高知県中央部、須崎市安和の山里に、日本で唯一、この地でしか生育しない「土佐虎斑竹」がある。淡竹の一種で、表面に虎のような模様が入る極めて珍しい竹である。かつては、他所への移植を何度も試みたが、不思議なことに虎の斑紋はきれいに出なかったという。その謎を解明しようと、土佐虎斑竹の名付け親で、日本を代表する高知出身の植物学者・牧野富太郎や、京都大学の研究者などが調べたというが、未だにその理由はわかっていない。
この美しい竹を使った製品作りをいち早く始めたのが、明治27年(1894)創業の「山岸竹材店」(屋号は竹虎)である。同社の4代目・山岸義浩さん(57歳)は、山の所有者と協力して竹林の拡大と保持に努めながら、唯一無二の竹製品を生み出している。その数は都合4000点にも及ぶという。
手間をかけて部材に加工
製造には、じつに多くの手間と時間がかかる。毎年11月~1月に行なう竹の刈り出しに始まり、竹の選別と切断、ガスバーナーでの油抜きに曲がりの矯正。いくつもの工程を経て材料に整えた後、職人の手で製品へと編まれていく。
今回は多彩な商品の中から、日常使いができる品を紹介する。「弁当箱」はサライ用に制作された縦長サイズで、ぴたりと合う蓋は職人の技の賜物。通気性がよく、食材の風味を損なわない。
【今日の逸品】
虎竹四ツ目弁当箱
山岸竹材店
11,880円(消費税込み)