京都の夏といえば、川床。涼しげな川の上に床を貼り、その上で食事を楽しむ夏の風物詩です。川床を楽しめる代表的なエリアは、大きく分けて3箇所。京都の中心部に位置する鴨川、奥北部の山地に位置する貴船、自然豊かな西部に位置する高雄です。
川床の歴史は鴨川から始まりました。江戸時代初期、鴨川の河原は見世物や物売りで大いに賑わっていたそう。それに伴って、見物席や茶店を設けたのが川床の始まりだと言われています。
優雅なひとときを過ごせるレストランを厳選して取り扱う宿泊サイト「一休.com」に掲載されているレストランの中から、大人の贅を知り尽くしたサライ.jp読者におすすめしたい「川床のあるレストラン」を厳選しました。鴨川、貴船、高雄、それぞれのエリアから魅力的なレストランをピックアップ。
利用したいレストランを見つけたら、<一休ボタン>をクリックしてください。「一休.com」でWeb 予約が可能です。
今年の夏は、江戸時代から続く風情ある川床で、食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。
1:料理旅館 右源太
情報提供:一休.com
貴船の川床は、貴船神社の目の前を流れる貴船川沿いにあります。貴船で川床が始まったのは大正時代。川の上に小さな床机を置き、足を川につけながらお茶を飲んで涼んだのが始まりです。
また、貴船は京の水源地として、古くから和泉式部や源義経、皇族など多くの人たちが参詣した神聖な地でもあります。最初に紹介するのは、貴船エリアにある『料理旅館 右源太』です。
貴船川の水で泳がせた鮎
貴船の川床の特徴は、高床ではなく、水面のすぐ上に川床を設けること。涼しげな川の流れや、緑あふれる豊かな自然を全身で感じながら、活川魚料理が楽しめます。名物は鮎の塩焼き。貴船川の水で泳がせ、身を引き締めてから焼き上げています。
『料理旅館 右源太』の魅力は夏だけではありません。冬の「氣生根鍋」も名物です。京都北部産の天然の猪と、貴船の自然豊かなすっぽんのスープが楽しめます。
歴史ある貴船神社の社家
『料理旅館 右源太』の代表を務める鳥居家は、代々貴船神社の社家を務めた由緒ある家系です。長年にわたり貴船の地と共に歩んだ一族が、丁寧に作り上げ、もてなしてきた歴史ある川床料理。ぜひご堪能ください。京都駅や最寄駅から送迎バスが出ているため、京都の交通に不慣れでも安心して利用できます。
【店舗情報】
予算 昼8,000円〜9,999円/夜10,000円〜11,999円
住所 京都府京都市左京区鞍馬貴船町76
最寄り駅 叡山電鉄線 貴船口駅
営業時間 昼11:30~16:00(15:00)/夜17:00~20:00(19:00)
※()内の時間はラストオーダーの時間です。
定休日 不定休
おすすめのプランは、「【川床懐石料理】全10品」9,900円。
2:貴船喜らく
情報提供:一休.com
貴船は別名「京の奥座敷」。山の豊かな自然に囲まれ、避暑地としても人気のエリア。それに加えて、大正時代に始まった形をそのままに、水面真上の川床で冷気を間近に感じることで、体感温度は京都市中と比べて10度も低いと言われています。
次に紹介するのも、貴船エリアにある『貴船喜らく』。川床が楽しめるのは、5月から9月限定です。最寄り駅「貴船口」から送迎バスのサービスもあります。
焼き石の上で鮎の塩焼き
貴船の素朴さと、京料理の繊細さをあわせもち、こだわりに溢れた『貴船喜らく』の料理。地元京都産の素材を中心とし、厳選した四季折々の食材を楽しめます。
夏の鮎は、貴船川の清流で身を引き締め、捌きたて、焼きたて、揚げたてで提供。魚本来のしっかりとした味が口いっぱいに広がります。特に鮎の塩焼きは、焼いた黒石の上に乗せてくれるため、出来立てのおいしさを長く堪能できるでしょう。
