
ライターI(以下I):『豊臣兄弟!』で松永久秀を演じた竹中直人さんからコメントが寄せられました。
編集者A(以下A):松永久秀は第20回で最期の時を迎えました。第17回のラストでまさかの「ナレ退場?」という瞬間もありましたが、第20回ではしっかり尺をとってその最期が描かれました。竹中直人さんは、30年前の大河ドラマ『秀吉』で主役の秀吉を演じています。『秀吉』は全話の平均視聴率が30%を超えた最後の作品になります。
I:渡哲也さんの織田信長、沢口靖子さんのおね、高嶋政伸さんの秀長、市原悦子さんのなか(秀吉の母)、村上弘明さんの明智光秀など、錚々たる方々が競演しました。「心配ご無用!」など名フレーズも飛び出した名作です。その竹中さんが今回は、クセ強戦国武将として知られる松永久秀を演じたわけですが、まずは、松永久秀を演じたことについて、竹中さんが語ってくれています。
大河ドラマの撮影現場には、今をときめく俳優たちがたくさん、たくさん集まってきます。そんな方々のお芝居を目の前で見て、感じることが出来るのがもうサイコーです。オファーをいただいたときは、とても光栄な思いと共に、「出番はどのくらい?」と思いました(笑)。1年以上かけて作り上げる作品ですからね。役者同士のつながりも深くなれる現場です。だから途中で死んじゃうのは本当に切ないんです。しかし松永久秀の役となると「あっ、間違いなく途中で死ぬな……何話ぐらいで死んじゃうんだろう?」と思いました。
そして脚本家の八津弘幸さんとプロデューサーの方々が松永久秀をどのように描くのか……それが一番気になりましたね。役の存在を握るのはやはり脚本家ですから。死んだはずの久秀が実は生きていた……! なんてことはないかしら……なんてことを思ったりもしましたが、それはないですね(笑)。今後、軍師としての才を今まで以上に発揮していく秀長(演・仲野太賀)の変貌を楽しみにしております。そして池松(壮亮)くんの作りあげる新たな秀吉像も楽しみでなりません! 歴史を塗り替えてこそ、真の大河ドラマだと思っています。
A:「死んだはずの久秀が実は生きていた」ということを思ったりしたそうです。大河ドラマでは2001年の『北条時宗』で、史実では亡くなっている北条時輔が実は生きていたという展開で、赤いマフラーを装った姿とともに物議を醸した過去があります。それでも、松永久秀が実は生きていたというストーリーもおもしろかったのかもしれません。さて、竹中さんは、共演者の方々の印象についても言及しています。
仲野くん、池松くんとは今作が初共演です。僕はどの作品も全てそうなんですが、撮影の初日は未だに緊張して、撮影の前日は全く眠れないんです。だから眠れないまま撮影現場に行きました。そんな僕をお二人は恐ろしいほどの満面の笑顔で出迎えてくれました。
そのおかげもあり、NGは出さなかったと思います。お二人の満面の笑顔がプレッシャーでしたからね(笑)。そして思ったのが、「これまでの大河ドラマとは全く違うものが生まれるに違いないぞ!」ということ。本当に最強のコンビだと思います。このお二人なら「心配ご無用!」です。
I:ここで、「心配ご無用!」のフレーズが登場です。なんだか30年前のことが思い出されますね。このサービス精神。すごくうれしいです。竹中さんは、仲野太賀さんについてさらに詳しく、そして信長役の小栗旬さんについても話してくれました。
仲野くんは本当に明るくて、現場のスタッフたちを包み込んでくれる存在です。僕は30年も前に大河ドラマ『秀吉』で主演を務めさせていただきましたが、とにかく「デタラメな大河ドラマにしてやるぞ!」と、毎日毎日ギンギンにテンションを上げまくって演じさせていただきました。時には口笛を吹いたり、唾を飛ばしたり、屁をこいたり、足がつったり、貧血をおこしたりしてね。クランクアップの日、スタッフの方々に胴上げをして頂いたことは一生の思い出です。そして30年の時を超えた『豊臣兄弟!』の仲野くんは常に周囲をしっかりと見つめながら現場に存在しています。新たに築き上げる戦国時代、この作品で仲野くんは観客にどんな印象を残してゆくのか……それがとても楽しみです。
小栗くんとは、『秀吉』で共演して以来、なんと、30年ぶりの共演でした。当時、中学生だった小栗くんとは年賀状のやり取りもしていました。年賀状の書き出しには「佐吉です!」と、当時の役名を書いているのがなんともかわいかったですね。そんな小栗くんと今回の現場で対峙したときは、「30年」という時の流れを深く感じました。かわいらしい子役だった彼が圧倒的な存在感で目の前に座っている。そのたたずまいを見た瞬間、「これぞ信長だ!」と強く感じました。
『豊臣兄弟!』では本当にみなさんが眩しく、力強く現場に存在しています。素晴らしい作品に参加出来たこと、こころから感謝致しております。本当にありがとうございました!
A:30年前に小栗旬さんが演じたのは、石田三成の少年時代=石田佐吉です。いわゆる「三献茶」のエピソードを援用した場面で、竹中直人さん、沢口靖子さんとやり取りした場面がひときわ印象的です。まだ中学生だった小栗旬さんの大河ドラマ2作目の登場ということでした。
I:「これぞ信長」。小栗旬さんにとっては最大限の賛辞ではないでしょうか。
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大河ドラマ『豊臣兄弟!』
NHK総合 日曜 20時00分~ 他
【作】八津弘幸 【音楽】木村秀彬 【語り】安藤サクラ
【出演】仲野太賀 池松壮亮 ほか
●編集者A:書籍編集者。かつて『完本 信長全史』(「ビジュアル版逆説の日本史」)を編集した際に、信長関連の史跡を徹底取材。本業では、11月10日刊行の『後世に伝えたい歴史と文化 鶴岡八幡宮宮司の鎌倉案内』を担当。
●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。猫が好き。愛知県出身なので『豊臣兄弟!』を楽しみにしている。神職資格を持っている。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり











