関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、肉親を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。

***

今回の依頼者は、稲村雄二さん(仮名・63歳)。元国際線パイロットで、現在は後進の育成にあたっています。結婚25年、10歳年下の元CAの妻(53歳)が雄二さんを避けることに不安を覚えて、私たちに調査を依頼。

【これまでの経緯は前編で】

平日に動きがあると確信する夫

雄二さんの妻は、土日に息子(22歳)が実家に帰ることを楽しみにしており、この日は機嫌がいいとのことで、平日に動きがあると確信。

雄二さんを避けるように、毎日のようにどこかに出かけているので、妻が外出するという朝の10時を狙って朝から張り込みを開始。

雄二さんの自宅は、都内の高級住宅街なのですが、ガレージには車が3台。キャンプ用の大型車、雄二さん用のドイツのスポーツカー、息子と妻用であるというイタリアのカラフルなコンパクトカーが並ぶのは圧巻。もちろんシャッターは下りているのですが、その輝きに富の気配を感じます。

予想通り、妻は10時にでてきました。スタイルがよくヒップがきゅっと上がっている。神は黒くツヤツヤで、無造作にまとめられている。芸能人とも言えるほどのルックスです。

駅まで歩くと、フィットネススタジオに入っていきました。そこで2時間程度汗を流してから、13時にカフェに入り、サラダとステーキのランチ。すると、雄二さんに似ている背が高いハンサムな男性がやってきました。

会話を察するに、2人は小学校の同級生。妻はここが地元ですから、人間関係は密のようです。

男性は「今日もキレイだね」などと言っており、妻はまんざらでもなさそう。会話を聞くと、妻は雄二さんをうっとうしいと思っている。なぜなら、雄二さんが家事をするたびに「僕、これをやったよ」と言ってくるからだという。

「恩着せがましいのよ。シャンプー切れてたから買ってきたよ! とかいちいち言われると、カチンとくる」などと言いたい放題。妻はずっと仕事をしたかったようで、それなのに国際線パイロットの妻ゆえに、キャリアを諦めなければなかった。それが当たり前だと思っている夫・雄二さんへの恨みをこの男性に炸裂させている。

男性は、「まあまあいいじゃん」みたいな様子で、妻の様子を見つつ、「またね~」と立ち去って行きました。私たちはこの男性と浮気があると思っていたので拍子抜け。

妻はランチを食べ終わると、駅前の古いマンションに入っていきます。表札を見ると、妻のイニシャルを冠したサロン名がある。妻はこの別宅で1日を過ごしている様子。

以上を依頼者・雄二さんに報告すると、「ありがとうございます。そうか、そういうことでしたか」と言っていました。この「家事ドヤり」のようなものは、無自覚であっても、相手に恩を着せることでもある。夫のこうした行動を嫌う妻は多いのです。

【きっと、まだあるはず……という追加調査で出てきた事実~次のページへ続きます】

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