貴船神社の正面で100年以上の歴史
『貴船喜らく』は大正10年(1921)創業。貴船神社の正面に店を構え、100年以上の歴史を持つ老舗です。初代からの伝統の味を守り、夏の鮎だけでなく、春は山菜、秋は松茸、冬は猪など、新鮮な食材を厳選した、こだわりの料理でもてなしてくれます。
川床といっても、様々な種類があります。川に足をつけることができる川床は、貴船ならではの醍醐味。「夏の天国」とも言われる貴船の川床を、ぜひ楽しんでください。
【店舗情報】
予算 昼8,000円〜9,999円/夜10,000円〜11,999円
住所 京都府京都市左京区鞍馬貴船町47
最寄り駅 叡山電鉄線 貴船口駅
営業時間 11:00~21:00 ※最終入店は19:00まで
定休日 無休
おすすめのプランは、「【季節のお任せ懐石】美味逸品や旬の八寸、鮎塩石焼き2匹など全12品」13,200円。
3:京フレンチきしもと
情報提供:一休.com
実は、貴船と高雄では「川床(かわどこ)」と呼びますが、鴨川では「納涼床(のうりょうゆか)」あるいは「川床(かわゆか)」と呼ぶのをご存知でしたか? 次にご紹介するのは、川床の歴史が始まった地、鴨川エリアにある『京フレンチきしもと』。
川床でフレンチ? と意外に感じるかもしれませんが、鴨川エリアでは、和食や京料理だけでなく、様々なジャンルの料理を川床で楽しむことができます。
納涼床で京風フレンチ
『京フレンチきしもと』で楽しめるのは、幅広い年代に愛される「京風」のフレンチ。隠し味に醤油、ステーキにわさび、鴨に黒七味など、フレンチの技術を基本にしつつ、京都の食材や調味料を絶妙に合わせながら、料理を作り上げています。
川床のコースでは、京野菜の賀茂茄子や鱧といった、京都ならではの夏の食材もふんだんに使用。納涼床でフレンチという新しい体験は、ぜひ『京フレンチきしもと』で。
和テイストな元お茶屋さん
京都屈指の観光地、先斗町に店を構える『京フレンチきしもと』は、フレンチ一筋20年以上。幅広い年代に人気の理由は、あっさりとした食べやすさ。川床はテーブル席で、畳が苦手な方もゆったりと食事を楽しむことができます。
元お茶屋さんであった店内は、フレンチのレストランでありながら、どこか和のテイストを感じます。テーブルにはお箸の準備があるのも嬉しいポイントです。
【店舗情報】
予算 昼4,000円〜4,999円/夜8,000円〜9,999円
住所 京都府京都市中京区先斗町通三条下ル若松町141
最寄り駅 京阪鴨東線 三条駅、京阪本線 三条駅、阪急京都線 河原町駅
営業時間 昼11:30~(14:00)/夜17:00~22:00(21:00)
※()内の時間はラストオーダーの時間です。
定休日 火曜日
おすすめのプランは、「【川床席確約:シェフ特選コース】魚&肉のWメインなど全5品」15,130円。
4:豆屋源蔵
情報提供:一休.com
江戸時代初期に鴨川で始まった納涼床。江戸時代中期には「河原の涼み」と呼ばれて親しまれていたそうです。しかし、明治時代以降、鴨川の開削や電車の延伸などにより徐々に面積を減らし、ついに大正時代には治水工事のため禁止に。そして第二次世界大戦によって完全に姿を消しました。
納涼床が復活したのは昭和中期に入ってから。当時30軒ほどだった納涼床は、現在約100軒まで増えました。次に紹介するのも、そんな歴史を持つ鴨川エリアの『豆屋源蔵』(まめやげんぞう)です。
盛り付けも美しい豆腐料理
『豆屋源蔵』で楽しめるのは、豆腐料理。湯豆腐や湯葉は、観光で訪れた際にぜひ味わいたい、京都の代表的な料理です。豆腐をメインとした、繊細で美しい盛り付けでありながら、カジュアルに楽しめる京料理が魅力的。
