ウミガメは海の環境問題を一手に被っている。希少種を守る活動が続く。

保護から繁殖、海に戻すまで

沖縄美ら海水族館の水族館外の施設のひとつに「ウミガメ館」(観覧無料)がある。ここでは世界に8種いるウミガメのうち、タイマイやアカウミガメなど5種が飼育されている。地階の観覧室からは、ウミガメが泳ぐ様子を間近で観察できる。

ウミガメ館では繁殖や飼育に加え、動物福祉の観点から保全活動にも力を入れている。美ら海でウミガメを研究する上席研究員の河津勲さんに、現在ウミガメが抱える問題について聞いた。

沖縄美ら島財団総合研究所でウミガメの研究を続ける、河津勲さん。日本ウミガメ協議会理事も務める。長崎大学水産学部卒業。

「ゴミ問題はずっとあります。ウミガメの死体を解剖するとのみ込んだ人工物が一定数出てきます。ただ、ゴミが直接の死因になったかどうかはわからないこともあり、長期的な調査が必要です」

外傷で運ばれてくるウミガメも後を絶たない。

「網に引っかかり手が取れかかっていたり、船に轢かれて甲羅が割れた個体もあります。およそ外傷と消化器疾患が各40%、残りの20%が呼吸器疾患です」

河津さんたちはそんなウミガメを保護し治療を施し、元気になったら海に帰す活動を続けてきた。

「とくに北太平洋のアカウミガメは、産卵地は日本が9割以上を占めます。ウミガメにとっての自然環境が変化して日本の産卵地がなくなれば、北太平洋のアカウミガメは絶滅します。 日本は重要なポジションにいます。 そういった意味でも、こういう保全活動を続けていかなくてはならないと思っています」

子ガメへ給餌をする飼育員の水落夏帆さん。大きくして海へ放流するという回遊の調査を行なう。現在飼育する子ガメの数は約90匹。
甲羅についたコケがもとで病気になることもあるので、きれいに磨く。ウミガメ飼育体験では「甲羅磨き」体験ができる。
順調な成長で、海に放流する日も近い!
ウミガメ館には産卵用の砂場が設けられ、毎年飼育ウミガメが上陸して産卵をする。卵を孵化させて育てるのもウミガメ館の大きな役割。約1年間育てて調査用のタグを付けて放流する。

沖縄美ら海水族館 

沖縄県国頭郡本部町石川424 国営沖縄記念公園(海洋博公園)内 
電話:0980・48・3748 
営業時間:8時30分~18時30分(最終入館17時30分)、延長期間はホームページ参照 
料金:大人2180円 
定休日:ホームページ参照 
交通アクセス:那覇空港より車で約2時間、高速バスで約2時間30分
https://churaumi.okinawa

取材・文/宇野正樹 撮影/齋藤 明 写真/国営沖縄記念公園(海洋博公園)沖縄美ら海水族館

※『サライ』2026年6月号より

6月号特集は『新しい動物園と水族館の歩き方』

 

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