ライカと言えば、銀塩時代にレンジファインダーカメラの王者として君臨した『M3』を思い浮かべる方が多いと思います。同社はその伝統を引き継いでフルサイズでレンジファインダーを搭載したレンズ交換式デジタルカメラを製品化してきました。
今回、仲間に加わるのは、レンズ非交換式、光学式手ブレ補正機能、EVF内蔵、Wi-Fi/NFC対応、フルHD動画対応、フルサイズセンサー搭載のデジタルカメラ『LEICA Q』(Typ116)です。発売日は6月20日、価格は58万6440円(税込)を予定しています。
この『LEICA Q』のお披露目は代官山「T-SITE」でおこなわれ、ダウンライトの落ち着いた空間で発表会が始まりました。ここに登場したのが、ドイツから来日したライカカメラCEO、オリバー・カルトナー氏です。ライカは小さな会社だが、世界を旅してライカファンに出会い、ライカが特別な存在あることに気付かされ、その重責を感じたそうです。
今まで銀塩カメラの操作性とデザインを残したデジタルカメラにこだわってきたライカですが、今回は一味違います。フルサイズセンサー+ズミルックス28mmF1.7という明るい広角レンズを搭載。デザインはライカそのものですが、操作性、機能性、性能に関しては最新技術を惜しげなく投入しました。
『LEICA Q』はレンズ固定式ですがクロップ機能を使って、素早く28mm、35mm、50mmの画角が選べます。つまり『LEICA Q』は常に交換レンズ3本を内蔵しているわけです。28mmレンズはフォーカスリングに指掛けがあり、AFのロックを解除するとマニュアルフォーカスレンズと同じく、ほどよい抵抗感がありつつなめらかに動きます。MF操作時にはEVFまたは液晶モニターが自動的に拡大表示になりピーキングも表示されるため、レンジファインダーより厳密なピント合わせが素早くできるのです。もちろん、絞り込んで被写界深度を使えばスナップ撮影も自由自在です。AF時にはタッチパネルを使って、狙った位置にフォーカスエリアを動かせます。
撮影した画像は専用アプリを使ってスマホに転送、SNSにアップできます。必要とあればHD動画も撮れるなど、従来の厳格なライカからは考えられないほど『LEICA Q』は進んでいます。『LEICA T』的な側面があり、また『LEICA M』的でもあります。今までのライカのいいとこ取りをした温故知新デジタルカメラと言えるでしょう。