取材・文/ふじのあやこ

家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。(~その1~はコチラ

今回お話を伺ったのは、都内にて旦那さまと、2歳差の娘さん2人との4人で暮らしている春美さん(仮名・40歳)。千葉県出身で、両親と5歳上に兄、2歳下に妹のいる5人家族。一度は自分に向けられていた母親の干渉が大学合格とともに妹に移行。その時の孤独と嫉妬が大人になってからも取れなかったと言います。

「私が現役で大学に合格して、妹は美大に一浪してからの合格で一度は母親の期待を裏切ったはずなのに、母親はまだ妹に付きっきりの状態でした。その後私が就職とともに一人暮らしを始めてからは一緒に暮らしている時のようなモヤモヤこそなくなって母親とは平和に定期的な連絡を取ってはいました。でも、母親の話題はいつも妹のことばかりで、それにイライラしてしまっていましたね。もうまったく連絡を取っていない妹のことが嫌いで仕方なかったし、そんな親離れできていない自分も恥ずかしくて、こんな気持ちがあることを誰にも言えませんでした」

子どもを産んだ時に放任だった父親も孫に夢中。母親も再び自分を見てくれた

有名企業に就職できた春美さんですが、一般職でサポート的な業務が多く、仕事にやりがいを感じられないことも多かったとか。それでも仕事を続け、仕事を辞めたのは寿退社で。29歳の時に紹介で知り合った男性と結婚します。

「仕事は決められたことをただやるだけ、誰でもできるようなことばかりでやりがいを感じられるものではありませんでした。当たり前にできるものなんて誰も褒めてはくれませんし、流れ作業のように毎日ただ仕事に行って、時間を消費するだけでしたね。

婚活を始めたのは26歳の時です。20代のうちに結婚するなら今から動かないといけないかなって。26歳までに付き合った男性はいましたけど、結婚を意識したような付き合いは誰ともしてきませんでした。夫は友人の紹介で知り合い、4歳年上の普通のサラリーマンです。高給取りでもなかったけど、私が働く必要はない程度の稼ぎがある人で、夫は子どもが好きだったからいいかなって。自分の父のように、お金だけ稼いでくるけど子どもをかわいがるということを知らない父親にはならないと思ったので、結婚を決めました」

結婚の翌年には長女、その2年後には次女と、2人の子宝に恵まれます。

「私の両親も相手のご両親もとても喜んでくれました。子どもができた時は本当に嬉しかったです。それにあんなに不愛想で私たちに興味がなかった父親が孫にデレデレで(苦笑)。それに当時は妹はアートの勉強をしたいとかいって海外の学校に通っていたんで、母親も兄のところの嫁の子どもよりも私の孫のほうをよりかわいがってくれて、それが言い方は悪いかもしれないけど、とても気分が良かったんです。子どもの頃から初めて、みんなが自分のことを気にかけてくれているって思えました。

唯一気になるところといったら、妹の学費は両親から出ていて、30歳前になってもまだ親に頼っていることが気にはなっていましたけどね」

【次ページに続きます】

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