30~40代前半のプレ更年期や、40代半ば~50代の更年期の女性は「なんとなくの不調」「ちょっとした違和感」を抱くことが多くなります。なかでも多くの人が困っている悩みは「更年期の集中力の低下」の症状です。

実は、その不調には漢方薬が役立つことをご存知でしたか?

私の悩みにも漢方薬が役立つのか知りたい! 根本解消する方法が知りたい!
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
今回は「更年期の集中力の低下」の原因や対処法について、あんしん漢方の薬剤師で、漢方薬製剤の開発研究に携わる碇純子さんに教えてもらいました。

Q.人の話が頭に入って来ない、すぐスマホをいじる……。集中力が低下して困っています

貴子さん、53歳からご質問をいただきました。

「最近、明らかに集中力が低下して困っています。何をするにも集中できず、注意力散漫になってしまいます。

友人と会話していても、話の内容が頭に入って来ず、生返事。家で仕事をしていても、すぐにスマホをいじってSNSを見てしまいます。

この間、久しぶりに映画を観に行ったら、30分くらいで映画館を出たくなってしまい、自分でも驚いてしまいました。昔は、勉強が得意で、集中力には自信があるほうだったのですが……。

いったい、この集中力低下は何が原因なのでしょうか?」

ご質問ありがとうございます。集中力低下、つらいですよね。作業効率が低下したり、周囲には単に失礼な人と思われたり、人間関係にも影響することがあるのが大変なところです。

その症状は、更年期に起因する集中力の低下の可能性があります。きちんと適切な治療やセルフケアを行えば、集中力低下の緩和を目指せます。まずは、集中力の低下の原因をしっかり把握して対処しましょう。

更年期の集中力の低下の原因

更年期の集中力の低下の主な原因には、運動不足、睡眠の質、食事内容が挙げられます。それぞれの原因について、くわしく見ていきましょう。

1.運動不足

運動不足の人ほど更年期症状が悪化する傾向にあり、これは集中力の低下の原因にもなります。とくに、日常的に座っていることが多いと、筋力も衰えてしまい、持久力、骨密度が低下する原因にも。

たとえば、日常的にウォーキングやジョギングなどの運動を行うと、爽快感を得られ、気分転換にもなりますが、家の中で過ごすことが多いと、自然とストレスがたまりやすい体質になり、ものごとに集中できず、考えごとがうまくまとまらないことがあります。

2.睡眠の質

睡眠には、脳の情報を整理し、老廃物をとり除く働きがあります。しかし、睡眠の質が保たれていないと、日中にボーっとしてしまったり、注意力や記憶力が低下したりと、様々な影響があらわれます。

また、前述した運動不足も夜間の睡眠に影響。日中にきちんと体を動かしていないと、体が疲れていないのでなかなか寝つけず、深い眠りも得られず、途中で目を覚ましてしまう「中途覚醒」の原因になります。

そして、体をきちんと休められないまま朝を迎えてしまい、それが生活リズムの乱れを生み、さらに睡眠の質が低下するという悪循環の原因になります。

3.食事内容

海外のとある研究によると、「加工食品の摂取量が多い場合、集中力や記憶力の低下を招く可能性がある」というデータがあります(※1)。

加工食品とは、レトルト食品を始め、インスタント食品、食肉製品、お菓子類など様々な食品が含まれます。

とくに、問題として挙げられているのは、糖分や塩分、脂肪分が多い「超加工食品」と呼ばれるものです。これらの超加工食品を摂取していたグループに、集中力や記憶力の低下、さらには血管運動症状、性行動などに影響があらわれたとされています。

逆に、野菜の摂取量が多い人は更年期症状があらわれにくいというデータがあり、バランスのとれた食生活が更年期症状を予防し、集中力の低下も招きづらいという傾向が見受けられます。

ホルモンバランスの崩れが原因で起こる集中低下は一度診療を

集中力低下を引き起こしている原因に、更年期が疑われる場合、病院で診てもらうことが重要です。まずは婦人科や内科を受診し、更年期症状か、もしくは別の病気が影響しているのか、きちんと検査してもらいましょう。

更年期症状は閉経を挟んだ前後10年間に起こりますが、症状の程度や内容は個人差が大きいといわれています。少しでも更年期の疑いがあるなら、ひとりで悩まずに、まずは病院に行きましょう。

もし、更年期由来の症状であれば、そこから治療を始めていきます。減少した女性ホルモンを補うホルモン補充療法(HRT)を始め、抗うつ薬・抗不安薬などが使われる場合があります。

