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『山田コロッケ』の黒毛和牛コロッケ、1個90円(税込み)

京都では、街中の肉屋さんやフライ専門店で美味しいコロッケが安く買えるそれは、昔から西陣織などの伝統工芸の職人として働く女性が多かったので、忙しいときは揚げ物を買って晩ご飯にするという需要が大きかったため、とも言われている。意外かもしれないが、パンや珈琲の購買額が全国一なのも、同じ理由からだ。

京都に長期滞在するなら、そんな京都のコロッケをぜひ味わってみてほしい。今回、ご紹介するのは、私が「京都一おいしい」と自信をもってお勧めする、フライ専門店『山田コロッケ店』のコロッケである。

北野天満宮一之鳥居から歩いて3分のところに、昭和35年創業の『山田コロッケ店』はある。我が家から近いので、小中学生の頃は天神さんで遊んだ帰りに、揚げたてのコロッケを買い、熱々のうちに頬張ったものだ。安くて美味しくて、少年のおなかを満たした思い出のコロッケだ。

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フライ専門店として、メニュー数は40を超えている。揚げもの好きには堪えられないラインナップだが、その中でもイチ押しは何といっても創業以来の味を守る”ビーフコロッケ”。その美味しさは群を抜いている。

材料にも拘りがあり、牛肉には丹波産和牛を主体とした国産黒毛和牛の牛すじを贅沢に使用している。ポテトは北海道産男爵いも(季節により他産地も使用)を使い、揚げ油はラード主体でカラリと揚げられて、甘みとコクを感じる。冷めても美味しいのも特徴。晩ご飯のおかずにも、翌日コロッケサンドにするのもお勧め。勿論、立ち食いもありだ。

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お店がある界隈は、天満宮門前の一条通の商店街で、通りに面する平安京の方位神・大将軍八神社に因んで大将軍商店街、別名を「妖怪ストリート」と言われている。

平安時代の百鬼夜行伝説は、暮れの煤払いの時に都じゅうの古道具が捨てられ、その道具たちが妖怪に変化して、つくも神となって通りを行進したと伝わる。現在は10月第3土曜日の夜に百鬼夜行を再現する仮装行列が、この一条通で繰り広げられる。このように、庶民的な街の商店街に古来の伝説が潜んでいるのも、古都・京都ならではのことだろう。

その妖怪伝説に因んだ名物をと、三代目店主の西村信一さんが考案したのが”妖怪コロッケ”。竹炭を練り混ぜて焼いたパンをパン粉にして、宇治の抹茶を生地に練り込み売り出したところ、独特な甘みが好評で、スイーツとして買っていく女子学生も多いとか。

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妖怪コロッケ、160円(税込み)

因みにお好みのフライに300円をプラスすれば、自分好みのお弁当にしてくれる他、バーガー類も4種、サラダも3種類あるので、その日のお腹の具合と状況に合わせて使えて何かと便利だ。10月中旬からは季節のカキフライも登場する。

【山田コロッケ店】
■京都市上京区一条御前西入ル大上ノ町65
■TEL/FAX :075-461-6665
■営業時間 : 月曜~土曜 10:00~19:30、祝日 11:30~18:00
■定休日:日曜日
http://www.yamada-fri.jp/

文/中村 暁
日本文化プロデューサー。1955年、京都生まれ。伝統芸能をはじめ日本文化を様々な切り口からプロデュースする。日本の食文化についても興味が深く、素材を求めて生産者まで足を運び、自ら台所に立つことも多い。暮らしのスタイルは季節を感じて日本人らしくがモットー。

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