外出自粛生活により、疲れや不調はどんなところに感じましたか? ライオン株式会社が、20~60代の男女計300名を対象に外出自粛生活による“目の疲れ・不調”の実態について調査いたしました。どのような不調が出てきたのでしょうか? 順天堂大学医学部附属静岡病院 眼科 先任准教授 土至田 宏先生のコメントともに見ていきましょう。
■約3割の人が「ストレスを感じることが増えた」と実感。最も疲れや不調が増えた身体部位は?
外出自粛生活による負の影響について具体的な内容を聞くと、最も多い回答は「ストレスを感じることが増えた(28.0%)」となりました。その他にも「間食が増えた(27.7%)」、「あまりやる気が出なくなった(18.7%)」、「よく眠れなくなった(14.7%)」など様々な影響が出ていることがわかりました。
さらに、外出自粛生活が続くことで体のどの部位に疲れを感じることが増えたかを聞いたところ、テレワーク実践の有無に限らず「目(43.0%)」と答えた人が最も多い結果になりました。さらに、疲れだけでなく不調を感じることが増えた部位も同じく「目(21.0%)」が最も多い結果となりました。
■テレワークによりPC仕事が平均4.5時間から5.7時間に増加
外出自粛生活で、64.7%の人が「目の疲れを感じている」と回答しています。テレワーク実践者に限定すると72.0%が「目の疲れを感じている」という結果となりました。
テレワーク実践者に「PC仕事の増減」について聞くと、約5割以上が「パソコン仕事が増えた」と回答しています。特に50代の33.0%が「とても増えた」と回答していることもわかりました。また、増加した時間を自粛前と比較してみると、PC仕事時間が1日平均4.5時間から5.7時間へと自粛前に比べて27.0%増えており、テレワーク実践者の目の負担が増えている実態が明らかになりました。
さらに、外出自粛生活で、目の疲れに影響のある行動を探るため、自粛生活の中で作業時間が増えた作業ごとに目の疲れを感じている人の割合を算出しました。その結果、「タブレットでゲームをする」時間が増えた人が91.7%と最も高く、続いて「細かい作業をともなう趣味(絵を描く、パズル、書道など)(88.9%)」、「模型・プラモデル作り(83.3%)」の時間が増えた人が目の疲れを感じる割合が高いことがわかりました。その他にも、20~30代の約6割がテレビ視聴時間が増えたと回答しており、「目の疲れ」がテレワークだけでなく外出自粛生活による余暇の過ごし方とも関連していることがわかりました。
■「目の疲れ」のケアを「特にしていない人」が6割
外出自粛下で目に負担がかかる作業時間も増加し、多くの人が目の疲れを感じています。その一方で、「目のケアを実施しているか」を聞いたところ6割は「特に何もしていない」と回答。また、「目の不調を感じることが増えた」と訴えている人においても、約半数は、目の疲れのケアは「特に何もしていない(47.6%)」という結果になり、目の疲れや不調を感じていても目のケアはおろそかになっているようです。
外出自粛下でのケア意識についても聞いてみると、「運動不足ケア(39.0%)」「体重管理(30.7%)」、「栄養バランスのケア(22.7%)」などのケア意識は高まっていましたが、目の疲れに対するケアの意識は7位(19.7%)と低いことがわかりました。
■「パソコン・スマホはもちろんのこと目を集中して使う趣味、ストレスも目を傷める原因」順天堂大学医学部附属静岡病院 眼科 先任准教授 土至田 宏(としだ ひろし)先生
今回の調査では、外出自粛中の不調な身体の部位として「目」が最も高い結果となっています。
これはやはり、パソコンやスマホ、テレビなどモニターを見る時間や、目を使う趣味の時間が増えたことが関係していると思われます。モニターまでの距離、姿勢、光量や空調などの仕事環境が職場ほど整っていない可能性もあります。通常、まばたきは1分間に20回程度ですが、人は集中してものを見ると瞬きの回数が減るので、モニターを見続けるとまばたきが4分の1、つまり1分間に5回程度に減少します。すると目を開けている時間が長くなるので、目が乾燥しやすくなります。さらに先行きの分からない情勢によるストレスも多いのではないかと思われます。ストレスを感じ、緊張状態になると自律神経のバランスが崩れてしまい、ピント調節機能がうまく働かなくなったり、涙の分泌量が減ってさらに目が乾くことで、余計に見えにくさが増長されてしまうのです。
目が乾燥し角膜を保護している涙の量が少なくなると、さまざまな症状が出てきます。ピントが合わない、目がかすむ、頭痛や肩凝りがひどくなるといった眼精疲労、さらにはドライアイがひどくなった状態である充血や目を開けていられない、目の痛みなどを伴う症状にもつながります。
角膜はそもそも傷つきやすい部位。そのまま放置すると、角膜(黒目)や結膜(白目)に傷が付き治療が必要になることもあります。今回、外出自粛中に長時間モニターを視聴したり目を使う趣味の時間が増え、目の疲れや不調を感じている人は、角膜が傷ついている可能性もあると思われます。
■PC作業1時間ごとに目を休め、目薬で目をケアするのも効果的
「目の疲れ」や「不調」は睡眠をとったり、まばたきに気をつけるだけでは十分改善されません。
ケア方法としては、目をしっかり休めること。1時間PC作業をしたら、モニターから目を離し適宜目を休めるのが目安です。目の疲れや乾きを感じたら、症状に応じた目薬を使うことも効果的です。疲れを感じたらホットアイマスクなどで目を温め、目の周辺の血流を良くすることも有効です。
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今回の調査で、外出自粛生活の影響により不調を実感するほど目が酷使されている実態が明らかになりました。外出自粛の制限がゆるやかになっても、テレワークなど目に負担のかかる生活スタイルが続いていきます。
“新しい生活スタイル”に適応し、健康に過ごすために“目のケア”がより求められる社会状況になっているといえますね。
【監修者プロフィール】
順天堂大学医学部附属静岡病院 眼科 先任准教授 土至田 宏先生
【「外出自粛下の目の疲れ・不調に関する実態調査」調査概要】
・調査主体:ライオン株式会社
・期間 :2020年5月8日(金)~5月11日(月)
・調査地域:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県
・方法 :インターネット調査
・対象 :外出自粛をしており、下記条件のいずれかに該当する 男女計300名
(1) パソコンを使ってテレワークを実施している 20~60代 男女計150名
(2) テレワークをしていない有職者もしくは主婦、学生 20~60代 男女計150名