一昔前まで、春分の日を過ぎてから新そばの出る秋まで、私はそば屋へ出かけませんでした。
そばは香りが命ですから、湿気が多くなるとどうしてもそばの香りが乏しくなるためです。

でも、最近は、そばの実や粉の保存に気を遣って、夏場でも美味しいそばが食べられるようになってきました。
暑い日にいただくそばとして出色の一品が、「銀蕎麦　國定」のすだちおろしそばです。

刻まれた九条葱が散らされ、大根おろしが盛られ、上からすだちを絞って手繰ります。
すだちの酸味が涼味を呼んで、夏場にふさわしいそばなのですが、この店の工夫は葱にあります。
葱の香りを残しながら、葱臭さを取り除く工夫がしてあります。

店名は女主人の本名です。まことに気風が良いそば職人で、私のお気に入り。

■銀蕎麦　國定
http://www.kunisada-soba.com