するのは横浜にある創業80年を迎える老舗、『日本料理 梅林』です。
新鮮な活うなぎ
横浜市、関内駅からほど近い場所に、『日本料理 梅林』はあります。仕入れは毎朝、店主自ら豊洲市場に足を運び、決して人任せにしません。使う鰻は天然のみ、厳選した食材を使用しています。昼限定の「活うなぎ定食」は、愛知県一色産の鰻を使用。注文を受けてから活きた鰻を割くため、提供まで45分ほどかかります。
朴葉蒸しや心臓酒など名物鰻料理
『日本料理 梅林』の名物は「うなぎの朴葉蒸し」。ふっくらと焼き上げた鰻の蒲焼と、やわらかく炊いたごぼう、それらを秘伝のタレで味付けしたご飯に挟み、朴の葉で包んで蒸しあげた一品です。この料理には、全国にファンがいます。
また、『日本料理 梅林』では「心臓酒」を楽しむことも可能。活きた鰻を割き、動いている状態を日本酒と共に提供してくれる一品です。新鮮な天然鰻を使用しているからこそ出会える料理の数々を、お楽しみください。
【店舗情報】
予算 昼4,000円〜4,999円/夜12,000円〜14,999円
住所 神奈川県横浜市中区吉田町52
最寄り駅 JR線 関内駅、京浜急行線 日ノ出町駅、JR線 桜木町駅
営業時間 【月~土曜日】昼11:30~14:30/夜17:00~22:00 【日曜日】昼11:30~14:30
定休日 なし(お盆・正月の一週間と、豊洲市場が連休の際は除く)
おすすめのプランは、「【季節コース】特選料理・お造り・焼物・うなぎの朴葉蒸しを含む全9品」15,730円。
4:うなぎ四代目菊川 ヒルトンプラザウエスト大阪
情報提供:一休.com
前述したように、関東風と関西風の鰻の食感の違いは、関東風がふんわり、関西風はパリッとしているところです。では味の違いはどうかというと、一度蒸す関東風は比較的あっさり、一気に焼く関西風は脂が乗っている印象です。とはいえ、蒸す時間、焼く時間などはお店によって様々。一概に関東風だから、関西風だから、と説明できない部分もあります。
続いてご紹介するお店は、関東から九州まで店舗を構え、関西風の鰻が楽しめる『うなぎ四代目菊川 ヒルトンプラザウエスト大阪』です。
「パリッ・ふわっ・とろっ」の食感
『うなぎ四代目菊川 ヒルトンプラザウエスト大阪』は、90年続く老舗のうなぎ卸問屋が運営する鰻料理店。歴史ある確かな目利きで、素材を厳選しています。使用する鰻は一般的なものより一回り大きい約300g。焼いても身が縮まず、備長炭の強火にも負けないほど脂が乗っています。職人が短時間で外側をパリッと焼くことで旨みを閉じ込め、中身は脂が広がる「ふわトロ」食感に仕上げます。
捌きたての最高鮮度の鰻
捌きたての鰻は、臭みがなく身がふわふわで、本来の旨みが最大限に生きます。そのため『うなぎ四代目菊川 ヒルトンプラザウエスト大阪』では、注文後に目の前で捌くのです。最高鮮度の出来立てを楽しめる、なんとも贅沢な食べ方。店を代表する「一本重」には「自慢の鰻だからこそ、誤魔化しも妥協も一切許されない、まるごと一本を、ありのままの姿で味わっていただきたい」という強い矜持によるものです。
【店舗情報】
予算 昼4,500円/夜5,000円〜8,000円
住所 大阪府大阪市北区梅田2-2-2 ヒルトンプラザウエストB2F
最寄り駅 大阪メトロ御堂筋線 梅田駅、大阪メトロ谷町線 東梅田駅、JR線 大阪駅、JR線 北新地駅
営業時間 昼11:00~15:00(14:00)/夜17:00~23:00(22:00)
※()内の時間はラストオーダーの時間です。
定休日 施設の休みに準ずる
おすすめのプランは、「【大菊~おおぎく~】うなぎの先付、うなぎのお造、う巻き、うなぎの揚げ出し、ひつまぶしなど全6品」15,000円。
5:葱屋 うなぎ にょろ助 京都先斗町
情報提供:一休.com
腹開きにした鰻を、金串に刺して蒸さずに焼く関西風の焼き方を「地焼き」と呼びます。一方、関東風の焼き方は「江戸焼き」。最後に紹介するのは「地焼き」が自慢の関西風鰻料理店『葱屋 うなぎ にょろ助 京都先斗町』です。こちらも関東をはじめ、仙台、金沢、静岡など数多く出店しており、全国各地で『にょろ助』の関西風鰻を楽しむことができます。
鰻を口いっぱいに頬張る幸せ
『葱屋 うなぎ にょろ助 京都先斗町』では、注文が入ってから鰻を捌き、炭火で焼き上げます。店独自の厳しい基準に基づき、鹿児島や愛知など全国各地から仕入れた新鮮な鰻を使用。「活鰻を仕入れ、捌きたて、焼きたて」が信条で、皮はパリッと香ばしく、身は本来の旨味や脂の乗り、歯ごたえが感じられるように仕上がっています。お米は山形県の「つや姫」を使用。こだわり抜いた食材を用いながらも、破格の値段で「口いっぱいに頬張る幸せ」を感じることができます。
蒲焼と白焼きの豪華鰻重
鰻といえば甘辛いタレで焼いた蒲焼きですが、白焼きも忘れてはいけません。タレをつけない分、鰻本来の旨みが直接口の中に広がります。白焼きは、塩、わさび、しょうゆを少し付けて食べるのが一般的。パリッと焼かれた白焼きを噛んだ瞬間、口の中に鰻の脂と、ほどよい塩味が広がっていく上品な旨みがたまりません。『葱屋 うなぎ にょろ助 京都先斗町』では、蒲焼きと白焼きの両方が乗った豪華な鰻重も楽しめます。
【店舗情報】
予算 昼3,000円〜3,999円/夜4,000円〜4,999円
住所 京都府京都市中京区下樵木町201-4
最寄り駅 阪急電鉄京都本線 京都河原町駅
営業時間 昼11:00~15:00/夜17:00~22:00(21:00)
※()内の時間はラストオーダーの時間です。
定休日 なし
おすすめのプランは、「【うな重2尾食べ比べ】」7,590円。
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関東風と関西風の境界線は、静岡県浜松市。浜松は全国的に有名な鰻の産地で、関東風と関西風の鰻料理屋が混在しています。しかし、今回紹介したお店を含め、今では地域に限らず関東風、関西風の鰻を楽しむことができるようになりました。実は、2022年の夏は丑の日が二回(7月23日と8月4日)。この機会に関東風と関西風を食べ比べてみてはいかがでしょうか。
※本記事で紹介したプランの価格はすべて税込です。
※本記事は2022年6月10日(金)時点での情報をもとに作成しています。提供されるサービスの内容は随時、変更になる場合があるため、各プランの詳細をご確認のうえお申し込みください。
情報・写真提供/一休.com
文/伊藤舞(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com
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