最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか、「読めるけれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く力が衰えたと実感することもあります。

動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。

「脳トレ漢字」第81回は、「直垂」をご紹介します。鎌倉~江戸時代にかけて着られた着衣の名称です。

脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。

「直垂」はなんと読む?

「直垂」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「じかたれ」でも「ちょくすい」でもなく……

正解は……
「ひたたれ」です。

『小学館デジタル大辞泉』では、「垂領(たりくび)で衽(おくみ)がなく、組紐(くみひも)の菊綴(きくと)じ・胸紐があり、袖括(そでぐくり)をつけて露(つゆ)を垂らした衣服」と説明されています。

左右の前身頃を引き違えて合わせて着る、つまりVネックになった「垂領(たれくび)」と呼ばれる上衣と、同色の袴を組み合わせた装束です。衿(えり)の左右に紐を付けてこれを結んで、前を留め、袖をくくって、裾は袴の中に入れて着用します。今日では雅楽の楽師や、大相撲の行司などが着用している姿を見ることが出来ます。

「直垂」の漢字の由来とは?

「直垂」の語源は諸説あると考えられています。その内の一つに、「ヒタ(直)とタレ(垂)た」の意味に由来する、という説があります。「直」と書いて「ひた」と読む場合は「じかに、ぴったりと」という意味になります。また、「垂」は「襟を肩から胸の左右に垂らすこと」を表していると考えられています。

襟の種類である「盤領(まるえり)」が、首を囲うように丸く仕立てた円形の襟であるのに対し、「垂領(たりくび)」は肩から胸の左右に垂らした襟を指しており、これが「直垂」の襟元に当たります。その特徴を表して、襟が「“直”と“垂”れた」服装を「直垂」と呼んだと考えられます。

「直垂」の歴史

「直垂」は、もともと庶民の平服でした。しかし、平安後期に活動的なところが評価されて武士が着用しはじめ、鎌倉時代になると幕府に出仕する時の通常服となりました。そして、室町時代以降には、礼装としての地位を占めるようになったとされています。江戸時代に入ると、束帯などを除いた一般的な最高級礼装となりました。

日本において、武家の服装を代表する服の起源、それは庶民の平服だったのです。

***

いかがでしたか? 今回の「直垂」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 鎌倉時代を舞台にした、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でも「直垂」が見られるかもしれません。ぜひ、衣装にも注目してみてはいかがでしょうか。

来週もお楽しみに。

文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
HP:http://kyotomedialine.com
Facebook:https://www.facebook.com/kyotomedialine/

 

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