また、そういった各種治療方法に加え、生活習慣の抜本的な見直しも大事です。

更年期の集中力の低下を改善するセルフケア

集中力低下の原因が更年期で、ある程度症状が軽かった場合、日々の生活を整え、セルフケアで対処することも有効です。

ここからは、集中力の低下を改善するセルフケアを4つご紹介します。

1.寝る前にリラックスする

就寝前にリラックスタイムを作ることで、精神的な余裕を保ち、集中力低下を改善していきます。腹式呼吸を意識すると、自律神経の副交感神経を優位にして、体をリラックスモードに切り替えられます。

ゆっくりと鼻から空気を吸い、おなかを膨らませることをイメージして、口からゆっくりと息を吐く。焦らずに、ゆったりとした気分で呼吸を整えましょう。

また、就寝前にはハーブティーもおすすめ。カモミールティー、セントジョンズワートティー、オレンジピールティーなどで体を芯から温めれば、深い睡眠を促してくれます。

2.イソフラボンを摂取する

大豆などに含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをする作用があります。更年期を迎えると、エストロゲンが急減し、様々な不調が起こるので、イソフラボンを摂取することで、少しでもその不足したエストロゲンを補うことが大事です。

イソフラボンが含まれるのは、主に大豆や大豆製品。豆腐や味噌、納豆、豆乳、醤油、きな粉にも含まれています。イソフラボンの1日あたりの目安摂取量は75mgです。これは、豆腐なら一丁、納豆なら2パックにあたります。

なお、目安摂取上限を超えてもただちに健康被害に結びつくわけではないものの、目安を大きく超えるイソフラボンの摂取はなるべく控えましょう。

3.ツボを押す

更年期の不調には、心を落ち着かせ、精神状態をリラックスさせるツボを押しましょう。おすすめのツボをご紹介します。

神門(しんもん)

手首の内側、小指寄りの端のくぼみにあるツボです。神経の高ぶりを鎮め、物忘れや緊張をはじめ、不眠や動悸などにも作用があるといわれています。

百会(ひゃくえ)

頭の頂点にあります。左右の耳の中間と、額の中心から頭頂部に向かうラインがクロスする部分にあるツボです。副交感神経を優位にし、心身の緊張をほぐし、ストレスを緩和します。

ツボは強く押しすぎず、爪を立てずに指の腹で優しく押すのがコツです。

4.漢方薬を試す

更年期の集中力低下の解消には、漢方薬もおすすめです。漢方の基本理念は、体質を変え、根本的な原因をとり払うこと。

また、生活スタイルを大幅に変え、習慣的な運動を続けるのが大変という人も、漢方薬ならご自身の症状や体質に合ったものを毎日飲むだけなので、手軽に継続できる点もメリットです。

更年期の集中力低下に対処する場合、「ホルモンバランスや自律神経の乱れを整える」「鎮静作用で心を落ち着ける」「消化・吸収機能を高め、体の内側から心を元気にする」といった効果が期待できる漢方薬を選び、根本改善をめざしましょう。

更年期の集中力低下が気になる人におすすめの漢方薬

加味逍遙散(かみしょうようさん):胃腸の機能を高めて、不足したエネルギーや栄養を補い、更年期などの女性ホルモンの変動に伴う不安定な精神状態を改善します。
柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):神経の高ぶりを抑え、不眠や動悸などを解消し、イライラなどの精神症状を緩和します。

ただし、漢方薬はご自身の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起こることもあります。

購入時には、できる限り漢方に精通した医師や薬剤師等にご相談ください。

「お手頃価格で不調を改善したい」という人には、医薬品の漢方薬がおすすめ。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。

AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、漢方のプロが体質に合った漢方を見極めてくれます。お手頃価格で自宅まで郵送してくれるため、手軽で便利です。

●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0235&utm_source=sarai&utm_medium=referral&utm_campaign=240104

生活を見直して集中力低下を防ぐ

更年期の集中力低下は、運動不足、睡眠の質、食事内容により更年期症状が悪化することで目立つようになります。就寝前のリラックス、イソフラボン摂取、ツボ押しなど、セルフケアも駆使しながら、更年期の集中力低下を克服しましょう。

【参考文献】
(※1)PubMed「Life habits of postmenopausal women: Association of menopause symptom intensity and food consumption by degree of food processing」 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35033227/

この記事の監修者

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師
/ 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0235&utm_source=sarai&utm_medium=referral&utm_campaign=240104

 

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