氷文化が息づく奈良で進化著しいかき氷。数あるお店の中でも圧倒的なこだわりと独創性で五感を満たしてくれる、名店の逸品を紹介します。
『kakigori ほうせき箱』
かき氷の聖地、奈良の食文化を地産の素材と多彩な味わいで発信

スパイスや甘葛煎、柿の葉茶と和紅茶で奈良の歴史を表現し、泡状のヨーグルトソースで現代風に仕立てた。1800円。
奈良のかき氷文化の礎を築き、今や“聖地”と称されるこの地を代表する『kakigori ほうせき箱』。2015年に創業、甘葛煎再現プロジェクトにも協力をし、最古のかき氷と最新の表現の融合に注力している。
口に運ぶごとに変化する甘みや酸味は、熟考された深い味わい。その名の通り、さまざまな要素が宝石のようにちりばめられている。
「氷はもちろんですが、素材を主役に考え、生産者の方々とのご縁や奈良の歴史、物語をかき氷にのせてお伝えしたい」と語るのは店主の岡田桂子さん。
その想いを象徴する「香茶氷」は、奈良の歴史と現代の味覚が交錯する新作。天平時代にまで遡る丁子やシナモン、生姜といったスパイスを効かせたクラフトコーラを基調とし、地産の柿の葉茶と和紅茶を合わせた特製シロップを回しかけ、食べ進めれば、ハイビスカスシロップの鮮烈な赤が現れるという粋な趣向だ。さらに氷の頂には甘葛煎の甘みをもとに開発した甘葛シロップを使った寒天を配し、全体をまろやかなヨーグルトソースがまとめ上げている。
奈良の過去と現在を繋ぐ架け橋のような一杯だ。
kakigori ほうせき箱


奈良市餅飯殿町47
電話:0742・93・4260
営業時間:10時〜17時(土・日・祝日17時30分まで)、12時50分〜14時まで休憩の日もあり
定休日:木曜
交通アクセス:近鉄奈良駅から徒歩約8分
※季節によってかき氷の内容は変わります。
『Labo103 新大宮』
氷の概念を超える感動体験。異色の経歴が生む独創の一杯を古都で味わう

(下)焼きとうもろこし
オーダーを受けてから炙る香ばしいとうもろこしをトッピングした「焼きとうもろこし」は5月中旬から9月中旬頃までの提供。2000円。濃厚な塩キャラメルソースと氷の繊細な口どけが調和するように試作を重ねた力作「ナッツと塩キャラメル」1000円。
かき氷の激戦区・奈良にあって、ひときわ斬新な一皿で輝きを放つ一軒。2019年に学園前店(夏期のみ会員制)、2024年に新大宮店をオープンした店主の垣内祐紀子さんは、パティシエやドルフィンスイムガイド、医薬品研究者、飲食店マネージャーを経て独立。その多彩な経験で培った緻密な視点と多面的なアプローチこそが、既存の枠にとらわれない独創的な一杯を生み出す礎となっている。
「かき氷は無限の可能性を秘めた素材」と捉え、開発したかき氷は300種類以上に及ぶ。引き算の美学を追求した洗練の味から、旬の果物や野菜を大胆に構成した季節の一杯まで、多彩を極める。
中でも「焼きとうもろこし」は、3年の歳月を費やして完成させた一品。糖度の高いホワイトコーンを使用したソースと、醤油シロップ、香ばしく炙ったとうもろこしが織りなす甘みと塩味のバランスは絶妙で、甘じょっぱい余韻が心地よく続く。
メニューは、定番の「ナッツと塩キャラメル」といった洋菓子系から和菓子系、料理の領域に達するものまで、常時12種類ほど。2品、3品とたいらげる人もいるという。
Labo103 新大宮


奈良市芝辻町4-8-3ベルアンジュ奈良1階C区画
電話:非公開
営業時間:11時〜21時
定休日:不定 営業時間、予約についてはInstagramを参照。
交通アクセス:近鉄奈良線新大宮駅から徒歩約3分
※季節によってかき氷の内容は変わります。
取材・文/西村晶子 撮影/内藤貞保
※『サライ』2026年8月号より












