文/鈴木拓也

画像はイメージです。

人体の老化の仕組みは、長い間ブラックボックスであったが、生命科学の進歩によって様々なことが解明されつつある。

その1つのキーワードが「アルデヒド」。なにか聞き覚えのある言葉だが、体内では当たり前のように作られている物質の総称である。例えば、お酒を飲むとアルコールが分解され、アセトアルデヒドという物質が生まれるが、これもアルデヒドの1種である。

このアルデヒドが、「老化を引き起こす悪の元凶」と言うのは、同志社大学生命医科学部糖化ストレス研究センターの八木雅之客員教授だ。

八木客員教授は、糖化研究では日本を代表する第一人者。「抗糖化」「糖化ストレス」という言葉の生みの親でもあり、先般『最新科学でわかった 老けない食べ方の新常識』(三笠書房 https://www.mikasashobo.co.jp/c/books/?id=100406400)を上梓している。

何を食べてもアルデヒドは発生する

糖化が、老化現象に直結する一要因と知られるようになって久しい。世間では、糖質を減らせば糖化を防げるという考えで、ケトジェニックダイエットなど極端な糖質制限を行っている人もいる。

しかし、こうしたやり方は間違いであるばかりでなく逆効果だと、八木客員教授は本書で警鐘を鳴らす。ケトジェニックダイエットは、糖質をゼロに近づける代わりに「脂質をいくら摂ってもよい」とするが、それだと体内で有害な過酸化脂質が増加することになる。そして、過酸化脂質が分解される過程で、アルデヒドが生成される。アルデヒドは糖と同様に体のタンパク質と反応して終末糖化物質(AGEs)となり、結局老化が進行してしまう。

そもそも、糖質であれ脂質であれ、食べた物は何であってもアルデヒドを発生させるという。

本書では、そのプロセスをシンプルに「食事→アルデヒドの発生→糖化反応→AGEsの生成→老化」と記されている。さらに、食後の血糖値の上昇が激しいと、発生するアルデヒドも急速に増加するアルデヒドスパークが存在するとも。

とは言え、残りの人生で何も食べないという選択肢は不可能。では、どうすればいいのか?

「公式」に沿った食事で老化を防止

八木客員教授が、本書で提唱するアルデヒド対策もまたシンプルだ。

その名は、「老化を防ぐ食べ方公式」。やり方としては、1食の中でタンパク質、脂質、酸を一緒に摂るようにする「黄金トリオ」のメニュー。このメニューが体内で作用し、血糖値の急上昇とアルデヒドの過剰発生を防いでくれるという。

例えば、「ラーメン×酢×スープ」の組み合わせ。ラーメンの麺は糖質の塊で、これが血糖値を上昇させる。そこで、麺をすする前に、レンゲ1杯のラーメンスープに少量の酢を加えて飲む。スープ自体は、肉・魚介由来のタンパク質と脂質が豊富。つまり、タンパク質、脂質、酸の「黄金トリオ」が完成する。これによって血糖値の上昇は緩やかとなり、アルデヒドの大量発生も防止できる。

このとき注意したいのは、酢は原液のままで飲まないこと。強めの酸なので、むせたり、歯のエナメル質や消化器官の粘膜が傷ついたりする恐れがある。

「ラーメン×酢×スープ」のほかに、「カルボナーラ×レモン水」「うどん×温玉」など、バリエーションは様々。公式さえ踏まえておけば、食べるものを厳しく制限する必要はないのである。

果糖があっても果物は食べていい

また、公式とは別の、アルデヒドを防ぐ食べ方も紹介されている。

その1つが「ヨーグルト・ファースト」。無糖のヨーグルトには、血糖値上昇を抑える作用があって推奨されている。食べるタイミングは、主食を含む食事を食べる直前で、分量の目安は100~200g。ヨーグルトに含まれる乳酸が糖の吸収を穏やかにし、結果として血糖値の上昇も緩やかになる。

また、塩分が多いと敬遠されがちな醤油だが、これに含まれるメラノイジンという成分には、耐糖能改善作用、抗糖化作用、抗酸化作用などがある。なかでも、AGEs生成抑制率では白醤油が、抗酸化作用では濃口醤油がトップ。食事に応じて使い分けると、ダブルの効果が期待できる。

他方、果糖は糖化が早く進むことから、「果物を避けるべき」という主張がある。しかし、八木客員教授は、「果物には果糖の問題以上に強力な抗糖化成分が豊富」とし、適量食べることをすすめている。実験では、ほとんどの果物がAGEsの生成を抑制したことが確認されている。特に効果が高かったのは、フルーツトマト、パイナップル、グレープフルーツなど。日頃から積極的に取り入れてみるといいだろう。

本書ではこのほか、体内にすでに生成されたAGEsを消去する食材や、朝食を抜く危険性など、食生活面でのアンチエイジングの秘訣が多数網羅されている。つらい食事制限をせずに、いつまでも若々しさを保ちたければ、ぜひ読んでおきたい1冊だ。

【今日の健康に良い1冊】
『最新科学でわかった 老けない食べ方の新常識』

八木雅之著
定価1870円
三笠書房

文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った写真をInstagram (https://www.instagram.com/happysuzuki/)に掲載している。

 

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