
ライターI(以下I):『豊臣兄弟!』第23回です。毛利輝元(演・濱正悟)、吉川元春(演・こばやし元樹)、小早川隆景(演・山本浩司)、安国寺恵瓊(演・立川談春)、宇喜多直家(演・緋田康人)らが参加する「毛利陣営」の軍議の様子が描かれました。
編集者A(以下A):毛利輝元が「わしから言わせれば、家臣に裏切られるなど愚の骨頂。力に任せ、まことの信を得ておらぬからそうなる。裏切られる者が間抜けなのじゃ」というのが巨大なブーメランになったことが印象に残りました。
I:信長(演・小栗旬)に反旗を翻した荒木村重(演・トータス松本)の説得に行った官兵衛(演・倉悠貴)を人質にして、「官兵衛は我らに寝返ったと広めよ」というのも戦国っぽく感じました。ところどころで、戦国っぽい描写と漫画っぽい描写が交互に出てきますね。今週の漫画っぽい箇所といえば、松寿丸(演・森優理斗)のくだりでしょうか。死期の近い竹中半兵衛(演・菅田将暉)を巻き込んで、結局小一郎(演・仲野太賀)の正室慶(演・吉岡里帆)の出産に半兵衛を立ち会わせた、ということだったんですね。
A:安藤守就(演・田中哲司)と半兵衛が会った際に半兵衛は、「安藤殿」と呼んでいました。半兵衛の正室は安藤守就の娘ですから「父上」と呼ぶのでは? と思ったりしました。小一郎と相婿っぽい絡みもないですから、そういう設定にしていないということなんでしょうね。
I:そういえば、明智光秀(演・要潤)が荒木村重の説得に行っていましたが、光秀の娘と村重の嫡男は結婚していますから、ふたりは親戚ですけど、そんな雰囲気はありませんでしたね。
A:竹中半兵衛と安藤守就の関係もそうですが、そういう設定はカットしているということになるのでしょうか。でも安藤守就に関しては、この先「衝撃の史実」があるのですが、それがいったいどういうふうに描かれるのか心配ですね。
I:心配というか、私はどういう展開にしてくるのか、大注目です。さて、三木城攻めで、秀吉の陣で伏している半兵衛が登場しました。とはいえ直前には、病をおして長浜に帰っているのですから恐れ入ります。
A:半兵衛の息子の重門が、半兵衛を「諸葛孔明」にたとえたエピソードが『豊鑑』に記されていますが、劇中でも高台で、板の上に座して見渡す様子が、諸葛孔明を思わせました。実際には、京都で療養のために滞在していたものの、やはり最期は戦場で散りたいと三木城攻めの秀吉本陣に戻っているのですから……。
I:(引き取って)漢(おとこ)ですよね。そういう半兵衛がほんとうに好き。もっともっと見ていたい半兵衛でした。

安国寺恵瓊と宇喜多直家

A:冒頭に登場していた安国寺恵瓊は、安芸武田家を出自にするといわれる毛利家の外交僧です。安芸武田家は、鎌倉時代に武田信光が安芸守護職を得て入府していますので、もともとは甲斐武田家、若狭武田家、房総半島の武田家からなる「武田一門」の惣領家だったといわれています。
I:武田家は全国にネットワークがあってすごかったんですね。
A:銭を積まれて織田方に寝返った設定の宇喜多直家も登場しました。秀吉の中国攻略戦線の中で、宇喜多直家が織田方についたというのは大きな功績だったのです。そのため、子息の宇喜多秀家が秀吉死後まで厚遇されることになります。
I:前田利家(演・大東駿介)とまつ(演・菅井友香)の娘で秀吉・寧々夫妻の養女になっていた豪姫と結ばれることになります。宇喜多秀家と豪姫の実家前田家との「絆」は幕末まで続く「美談」ですね。
A:その縁のきっかけが描かれたことになります。歴史ってほんとうに深いですね。
I:さて、半兵衛が長浜に帰ったのは、黒田官兵衛の嫡男である松寿丸を殺すためでした。小一郎の「子」与一郎(演・高木波瑠)を巻き込んでのコミックパートが展開されました。
A:制作陣は、「これが令和の太閤記」という心意気だということです。秀吉200回忌にあわせて刊行され、200年以上経っても影響力のある『絵本太閤記』を凌駕することができるのでしょうか。
I:そこも注目ですね。

●編集者A:書籍編集者。かつて『完本 信長全史』(「ビジュアル版逆説の日本史」)を編集した際に、信長関連の史跡を徹底取材。本業では、11月10日刊行の『後世に伝えたい歴史と文化 鶴岡八幡宮宮司の鎌倉案内』を担当。
●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。猫が好き。愛知県出身なので『豊臣兄弟!』を楽しみにしている。神職資格を持っている。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり











