
今年は酷暑元年と言われ、ますます厳しい暑さが続いています。薬を飲むほどではないけれどもなんだか気分が晴れない。そんな不調に悩まされている人は多いのではないでしょうか。
79歳にして現役で活躍する漢方家・根本幸夫さんによると、季節ごとに弱りやすい体の状態を知り、薬膳・ツボ・生活習慣で調えることができるそうです。
根本さんの最新著書『79歳、現役漢方家の季節の養生12か月』(世界文化社)は、季節ごとに変化する体のリズムに寄り添った養生法をまとめた一冊。未病を治す(病気になる前の段階で調える)「漢方」を活用して、人生100年時代を健やかに楽しみましょう。
そこで、今回は『79歳、現役漢方家の季節の養生12か月』から、漢方の基本をご紹介。体を構成する成分を知り、バランスを調えることで、不調に対処することができます。
文/根本幸夫
漢方レッスン1「気・血・水」
すべての原動力“気”を消耗させない
漢方では、体は「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という3つの構成成分でできていると考えます。これらは互いに影響し合い、過不足なくスムーズに全身を巡っている状態が理想です。中でも最も大切なことは、「気」すなわち「生命エネルギー」を維持することです。人間の原動力は、何事も気力です。気が充実していれば体は活発になり、気が衰えれば体は弱り、病気になります。
気は一定ではなく、加齢とともに減り、消耗しやすいため、無理は禁物。生活習慣の乱れや過労、寒暖差やストレスは気を消耗させますから、無駄遣いしないよう「自分ファースト」で過ごし、気を温存する心がけが大切です。睡眠と食事で気を補い、適度な運動で気を巡らせる工夫で血と水も調っていきます。
“気”の充実が健康の基本
【気】生命活動のエネルギー(気力)。全身を巡って血や水を動かしたり、体を温めたりする。
【血】血液を含む栄養成分。気とともに体を巡り、全身に栄養を運ぶ役割をする。
【水】血以外の体内の水分やリンパ液や涙、汗、尿などの体液。全身を巡り、体の中を潤す。
漢方レッスン2「五臓・五行」
過剰や不足を避け、“中庸”を保つ
漢方の概念では、万物を「木(もっ)・火(か)・土(ど)・金(こん)・水(すい)」の5つの要素に分類し(五行)、相互に助け合ったり(相生/そうしょう)、抑制し合ったり(相剋/そうこく)してバランスを保つと考えます。人体の働きを五行説に当てはめ、「肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)」の5つに分類したものを五臓といい、心身の働きまで含めた広義での概念を指します。
また、万物は相反する特性である「陰陽(いんよう)」に分けられ、両者がバランスを保ちながら調和していると考えます。これらの偏りのない状態を「中庸(ちゅうよう)」とし、心身が調っている状態を健康ととらえます。体のどこかにトラブルが起こったとき、一部だけを見るのではなく、前後の関連性や全体を見て対処するのが、漢方の考え方。バランスの崩れに早めに気づいて適応することで、不調を改善することができます。
互いにバランスを取り合い健康を維持する
春は強風で「肝」(自律神経機能に関連)が乱れやすい
夏は暑さで「心」(精神状態に関連)が乱れやすい
梅雨は湿気で「脾」(消化器機能に関連)が乱れやすい
秋は乾燥で「肺」(呼吸器機能に関連)が乱れやすい
冬は寒気で「腎」(泌尿器・生殖器機能に関連)が乱れやすい

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『79歳、現役漢方家の季節の養生12か月』
著者/根本幸夫
世界文化社 1870円(税込)
根本幸夫
薬学博士。漢方平和堂薬局店主。横浜薬科大学客員教授。前・横浜薬科大学漢方和漢薬調査研究センター長。一般社団法人日本漢方連盟理事長。1969年、東京理科大学薬学部と東洋鍼灸専門学校を同時卒業後、さらに深く鍼灸と中国医学を学ぶ。漢方界の重鎮の一人。79歳の現在も、体調不良から精神面まで、訪れる人のさまざまな相談に親身に対応している。一人ひとりに寄り添うカウンセリングがモットー。著書多数。











