その日の状況を的確に把握し、サービスが充分行き届くよう準備を整えるのは、パーサーの腕の見せ所だ。
いつも笑顔を絶やさないパーサーたちだが、その任務はなかなかハードだ。パーサーたちの勤務は、東京~新大阪間の一往復が基本。新大阪で宿泊して翌日東京に戻るというケースもある。1回の乗務で歩く距離は最低でも約800m。一編成の持ち回り号車を二往復する計算だが、多い時には更にもう一往復する。大人の男性の体重ほどもあるワゴンを押しつつ、接客しながら何往復もするのだ。
乗客が何か買いたいなと思っていてもタイミングが合わないということも、よくあるのではないだろうか。
「そのような時は、パーサーが車両から出る際に車両を向いてお辞儀をします。その時に手を挙げていただければ、だいたい気付きます。ぜひ手を挙げていただければと思います」
ワゴンに積まれる商品アイテムは50~60品目。スマートフォンの充電器なども置かれている。中でも季節限定の商品や、車内でしか購入できない限定商品などは人気が高く、まとめて購入していく乗客もいるという。
「伊勢エビ味と塩味のポテトチップスが今は人気です。お薦めしたいのは、新幹線スイーツとコーヒーのセットです。都内の有名店の焼き菓子なんですよ」
季節によって、オーストラリアワインやコーヒーなどのキャンペーンを行なうこともある。 忙しい彼女たちの励みになるのが「ありがとう」の一言だそう。中には、会社にお礼の手紙をくれる乗客もいるのだとか。
「単純なことのようですが、やはり喜んで頂けることが嬉しいから、こんなに長く続けていられるのだと思います」
↑平島さん(中央)と高橋美咲さん(右)、小川美季さん(左)。
新幹線の座席数は1323席。途中駅で乗り降りする人もいるので、延べ人数は更に多い。その中で接する乗客との出会いはまさに一期一会だ。そうしてサービスを提供するひとりひとりとのご縁を大事にしながら、パーサーたちは今日も笑顔で奮闘している。