ドラッグストアで陳列されていて、よく目にする漢方薬。
「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。
今回のテーマは、「平胃散(へいいさん)」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、碇純子さんに教えてもらいました。
平胃散はどんな人におすすめ?
平胃散が向いている人の体質や悩みを3つご紹介します。
1.胃もたれに悩んでいる人
平胃散は、食べ過ぎによる胃もたれや、食欲不振、消化不良に悩んでいる人におすすめの漢方薬です。
胃腸の働きをよくして消化を促し、水分の循環をよくすることで胃腸の不調に働きかけます。
2.食後におなかが鳴って下痢の傾向のある人
平胃散は、食後におなかが鳴ったり、下痢になったりしやすい人におすすめです。
胃腸の機能を整え、腹部のガスを取り除くことでおなかが鳴るのを抑えます。また、水分代謝をよくしておなかにたまった水分を取り除くことで下痢や軟便の改善にも働きかけます。
3.体力中等度以上の人
平胃散は、比較的体力がある人に適した漢方薬です。
体力は病気への抵抗力(いわゆる免疫力のレベル)や、現在の体力の状態などを目安にしています。平胃散の目安は中等度以上のため、通常の生活をするのに問題がない程度の体力がある人に用いられます。
幅広い人に向いている漢方薬です。
平胃散とは?
平胃散とはどのような漢方薬なのか、効能・効果や基本の飲み方を解説します。
1.効能・効果
平胃散は、胃もたれや消化不良、おなかの張り、食後の下痢などを改善する漢方薬です。
胃腸にたまった水分を取り除き、膨満感やガスを緩和する「蒼朮(そうじゅつ)」、「厚朴(こうぼく)」と「陳皮(ちんぴ)」に、胃腸の機能を整える基本の組み合わせである「生姜(しょうきょう)」、「大棗(たいそう)」と「甘草(かんぞう)」が配合された全部で6種類の生薬から構成されています。
おなかの中の余分な水分を取り除き、胃腸の消化吸収機能を調えて体内の水分循環をよくすることで、様々な胃腸の不調に働きかけます。
2.基本の飲み方
平胃散は、食前(食事の約30分前)または食間(食事から約2時間後の空腹時)に水やぬるま湯で飲んでください。
飲み忘れた場合は、気づいたときに1回分飲んで問題ありません。しかし、次の服用まで時間が短いときは1回分を飛ばしてください。2回分以上をまとめて服用してはいけません。用法用量を守って服用してください。
平胃散に副作用はある? 安心して服用するには
漢方薬の副作用は、一般的に西洋薬より少ないといわれていますが、絶対に起こらないわけではありません。
平胃散で起きる可能性のある症状には以下があります。
・浮腫み
・尿量の減少
・胃の不快感
・食欲不振
・軽い吐き気
まれに、偽アルドステロン症やミオパチーなどの重篤な症状が起こることがあります。
もし、上記のような副作用が疑われる症状があらわれた場合は、服用を中断して医師に相談してください。
また、甘草の過剰摂取によって副作用が起こることもあるため、甘草を含む他の漢方薬といっしょに飲むときは注意が必要です。複数の漢方薬を併用する場合や、1か月以上服用しても症状がよくならない場合にも、医師または薬剤師に相談してください。
漢方薬を選ぶ際にはご自身の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起こることもあります。
そのため、購入時には漢方に精通した医師や薬剤師などに相談し、ご自身に適した漢方薬を選んでもらいましょう。
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胃もたれや食後の下痢に「平胃散」
平胃散は、胃もたれや食後の下痢など、胃腸のトラブル全般に活用できる漢方薬です。ただし、体質に合わない場合は効果を感じられなかったり副作用を起こしたりするため、服用する際は医師や薬剤師など漢方の専門家に相談してから使用しましょう。
<この記事を書いた人>
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