完全室内飼育の猫さんへのメリット
トレーニングのタイミングとしては、おなかがすいている時がいいようです。
「朝ごはんをあげる前など、これからごはんの時間だ♪ と猫が期待をしている時が効果的です」
と、入交先生。お腹がすいているから猫も頑張ります。先生の先代の愛猫さんも、今一緒に暮らしている猫さんも、トレーニングでハイタッチを覚え、おやつの前にハイタッチ、がお約束になっているそうです。
ちなみに、先生の愛猫さんがハイタッチを覚えたのは13歳頃。年齢に関係なく、覚えることができるそうです。
猫は人との関わりが大好きだし、学ぶことも大好き。大好きな人からごはんをもらうのはもっと好き。だから、「美味しい+楽しい」要素のある遊びの感覚で、喜んでトレーニングに参加してくれます。
キャットアジリティーを利用すれば、愛猫さんは飼い主さんとのコミュニケーションを楽しんでくれますし、運動にもなります。室内飼育ですとどうしても運動不足になりがちですが、キャットアジリティーを取り入れることによって、日常的に愛猫さんを運動に誘うことができ、肥満予防、ひいては病気の予防にもなります。
また、猫はもともとハンティングをして獲物を得る動物です。キャットアジリティーで頑張ってひとつの技を決めた時におやつがもらえることは、獲物を得た時と似たような達成感を得ることができます。そうした意味で、猫は精神的な充足感も得られます。
曲芸を教えるようなイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろ、飼い主さんと猫が一緒になって楽しむスポーツのようなもの。
完全室内飼育の愛猫さんの運動不足解消、狩りの達成感が得られてストレス発散にもなり、しなやかで俊敏な猫本来の魅力を維持することができます。飼い主さんに遊んで欲しくてたまらない猫さんにとっては飼い主さんと遊ぶ時間が増えて大満足です。
●入交眞巳さんプロフィール
日本獣医畜産大学(現日本獣医生命科学大学)卒業後、都内の動物病院にて勤務後、米国パデュー大学で学位取得、ジョージア大学付属獣医教育病院獣医行動科レジデント課程を修了。アメリカ獣医行動学専門医の資格を有する。北里大学獣医学部講師、日本獣医生命科学大学獣医学部講師を経て、どうぶつの総合病院・行動診療科主任、日本ヒルズ・コルゲート株式会社の学術アドバイザーを務める。現在も全国の獣医大学にて非常勤として教鞭をとっている。平成31年2月8日『猫が幸せならばそれでいい』(小学館)発売。