とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなったり、汗が止まらなかったり、どうしてこんなに頭が痛いの? など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調があらわれることがあります。

実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか? 私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を漢方の専門家が解説します。

第64回のテーマは、「食欲不振」です。医師の木村眞樹子さんに教えてもらいました。

1.食欲低下や吐き気は更年期症状なの?

和葉さん 52歳女性 主婦の方からご質問を頂きました。

「もともと食べることに興味や関心は高い方なのですが、最近になって食欲不振に悩まされています。常に、胃にモヤモヤとした不快感があり『食べたい』という欲が湧いてきません。夕方になると違和感が強まり、吐き気となってあらわれてくることも。

最近の食事は飲み物や簡単につまめるものを少し食べる程度なので、どんどん痩せていきます。食事をしっかり摂らないとげっそり頬がこけてしまうため、見た目も劣化したと感じています。夫には『骸骨みたいだ』と言われるほどです。

筋肉や体力も落ちてしまうので、日々の気力も湧かず、自分でも屍のようだと感じます。食欲が落ちる原因に心当たりはないのですが、これも更年期の症状でしょうか? 」

ご質問ありがとうございます。きちんと食事を摂れないと肉体的にも精神的にもつらいですよね。和葉さんの場合は吐き気をもよおすということですが、おっしゃる通り更年期が原因の可能性があります。

今回は、更年期に食欲不振が起こる原因と、気軽に行えるケア方法についてご紹介します。

2.食欲不振の原因は急激な女性ホルモンの減少

更年期の食欲不振は、女性ホルモンの急激な減少が原因といわれています。更年期を迎えると、体に様々な不調があらわれますが、食欲不振や吐き気など消化器系の症状もそのひとつです。

女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、卵巣から作られています。しかし、更年期を迎えるとその量が急激に減少します。脳は盛んに「エストロゲンを分泌しなさい」と促しますが、働きが鈍っている卵巣は応じられません。そのため、閉経前後の更年期にはこういった女性ホルモンのバランスの乱れが起きます。

また、更年期世代は人生においても激動の時期です。夫の定年退職や子どもの自立、親の介護問題など悩みは山積みで、精神的なストレスが一気に覆いかぶさるようにやってきます。こういった生活の変化も食欲不振の一因になります。

3.食欲不振を改善する3つの方法

更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。

ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。そこで次に、簡単に行える食欲不振のセルフケア方法についてご紹介します。

3-1.生活習慣を見直す

普段の生活リズムを見直すことも、食欲不振の解決のきっかけになります。

・睡眠
質のよい睡眠は腸管機能の働きをアップさせます。深い睡眠によってホルモンバランスが整いやすくなり、消化器の改善にも役立ちます。

・入浴
体を温めることで腸管機能が活発になります。就寝から1~2時間前に、38~40℃くらいのお湯に15分ほど入りましょう。体を芯から温め、消化器の働きを良くしてくれます。毎日同じ時間に入ることでリズムを整えやすくなります。

・運動
更年期世代が陥りがちな運動不足も、食欲不振の原因となります。ウォーキングやプールでの水中歩行など、軽めの有酸素運動で体を動かしましょう。ヨガなどの家で行える運動もおすすめです。筋肉を動かすことで体力の維持、脂肪代謝の促進を行えるため一石二鳥です。

3-2.食事を変えてみる

食事メニューの改善を行うと、つらい更年期の症状もある程度和らぐことがあります。

・トマト
抗酸化作用の強いリコピンを始め、グルタミン酸はストレス緩和、消化力の低下の改善にも役立ちます。

・大豆
大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンと似た作用があるため、エストロゲン不足の更年期女性に最適です。

・ブロッコリー
ブロッコリーに含まれるスルフォラファンは酵素の生成を促す作用があり、解毒力や抗酸化作用を高めます。

3-3.漢方で食欲不振の改善をめざす

「食欲不振を根本から改善したい」
「胃薬には頼りたくない」

そんな方に最適なのが、医薬品としても効果が認証されている漢方薬です。胃の血流をよくしたり、消化機能を根本から改善させたりする漢方薬は、内科での治療にも使われています。

漢方薬を構成する原料は、自然にある植物や鉱物などの「生薬」です。 一般的には西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。

漢方薬がめざしているのは苦痛からの一時的な逃避ではなく、症状の根本的な解決です。体質の改善に働きかけることのできる漢方薬は、「つらい症状を繰り返したくない」という思いに応えてくれます。

「食事改善や運動を毎日続けるのは大変」という方も、症状や体質に合った漢方薬をとり入れるだけなので、手間なく気軽に続けられます。

食欲不振に悩む方におすすめの漢方薬

・加味逍遥散(かみしょうようさん):更年期症状に用いられる代表的な漢方薬で、中高年女性の神経症状に用いられます。便秘症状などにも処方されます。

・加味帰脾湯(かみきひとう):消化器の働きを助けます。精神不安などの神経症状にも使われます。

漢方薬を選ぶ際には自分の体質に合ったものを選択しましょう。

漢方薬は相性が重要で、体質に合わない場合、効果が出ないだけでなく副作用が起こることもあります。ぜひ漢方に精通した医師や薬剤師等にご相談ください。

「でも漢方薬って高いから……」とお財布が心配な方には、医薬品の漢方薬がおすすめです。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような注目サービスも登場しています。

AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、漢方のプロフェッショナルが適切な漢方を選んでくれます。お得な価格で郵送してくれるため、使いやすさも評判です。

4.食欲不振を改善して健やかな人生を送ろう!

食欲不振は、今回ご紹介したセルフケアや漢方薬で改善をめざせます。食事は人生の大きな楽しみのひとつです。きちんと悩みを解決して、おいしいものを気兼ねなく食べられる毎日を送りましょう!

<この記事を書いた人>


医師 木村 眞樹子
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットを活かしつつ漢方の処方も行う。また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。

記事内に登場した「あんしん漢方」とは?
「お手頃価格で不調を改善したい」「副作用が心配」というお悩みをお持ちの方のために、医薬品の漢方を、スマホひとつでご自宅にお届けするサービスです。AI(人工知能)を活用し、漢方のプロが最適な漢方を選別。オンラインでいつでも「個別相談」可能。しかも「お手頃価格で」ご提供。相談は無料。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)

 

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