妹は一番頼りになる存在になっていた

3人で食事をした後から、妹とのLINEが動きだした。一人暮らしになった母親のことを気にかけて妹が定期的に帰省するようになり、母親の様子を逐一報告してくれるようになったからだ。

「妹は実家から新幹線を使わなければいけないほど遠方で暮らしていて、私のほうが実家から車で1時間ほどの距離で近いのに、妹は率先して実家に頻繁に帰省してくれていました。『私は1人で身動きもとりやすいから』と言い、私に対して妹と同じように母親を気にかけることを求めてもきませんでした。私の負担はかなり少なく、妹には頭が上がりません」

コロナ禍になり、妹が勤める企業はリモートワークを導入。そのことをきっかけに妹は実家に戻り、母親と同居を今も続けている。

「自分には妹のような行動力はなかったと思います。昔は一人っ子が良かったなんて思った時期もありましたが、あのときの自分に言いたいです。大人になると妹は家族にとって自分以上に頼りになる存在になっているんだよって。大人になってから思うことは、妹がいてくれて本当に良かったということ。救われたことばかりです」

「小さい頃に妹と良好な関係を作れなかった」と健一さんは振り返っていたが、妹にとって兄は信頼できる相手だと認識されていたからこそ、親のことを相談するような関係が築けているのだと思われる。親よりもきょうだいの付き合いは長くなる。大人になるときょうだいで関わる時間は少しかもしれないが、家族だからこそ少しの時間だけでわかり合うことができるのだろう。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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