義母の言葉がやり直そうという気持ちを奪った
すぐに夫を叩き起こし、そこからしばらくお互いに冷静になれなかった期間が続く。美月さんは実家に戻り、そのまま女の子を無事出産。出産直前の時期に実家まで来た義両親と夫に謝罪され、一時は許すことにしたという。
「夫は一人で私の実家に来るのが怖かったんだと思います。義両親を前にして後ろに隠れていました。その義両親に頭を下げられてしまい、こんなタイミングで強く拒否するよりも早く終わらせたいという気持ちが勝って、許してしまいました。そのときはとりあえずという気持ちだったんですけど、子どもが産まれたことを涙して喜んでいた夫を見て、ほだされてしまって。夫婦3人でここからまた頑張っていこうと思いました。あのときは」
子育ての協力は主に美月さんの母親がしてくれたが、今まで一切介入してこなかった義母も定期的に手伝いに足を運んでくれていた。謝罪へのアピールみたいで気持ち悪いと感じたこともあったというが、子どもが1歳になる頃ぐらいまでは夫婦関係や義両親との関係も良好だったと振り返る。その良好な関係を壊したのは義母の余計な一言だった。
「『あのとき離婚しなくてよかったでしょう』と笑いながら私に言ってきました。たった1年でもう時効だと言うような態度にも腹が立ちましたが、それよりも、『離婚していたらこんな幸せはなかったのよ』と言われたときに、もう無理だと思いましたね。私と子どもだけでは幸せにはなれないと決めつけるような人たちと一緒には入れないと思ったのです」
その後、1年以上揉める結果となったが、美月さん夫婦は離婚に至った。今は実家に戻って両親と一緒に4人で生活をしているという。
妻の妊娠中という家族の大事な時期に夫の浮気が発覚すると、妻には浮気したという事実に加え、夫の行動に対しても大きな傷が残る。この傷ついた気持ちに時効はない。それに気づけないのであれば、何度修復を試みても以前のような夫婦関係に戻ることはないだろう。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。