物価高が続くなか、もはや節約や節税だけではお金のやりくりが厳しくなってきている現状。そんなとき、もらえるお金を少しでも増やすことができたら、ありがたいですよね。

さまざまに設定されている制度をきちんと利用すれば、もらえるお金を増やすことができるかもしれません。そんなありがたい今すぐ役立つ情報をまとめたのが『初めてでも簡単! 知って得する60歳からの「届け出」だけでもらえるお金』(宝島社)です。

監修の小泉正典さんは、これからは「働きながら年金を増やす」時代だと言います。それぞれの生活や仕事にあった制度を賢く利用して、もらえるお金を増やしましょう。

そこで、今回は『初めてでも簡単! 知って得する60歳からの「届け出」だけでもらえるお金』の中から、定年の際の届け出でもらえる給付金についてご紹介します。定年を迎えても働き続ける人が多い昨今、サポートする制度も増えています。見逃さずにしっかり受給しましょう。

監修/小泉正典

定年で退職後、求職活動をすれば「失業給付」が受けられる

もらえるお金→基本手当日額の上限7420円 ※60歳以上65歳未満

定年退職者は受給期間を1年間延長できる

雇用保険に加入して働いていた会社員が会社を辞め、ハローワークで求職の申し込みをすると、失業状態の間、「失業給付(雇用保険の基本手当)」が支給されます。これは定年で会社を退職した人にも適用され、65歳未満で求職していれば給付を受けられます。

受給期間は原則として離職した日の翌日から1年間で、この期間中に失業している期間について「所定給付日数」の給付を受けられます。

ただし、60歳以上の定年退職者は、定年後すぐに仕事を探さずに、少し休んでから働きたい場合、離職日の翌日から2か月以内に「受給期間延長申請書」を提出すると受給期間を1年延長できます。

なお基本手当は、老齢年金と同時に受けることはできません。

【定年退職は会社都合? 自己都合?】
定年退職は、退職する日が事前にわかるため、その後の準備ができるという意味で、給付日数は自己都合で会社を辞めた人と同じになります。ただし、3か月の給付制限期間はなくなります。また、60歳で定年を迎えた人が、65歳までの継続雇用を希望したのに会社に拒まれた場合は、会社都合と同じ給付日数になることもあります。

65歳から受給できる「高年齢求職者給付金」

一方、65歳を超えると、雇用保険の基本手当は支給されません。その代わりに年金と一緒に受け取れる「高年齢求職者給付金」が受給できます。

給付が受けられるのは、原則として離職前の1年間に雇用保険の加入期間が通算6か月以上ある人です。支給額は、離職前の6か月間に支払われた賃金総額を180で割った額(賃金日額)の50~80%です。支給される日額の上限は7065円で、雇用保険の加入期間が1年未満なら30日分、1年以上なら50日分が一括で支給されます。

たとえば、1年以上雇用保険に入っていた人が、上限相当の賃金で働いていたとすると、一時金として35万3250円受け取れます。また、年金と同時に受けても、どちらも減額されません。

【高年齢求職者給付金】
●離職の日以前1年間で、雇用保険に合計6か月以上加入
●支給額は日額2295円(下限)~7065円(上限)×給付日数(毎年8月に改訂あり)
●一時金としての支給で、条件を満たせば失業するたびに何歳でも何回でも受給できる

定年後の継続雇用で60歳のときの給料の75%より下がるともらえる「高年齢雇用継続基本給付金」

もらえるお金→60歳時点の賃金の最大10%

下がった給料の一部を65歳になるまで補填

定年後に継続雇用で同じ会社で働く場合、60歳以降は給料が減額されてしまうことが少なくありません。そういった人を支援する制度が「高年齢雇用継続基本給付金」です。継続雇用で支払われる賃金が60歳時点の75%未満に下がった人は、雇用保険から給付金がもらえます。

対象は、60~64歳で、これまでに5年以上雇用保険に加入し、引き続き雇用保険に加入している人です。

60歳時点の賃金の最大10%を支給

支給額は60歳以前の賃金からどれくらい少なくなったかによって変わります。

たとえば賃金が60歳以前の61%以下に低下した場合、現在の賃金の10%が支給されます。これが最大で、61%以上75%未満に減額した場合まで、減額率に応じて支給されます。

具体的に見てみると、60歳時点の給料が30万円だった人が、継続雇用後の賃金が18万円になった場合、給料は60%に下がったことになるので、18万円の10%である1万8000円が、65歳まで毎月給付されます。継続雇用後の賃金が23万円だったときは、75%以上の給料が支払われているため、給付はありません。

60歳時点で雇用保険の加入期間5年以上を満たしていない人も、その後続けて働いて5年の要件を満たしたとき、給料が75%未満になっていたら、65歳まで給付が受けられます。

ただし、再就職が60歳以上でないと給付対象にならないので注意してください。

65歳雇用完全義務化により廃止

この制度は、令和7年度から65歳までの雇用が完全義務化されることに伴い、今後段階的に縮小され廃止される予定です。

※令和7年5月1日時点での法律、制度などの情報に基づいて作成しています。

*  *  *

初めてでも簡単! 知って得する60歳からの「届け出」だけでもらえるお金
監修/小泉正典
宝島社 1210円(税込)

小泉正典
1971年生まれ。栃木県出身。明星大学人文学部経済学科卒業。社会保険労務士 小泉事務所代表。一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は、労働・社会保険制度全般、および社員がイキイキと働きやすい職場づくりコンサルティング。監修書に『知って得する! 制度・支援・補助金 社会保障一覧表 2024年度版』(アントレックス)、『最新版 図解「届け出」だけでお金がもらえる制度一覧』(三笠書房)、『60歳からの得する! 年金 働きながら「届け出」だけでお金がもらえる本 2025-26年最新版』(講談社)などがある。メディア出演、講演、セミナーなども多数。

 

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