塞ぎ込んでいた母親は働けず、23歳の娘が一家の大黒柱に

父親は自営業で、子どもが20歳以上だったこともあり、遺族基礎年金は受け取れず、死亡一時金のみだった。父親は忙しく仕事をしていたものの、塾の経営は苦しく、さらに利益を度外視した金額で外に教えに行っていたので、家にお金はあまり残っていなかったという。

「家は持ち家で、父が亡くなったことで必要がなくなった塾の教室や、姉の部屋、父の部屋などもあり、母親と私が2人で暮らすには大きかったんです。家を手放せば、それなりにお金が入ってくる予定でした。でも、母親が父の思い出が残っている家は手放したくないと。母親はずっと専業主婦でしたし、父が亡くなったことでの不安定なところがまだあったので働きに出れるような状態ではなく、一緒に暮らしている私のお金で生活していました。

姉はしばらくして妊娠していることがわかり、働ける状態ではなかったのですが、姉の旦那さんが月に3万ほど援助してくれることになりました」

そんな苦しい状況は少し改善する。母親の精神面が安定して働きに出ることができたからだ。そのきっかけは、姉の子ども、母親にとっての初孫の誕生だった。

「孫に何かをしてあげたいという気持ちから、母親が元気になったんです。母親は料理が得意だったので、飲食店の開店前の仕込みや掃除の仕事を、まずは週に2~3回のペースで始めました」

外に出たことで母親の交友関係は一気に広がっていき、その中には異性も含まれていた。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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