
2025年5月16日、マスターカードは2025年の旅行動向に関する最新レポート『Travel trends 2025』を発表。「全世界における、この夏の注目旅行先ランキング」を見ると、1位が東京、2位が大阪だった。ちなみに3位はパリ、4位は上海市、5位はマヨルカ島(スペイン)だ。
哲人さん(63歳)は大手メーカーを定年退職し、再雇用されたが1年前に辞め、この1年間、旅行ばかりしているという。「再雇用の給料は、思いのほか安く、仕事内容は変わらない。もう十分貢献したので、任期満了前に辞めました。時間ができたから旅をしようと思ったのですが、これが結構、難しい」という。
同世代の女友達と旅がしたい
哲人さんは仕事人間だったが、今は旅を趣味するために奮闘しているという。
「新卒で会社に入ってから、何があっても仕事優先。新婚旅行も途中で帰りたくなるほど、仕事が好きでした。でも、それは会社が与えてくれる仕事をこなしている方が楽だったから。子供の頃から自分で何かをするよりも、誰かの指示に従う性格でした」
結婚も妻からのプロポーズで、家事も子育ても妻がリードしていたという。
「飲み会で知り合った妻は、実の父と兄が経営する会社の専務をやりながら、息子2人を、中学校から私立に入れて、社会人に育て上げた。定年後にわかった妻の凄さは、持ち家の購入についての揺るがぬ意思と計画です」
哲人さんの自宅マンションは、結婚した28歳の時に購入した。当時、かなり無理をしなければならない金額だったが、妻に「どうしても買うべきだ」とゴリ押しされ、哲人さんの反対を押し切って購入。
「マンションの名義は妻です。その時、“一生ここに縛られ、妻の言いなりになるのか”と絶望的になりましたが、妻は自分の収入を繰り上げ返済に充て、20年で完済してしまった。それが本当に大正解だと今になってわかったのです」
それは、同期たちが30代後半で課長就任と同時にマンションを購入し、35年ローンを組み、返済に苦しんでいる姿を見たからだ。
「彼らは再雇用で不本意な扱いを受けても、住宅ローンのために辞められない。再雇用の扱いは、本当にひどいんです。それまでの6割の給料で同じ仕事なんですから……そんなグチを妻に言うと、“もう会社を辞めて、自由になって。家もあるし、お金もある。健康なうちに好きなことをしたら?”と提案してくれたのです。確かに、元気な時間は限られている。そこで、会社を辞めることにしました」
といっても、仕事人間の哲人さんに好きなことは特にない。
「会社を辞めて1週間はソワソワしていたのですが、“自由だ!”という喜びと達成感に包まれるようになったのです。これからは、1週間でも2週間でも、旅行に行ける。旅を思いついたのは、友達のFacebookの楽しそうな旅の姿を羨ましいと思っていたから」
旅慣れた友人たちは、同世代の女友達と3〜4人で、国内外を旅行していた。
「鉄道や日本酒、美術館が好きな友人たちの旅行の投稿に憧れていたのです。“女友達と一緒”というのも、いい。40代後半から、色恋は抜ける。純粋に趣味で繋がっているから、いろんな旅ができるんだなと。彼らの投稿には、“友人のおかげで知識を深めた充実の旅でした”みたいな内容が書かれており、いいなと」
【一緒に旅行に行くほど親しくない……次のページに続きます】
