介護はやがてやってくる自分の老いの予行練習
――トメさんは基本的にお姉様と2人で介護を担っていた。夫や2人の子どもたちを巻き込まなかったのですね。
はい、主導は私であり、夫も子どももこちらがお願いすれば手伝ってくれていました。夫は山口で生活しており、直接両親の介護には関わっていませんが、常に状況を共有していたのです。
子ども2人は東京に住んでおり、私がぎっくり腰で動けなくなった時に、母の病院の付き添いをしてもらったこともあります。夫も東京に来た時にサポートしてくれていました。
家族にお願いするときは、なんとなく「手伝って」ではなく、親の状況と依頼したい内容とともに伝えていました。実際の親子は阿吽の呼吸もできますが、家族には理由を説明した方がスムーズだと考えたのです。
子どもたちには、もともと、両親が老いていく様子を定期的に会って見せるようにしていました。夫と私も、やがて老いて両親のようになるし、子どもたち自身も何十年後かに同じようになるよって。老いることは生物の宿命ですから。
夫の両親の介護については、夫が主導で、私から余計な口を挟むことはしません。
私たち夫婦は、基本的に、自分の親のことはそれぞれが主導をとり、状況に応じて対応する介護体制でした。お互いに自営業で時間の融通がつきますし、夫の両親は近くに住んでいますから。
ただ、介護は家族によって体制は全く変わります。自分の子ではなく、お嫁さん(家父長制を思わせる嫌な呼び方ですが…)がいいという人もいるでしょう。フルタイムの会社員の場合、夫婦でお互いの親を見る場合もあるでしょう。きょうだいがいる人・いない人、シングルの人、子育て中の人、地元を離れて生活している人…介護はじわじわと始まっており、家族によってケースバイケースで正解はありません。
私の介護マンガシリーズには、さまざまな親子や家族のかたち、多くの方の体験談、専門家の知識を詰め込んでいますので、参考にしてみてください。
トメさんのお話を伺い、親の介護は、やがてやってくる自分の老いの予行練習のようなもの。親の老いに伴走することは、学びと親孝行を同時に行っていることだと感じました。親の老い、そして自分の未来に備え、今からできることを始めたいものです。
お話を伺ったのは……上大岡トメさん

上大岡トメさんの介護3部作

取材・文/前川亜紀











