厳かな神事から日常の憩いまで、酒は様々な場面で人々の生活に寄り添ってきました。江戸時代に実用品として流通した伊万里焼にも、運搬、注酒、飲酒など酒にまつわるあらゆるシーンに登場したものもあったでしょう。

戸栗美術館で開催の「酒がおいしい古伊万里展」は、酒をおいしく楽しめそうなうつわ約80点を紹介します。(7月3日~9月21日)

伊万里  染付 龍文 水注/染付 蘭文 杯 江戸時代(17世紀前期)戸栗美術館蔵

本展の見どころを、戸栗美術館の学芸員、小西麻美さんにうかがいました。

「酒にかかわるうつわのことを「酒器(しゅき)」と呼びます。酒を運んだり保管したりするための瓶、うつわに注ぐための銚子(ちょうし)、酒を口にするための杯(はい)や猪口(ちょく)など、酒を楽しむ際にうつわの存在は欠かせません。

伊万里 染付 幾何学文 瓶 江戸時代(17世紀後半)戸栗美術館蔵

土器(かわらけ)や漆の盃、陶磁器の杯や金属器の銚子、提子(ひさげ)など、飲酒の歴史に寄り添って様々な素材のうつわが酒器として使用されてきました。江戸時代には料理文化の発展および居酒屋や料亭といった外食文化の展開に伴い、伊万里焼などの磁器のうつわも食事や飲酒の場面を彩りました。式正の場では、かわらけや漆器、金属器が主に使用されたようですが、19世紀以降には他産地の磁器も流通し、江戸の風俗を色濃くあらわす浮世絵には年中行事や行楽、日常の場面などで磁器を用いる様子がうかがえます。

伊万里 染付 蘭文 猪口 江戸時代(18世紀)戸栗美術館蔵
伊万里 染付 白抜蛸唐草文 鉢 江戸時代(18世紀前半)戸栗美術館蔵

近代以降、鑑賞品として美術的な価値を見出されている伊万里焼ですが、その中にも酒にまつわるあらゆるシーンに登場したうつわがあったでしょう。本展では、伊万里焼を飲酒の場面で「使う」ことに焦点を当てます。絵画や文献資料に見える酒の場面を参照しながら、江戸時代の酒文化とうつわの関係性を紐解きます」

※絵画・文献資料の出展はございません。パネルにて掲示いたします。

伊万里 染付 猩々文 角樽形瓶 江戸時代(17世紀後半) 戸栗美術館蔵

こんな酒器を使ったらきっと酒がおいしくなる、と思わせる作品ばかり。ぜひ会場でご堪能ください。

【開催要項】
酒がおいしい古伊万里展
会期:2026年7月3日(金)~9月21日(月・祝)
会場:戸栗美術館
住所:東京都渋谷区松濤1-11-3
電話:03・3465・0070
公式サイト:https://www.toguri-museum.or.jp/
開館時間:10時~17時(入館受付は16時30分まで)
     ※金・土曜日は~20時(入館受付は19時30分まで)
休館日:月曜日・火曜日
    ※7月20日(月・祝)、8月11日(火・祝)、9月21日(月・祝)は開館
    ※8月1日(土)は「ファミリーデー」として開館
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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