湯豆腐、湯葉、出汁が織りなすコクと味わいの全てが、体と心を優しく温めてくれます。京都市役所前から徒歩5分でアクセスも良好です。
数々の著名人が訪れた茶屋旅荘「近江初」
『豆屋源蔵』は、大正時代に建てられた茶屋旅荘「近江初」を改装したもの。「近江初」は作家の井上靖氏や画家の山下清氏など、数多くの著名人が訪れた歴史ある建物です。座敷からは、高瀬川、鴨川、比叡山、大文字などを見渡せる、贅沢な景色が広がっています。
席は個室の座敷だけでなく、鴨川を眺めながら座れる席も。趣のある空間で、京都を代表する豆腐料理をゆっくり味わってください。
【店舗情報】
予算 夜6,000円〜7,999円
住所 京都府京都市中京区上樵木町490-1
最寄り駅 京都市営地下鉄 京都市役所前駅、京阪線 三条駅
営業時間 昼11:30~14:30(13:30)/夜17:00~23:00(20:00)
※()内の時間はラストオーダーの時間です。
定休日 不定休
おすすめのプランは、「【湯豆腐コース】自家製豆腐と湯葉を自家製のつけ出汁でお召し上がり頂きます」8,030円。
5:もみぢ家別館 川の庵
情報提供:一休.com
貴船、鴨川に続いて、最後に紹介するのは高雄エリアにある『もみぢ家別館 川の庵』。高雄の川床は、屋根があるのが特徴です。京都市街からは車で30分ほど離れており、都会の喧騒を忘れさせてくれます。
川床だけでなく、高雄は紅葉でも有名。食材だけでなく、豊かな自然が作り出す美しい景色からも、四季を存分に味わえる場所です。
食材、調理、器の三重奏
『もみぢ家別館 川の庵』で楽しめるのは、四季折々の旬の食材を使った京料理。夏は、炭火で焼いた鮎をたで酢でいただく、川床料理がおすすめ。鮎は上桂川で獲れたものを使用しています。また、すずきのお造りが盛り付けられる氷皿など、川床料理は目にも涼しげ。「食材、調理、器の三重奏を味わっていただきたい」という気持ちが込められています。
舞妓さんの夕べと源氏ボタル鑑賞
『もみぢ家別館 川の庵』の川床には、他にも特別な魅力が。舞妓さんの京舞を鑑賞できる「舞妓さんの夕べ」や、清滝川の川面を舞うホタルが見られる「源氏ボタル鑑賞」など、特別な企画を開催しているのです。
「舞妓さんの夕べ」では、京舞の鑑賞だけでなく、舞妓さんと歓談したり、一緒に記念写真を撮ることも可能。川床と舞妓さんの両方を楽しめる、貴重で贅沢な時間です。
【店舗情報】
予算 昼6,000円〜7,999円/夜12,000円〜14,999円
住所 京都府京都市右京区梅ヶ畑西ノ畑町2番地
最寄り駅 嵯峨野線 花園駅
営業時間 昼11:00~15:00(14:00)/夜18:00~21:00(19:30)
※()内の時間はラストオーダーの時間です。
定休日 なし
おすすめのプランは、「【金~日祝・お盆開催:川床料理と舞妓はん】清涼の里(雪コース)」16,500円。
***
京都の夏の風物詩「川床」が楽しめるレストランを、代表的な鴨川、貴船、高雄の3つのエリアから紹介しました。それぞれのエリアに詰まった歴史、特徴、魅力の数々。皆さんの希望にぴったりのレストランが見つかれば幸いです。厳しい暑さの夏もすぐそこ。今年の夏は「天然のクーラー」といわれる川床で過ごしてみてはいかがでしょうか。
※本記事で紹介したプランの価格はすべて税込です。
※本記事は2022年6月25日(土)時点での情報をもとに作成しています。提供されるサービスの内容は随時、変更になる場合があるため、各プランの詳細をご確認のうえお申し込みください。
情報・写真提供:一休.com
文/伊藤舞(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com
Facebook