いつでもどこでも仕事・家族・友人からの連絡が入るようになり、スマホを通して日々の様々な情報を際限なく入手できるようになった今、利便性を感じる一方で、情報量の多さに頭がいっぱいになって心に余裕を無くしている人もいるのではないでしょうか? まじめで一生懸命な人ほどやらなければならないことや情報に振り回されてしまい、本当の自分を見失ってしまうことも。

そこで、「思考の整理家」として「人や企業の思考をシンプルにし、持っている可能性を最大限に引き出す」活動を続けている鈴木進介さんの著書『『頭の“よはく”のつくり方』から、頭の中に余裕を生み出し、本当に大切なことに向き合えるようになるコツをご紹介します。

文/鈴木進介

頭の中にあることを書き出して整理する

今すぐ誰でも簡単に、頭のよはくをつくる方法があります。それは、頭の中にあることをすべて書き出すだけ。紙でもスマホでもツールは問いません。

実は、本書を執筆している最中、私の頭の中は文字どおりいっぱいいっぱいでした。本書を含め、執筆中の書籍は2冊同時並行で進み、寄稿用のコラムも4本同時に書き、商談の準備に講演用のテキストづくり、各種問い合わせ対応に、日中は企業研修に……。朝から深夜まで締め切りを抱えた仕事があっという間に積み重なっていきました。

そこに、取引先からは度重なる予定の変更が入り、こなしてもこなしても次の締め切りや各種期日が迫ってくる状況。仕事の量も、時間的にも精神的にも「誰か助けてくれー!」と心の中では常に絶叫していました。

ふと、立ち止まって冷静になると「最近、じっくりと自分と向き合う時間」が取れていなかったことに気づきました。このままでは、疲労とプレッシャーで押しつぶされてしまうと感じた私は、とっさにノートを取り出し、書式も字の汚さも無視して頭の中にあることをすべて書き出してみました。

すると、不思議なほど一気に頭の中がスッキリして、冷静になれたのです。

書き出すことで瞑想効果を得る

頭の中にあるものを書き出す行為を「ブレインダンピング」と言います。直訳すると「Brain(脳)の中をdump(捨てる)」という意味です。つまり、頭の中にあるゴミを外に出すことで、頭の中によはくをつくるわけです。実に単純なメカニズムですね。

出典:『頭の”よはく”のつくり方』

このような経験はありませんか? たとえば、自宅のクローゼットが不要な服でいっぱいだったとしましょう。季節の変わり目に不要な服を処分したことで、新しく買った服を収納するスペースができたとき。

また、部屋の片隅に置いてあった粗大ゴミを、ようやくやってきたゴミ回収日に捨てられ、部屋のスペースが広くなった瞬間。このときのスッキリした衝動を思い出してほしいのです。

私たちが服の収納やゴミ出しのように目に見える世界では当たり前のように行っていることを、目に見えない頭の中も同じように行うというわけです。

ただ、頭の中は目に見えないため、不安など悲観的な妄想がどんどんと広がってしまい、頭の中は混乱しがちです。これを解決するためには、目に見えるかたちにする必要があります。

一定時間、紙に書き出して心を整えることは「ジャーナリング(書く瞑想)」とも呼ばれています。書き出すだけで思考によはくができ、集中力が高まるのです。また、自分や物事を客観視し、新たな気づきを得ることもできます。忙しい状態であっても、「書くだけ」でストレスを軽減し、前向きな思考に切り替えることができるため、やらない手はありません。

実践は次の3ステップで可能です。

ジャーナリングの3ステップ

出典:『頭の”よはく”のつくり方』

たったこれだけです。
STEP2の5分間という設定はあくまでも目安です。3分や10分など、自分の心地よい時間でかまいません。なお、キレイな文章にする必要はありませんし、汚い字のままでOKです。キレイに書こう、わかりやすい文章にしようなどと神経をすり減らさないように注意してください。

頭の中によはくをつくるためには、頭の中を邪魔しているものを外に出すこと。たったこれだけで、頭はスッキリ、行動は軽やかになるのです。

出典:『頭の”よはく”のつくり方』

* * *

『頭の”よはく”のつくり方』(鈴木進介 著)
日本実業出版社

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鈴木進介(すずき・しんすけ)
思考の整理家®。1974年生まれ。株式会社コンパス代表取締役。現在は「思考の整理術」を使った独自の手法で人材育成トレーナーおよびコンサルタントとして活動中。大学卒業後、IT系企業や商社を経て25歳で起業。「金なし・人脈なし・ノウハウなし」の3重苦からスタートしたため、3年以上まともに給料が取れずに挫折続きの生活を送る。その後、思考を整理すれば問題の9割が解決していることに気づき、「思考の整理術」に開眼。以来、10年以上にわたり研究を重ねて体系化。難しい問題を優しく解きほぐす「思考の整理術」は、フリーランスや起業家、上場企業まで幅広く支持され、コンサルティング実績は100社以上、研修や講演は年間150日以上登壇、セミナー受講者数は累計3万人を超す。

 

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