海辺に佇む、均整のとれた赤レンガ造りのゴシック様式
堂崎天主堂
奥浦湾に面して立つ。明治41年(1908)竣工。天主堂内は「堂崎天主堂キリシタン資料館」として公開されている。住所:長崎県五島市奥浦町堂崎2019 電話:0959・73・0705 開館時間:9時~17時(夏休み期間は~18時、11月11日~3月20日は~16時)定休日:12月30日~1月3日 料金:500円 交通アクセス:福江港から車で約20分 写真/縄手英樹・アフロ

福江島は五島列島最大の島で、江戸時代に五島藩の藩庁が置かれた。江戸後期には多くのキリシタンが長崎沿岸部から移住し、密かに信仰を守り続けたという。明治になって禁教が解かれたのち、福江島におけるキリスト教布教の拠点となったのが堂崎天主堂である。

定期船から福江湾と福江の町を望む。背後には標高約315mの鬼岳がそびえる。福江港は五島列島各地や長崎、博多への起点。

堂崎天主堂は福江島の北東端に位置し、奥浦湾に面している。広い浅瀬に面した道を歩いてゆくと、青みがかった瓦屋根を冠した赤褐色のレンガ造りの建物が見えてくる。このように、五島列島の教会堂の多くは海に面して立っており、船を操って礼拝にきた信徒も多かったことだろう。

この地に、まずはフランス人宣教師のマルマン神父が教会堂を建て、後任のペルー神父のもと、日本人大工が腕を発揮し、明治41年(1908)にレンガ造りの教会堂が完成した。教会堂の側面に床まで伸びた窓が並んでいるのが特徴的で、解説の山田さんによれば、かつての教会堂では信徒たちが畳に正座して祈っていたため、視線に合わせて窓が低い位置まで開かれたのだろうという。

長細いアーチ形の「掃き出し窓」
教会堂の側面は床面から開く掃き出しのステンド窓が並ぶ。ミサに集まった信徒たちは、これらの窓からも出入りした。

レンガ造りの、いかにも堅固な外観は、福江島の信徒たちの信仰の姿を物語っているようだ。

ハコフグを焼いた名物料理

五島列島の新鮮な魚介料理を味わいたいと、福江港近くに店を構える創業36年の日本料理店『いけす割烹 心誠』を訪ねた。人気料理は、五島の海で水揚げされたキビナゴやイカの刺身、そして漁師料理がルーツという「ハコフグのみそ焼き」だ。

「五島近海の魚は何より食感が優れています」と店主の佐野さん。奥から、朝に獲れた鮮度抜群の「キビナゴの刺身」1200円。中央は「イカソーメン」1300円。噛むほどに上品な旨味が口に広がる。手前は「ハコフグのみそ焼き」2000~3000円(大きさによる)。味噌の甘みが福江島産の焼酎とよく合う。
ハコフグに味噌を詰めた五島の漁師料理を味わう
いけす割烹 心誠
カウンター、テーブルなど全100席。海をこよなく愛する佐野さんとの会話も楽しみたい。●住所:長崎県五島市福江町10-5 電話:0959・74・3552 営業時間:11時~13時(最終注文)、17時~21時(最終注文) 定休日:水曜、年末年始 交通アクセス:福江港から徒歩約10分

「ハコフグは硬い皮に覆われ、身の量はわずか。そこで、腹を切り開いて内臓を取り、たっぷりと味噌を詰めて焼き上げます。身と肝を箸でほぐし、味噌と絡めて味わうと、奥深い風味が広がります」と店主の佐野誠さん(62歳)。

フグの身と絡めた味噌の香ばしさについつい杯が進む。

福江島の五島つばき空港へは、長崎空港、または福岡空港から飛行機で約30~40分。福江港へは長崎港からジェットフォイルで約1時間25分、博多港から夜行フェリーで約8時間30分。

解説 山田由香里さん(長崎総合科学大学教授)

神奈川大学大学院修了。博士(工学)。平戸市教育委員会、各務原市教育委員会を経て現職。著書に『長崎の教会堂─風景のなかの建築』(共著)、『鉄川与助の大工道具』など。 写真/藪内成基

取材・文/藪内成基 撮影/松隈直樹

※『サライ』2026年7月号より

7月号特集は『日本の原風景に出会う「離島」へ』

 

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