写真・文/矢崎海里
9月1日は過去に関東大震災が発生したことから、「防災の日」に制定されています。
ここ数年、日本各地で自然災害が発生しており、いつ自分の身に降りかかってくるかわかりません。この機会に災害時の備えや対処法について考えてみてはいかがでしょうか。
今回は災害時の食事のポイントや、ローリングストック法を生かした災害時に使える料理レシピをご紹介します。
災害時の食事のポイント
一番重要なのは水分
災害時に一番大切なのは水です。人間は食べものがなくても、水と十分な睡眠がとれていれば、2〜3週間は生きていられるといわれています。水分不足になると、脱水症状や便秘、エコノミークラス症候群などにも繋がります。
また食事量が減ると、摂取水分量も合わせて減少するほか、整備されていないトイレになるべく行かなくていいようにと水分を控えることでも、脱水症状を引き起こしやすくなります。災害時は意識して水分をしっかりとるようにしましょう。
次にエネルギー補給を
まずはエネルギー(カロリー)補給、次にたんぱく質などの栄養素を中心に補いましょう。
避難所では、エネルギーやたんぱく質不足が問題視されている調査報告もあります。
日頃から食べ慣れた食品を中心に非常食を準備しておくこと、ビタミン強化のお米や野菜ジュース、栄養機能食品なども備蓄に向いています。
食中毒にも注意
衛生状態の悪化による食中毒や感染症にも注意が必要です。
お皿にはラップをしいて洗い物を減らす、食品はしっかり火を通すなどの対策が有効です。
断水に備えてウェットティッシュやアルコール消毒液も常備しておきましょう。
ローリングストックを生かした災害時にオススメの料理
最近注目されているのが「ローリングストック」と呼ばれる備蓄法です。缶詰やジュースなどを賞味期限の早いものから使用し、使った分を補充することで、日常で食糧を消費しながら備蓄できます。
ここからはサバ缶、トマト缶、野菜ジュースを使った、災害時にガスコンロで調理するレシピを2品ご紹介します。
湯煎調理をするため、ポリ袋は耐熱性の「高密度ポリエチレン(HDPE)」製を使用して下さい。
また直接鍋底に触れないよう、耐熱皿を入れて調理しましょう。
野菜ジュースでミネストローネ
野菜ジュースを使って、ミネストローネが簡単に作れます。
【材料】(2人分)
ニンジン 1/4本
ジャガイモ 小1個
タマネギ 1/4個
野菜ジュース(食塩無添加) 200ml
顆粒コンソメ 小さじ1
エネルギー:84kcal
食塩相当量:0.7g
【作り方】
1.ニンジン、ジャガイモ、タマネギはそれぞれ小さめの角切りにする。
2.ポリ袋に1と野菜ジュース、顆粒コンソメを加え、軽く混ぜる。
3.空気を抜きながら口をしっかり縛り、沸騰したお湯に入れ、30分弱火で加熱する。
4.うつわに盛り、完成。
野菜ジュースは常温で日持ちするので、常備しやすいのがポイントです。
最近では長期保存ができる非常食用の野菜ジュースも販売されています。
災害時の野菜不足も問題視されているので、手軽に補える野菜ジュースを上手に活用しましょう。
火が通りにくい野菜は、なるべく細かく切ることで加熱時間を短くしています。ニンジン、タマネギ、ジャガイモは常温保存が可能で、いろいろな料理に使えるので、備蓄しておくと便利です。
トマト缶&サバ缶のカレーライス
常温で保存しているトマト缶やサバ缶を使った短時間でできるカレーです。
【材料】(2人分)
カットトマト缶 200g
サバ味噌煮缶 170g
カレールウ 2かけ
ごはん 2人分
エネルギー:630kcal
食塩相当量:3.6g
【作り方】
1.ポリ袋にカットトマト缶、サバ味噌煮缶、カレールウを入れる。
2.空気を抜きながら口をしっかり縛り、沸騰したお湯に入れ、15分弱火で加熱する。
3.ごはんをよそったうつわに盛りつけ、完成。
このカレーは短い加熱時間で作れるのがポイント。
今回は湯煎で調理しましたが、電子レンジ調理も可能です。耐熱容器に入れてふんわりラップをして、600Wの電子レンジで4分加熱して下さい。
ごはんも湯煎調理が可能です。生米1合と水1カップをポリ袋に入れて、浸水させてから湯煎で20分加熱します。
火を止めた後10分蒸らせば、ごはんを炊くことができます。
* * *
日本では自然災害がいつ現実のものになるかわかりません。他人事でなく、自分事として、日頃から備えておきましょう。食事面だけでなく、防災グッズの見直し、家具の固定、避難場所の確認などもしておくことをおすすめします。
文/矢崎海里(やざき・かいり)
管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。おいしく食べて健康になれるごはんを研究中。