18世紀後半、当代随一の人気絵師、円山応挙の一番弟子であったのが長沢蘆雪。蘆雪の代表作といわれる《虎図襖》は、応挙の名代として和歌山の串本にある臨済宗の無量寺に赴いた際に描いたものです。
1970年に美術史家の辻惟雄が著した名著『奇想の系譜』で、伊藤若冲や曾我蕭白と並んで奇想の絵師として挙げられた蘆雪ですが、辻はそのなかで《虎図襖》の虎を「凄みを欠いていて、むしろ猫を思わせる無邪気さが感じられる」と評しています。

府中市美術館で開催の「春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪」は、「かわいい」をキーワードに蘆雪の創作を振り返ります。(3月14日~5月10日)
本展の見どころを、府中市美術館の広報にうかがいました。
「府中市美術館では毎年春に江戸絵画を中心とする展覧会を開催してきましたが、このシリーズの最後を飾るのが長沢蘆雪です。
近年、たくさんのキャラクターや動物が人気を集めて「かわいい」文化が時代の一大潮流になっていますが、蘆雪の魅力のひとつが「かわいい」です。

子犬や動物、子どもたちを描いた蘆雪の作品は、かわいくて、愉快で、いとおしさに溢れています。こうした描写はどのような歴史のうえに生まれたのか、俵屋宗達や円山応挙らの作品とともにみていきます。

◎前期展示

蘆雪を語るうえで欠かせないのが、かわいいものに加えて、風景や人物、ファンタスティックな世界など多彩な作品群です。蘆雪の根っこにある禅の思想や、命あるものを慈しむ仏教の教えも見逃せません。無量寺の龍と虎を深く楽しむための展示もお楽しみください」

東京では64年ぶりとなる蘆雪展を、府中の森公園の桜や若葉とともにお楽しみください。
【開催要項】
春の江戸絵画まつり 長沢蘆雪
会期:2026年3月14日(土)~5月10日(日) ※期間中大幅な展示替えあり
前期3月14日(土)~4月12日(日)後期4月14日(火)~5月10日(日)
会場:府中市美術館 2階企画展示室
住所:東京都府中市浅間町1-3 都立府中の森公園内
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/
開館時間:10時~17時(展示室入場は16時30分まで)
休館日:月曜日(ただし5月4日は開館)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝











