抱っこひもは 、赤ちゃんがいるご家族で日々使用される物ですが、その使用時に「ヒヤリ! 」「ハッ! 」と、危険を感じる時があります。お孫さんのお世話をする時にも、そんなご経験がないでしょうか。
日本国内で、抱っこひもの安全な使い方や事故事例の共有などを行う任意団体、抱っこひも安全協議会(www.dakkohimo.jp)が、「抱っこひもの安全な使用に関する調査」を実施し、抱っこひもの事故・ヒヤリハット事例を調べたので、ご紹介します。
3,726 件の回答がよせられ、「抱っこひもを使用しての自転車の運転」の他、「コロナウイルスの影響」に関する質問をしています。どんな時に危険を感じたのか、何に注意が必要なのか詳しく見ていきましょう。お孫さんの安全を守るために参考となりますので、ぜひご覧ください。
■事故・ヒヤリハット時の状況
抱っこひもでの事故・ヒヤリハット経験は20%の使用者が経験しています。ヒヤリハット経験時の使用状態は「対面抱っこ」72%が高く、「おんぶ」の使用時にも高い結果となっていました。危険としては抱っこひもからの「落下」(76%)が圧倒的に高く、「乗せ降ろし」の時に経験する危険が多いと言えます。
- 第3位 かがんだ時(20%)子どもの仰け反り等が同時に起こりヒヤリとする
- 第2位 歩行中(21%)装着ミスによるすり抜け、仰け反り等の行動でヒヤリとする
- 第1位 乗せ降ろし(41%)バックルを留める事に意識が移り、子どものバランスが崩れたと同時に、仰け反りやすり抜けも起こりそうになりヒヤリとする
これらの例も「抱っこひもの使用方法」や「子どもの成長」から、避けることは難しい事象です。だからこそ、ヒヤリハットの危険があることを事前に理解し、注意の意識が広まることで防止することができます。さらに、販売をする側にも周知を継続する努力が望まれるところです。
■抱っこひも使用時の自転車運転について
おんぶをしながら自転車を運転することは可能ですが、抱っこをしての運転は禁止されています。自転車用のチャイルドシートに関しては、1歳から使用できるものしかありません。この現状の中、1歳未満の子どもを「抱っこ」または「おんぶ」するスタイルでの自転車の運転について、利用状況をモニターしています。
「抱っこ」「おんぶ」を合わせて、「自転車に乗ることがある」と回答した方は10%。その利用目的は、外出24%、送迎46%という結果でした。自転車利用者の30%はヒヤリハットを経験しており、転倒や乗り降りの不安定な状況で危険を感じています。「おんぶ」に比べ「抱っこ」が2倍以上、ヒヤリハットの経験が多い結果がでています。自転車を利用する理由は「チャイルドシートが使用できないから」であり、使用者はヒヤリハットを経験しながらも、生活のなかで使用せざるを得ない状況であることが窺えます。
■コロナウイルスの影響について
2020年はコロナウイルス感染症により緊急事態宣言が発出され、全国的に行動が制限された年となりました。この影響が、抱っこひもの使用状況や乳幼児を世話する家族に対して、どのような影響を与えたかを質問しています。
「抱っこひもに対する衛生的ケア」について、約50%の方は何も対処はしなかったという結果でした。外出自体を制限したため、抱っこひもを使用しての対策は特に行わない方も多かったようです。一方で、抱っこひも使用時の飛沫対策は47%の方が行っていました。対策方法は「対面抱っこ」「フードカバー」「タオルで覆う」などでした。
外出自粛期間には、リモートワークや隔日出勤など、家庭で過ごす時間が増えました。その結果、いわゆる夫婦で育児休暇を取得した、というような状況となり、「精神的な余裕」や「コミュニケーションの増加」を得られ、良い経験であったと感じる若い世代が多くいらっしゃいました。乳幼児の世話をする時期に、家事育児を共有することで、わかりあえた夫婦間の絆から、外出自粛期間をプラスの印象として捉えられることに繋がったようです。これは男性の育児休暇取得を促進する機会となるかもしれません。
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抱っこひもは外出だけではなく、屋内での使用も想定される物。つまりベビーカーなどの移動ツールではなく、育児生活に必要なものとして日々使用されていることが確認されました。だからこそ、ヒヤリハットについては、引き続き啓発活動が求められます。継続こそが危険意識の定着を生み、ヒヤリハット体験を減少させる唯一の手段になりそうです。
【調査概要】
実施機関:抱っこひも安全協議会 ホームページ分科会
調査方法:インターネットによるアンケート調査
回答数:3,726件
募集期間 :2020年12月14日から2021年1月15日