夏の風物詩・かき氷の進化が止まらない。自家製シロップや独創的な組み合わせなど、店主の自由な発想で誕生したかき氷は多彩な味で芸術的。夏の暑い季節に清涼感ととろけるような美味が楽しめる、新しいかき氷を紹介する。

『目白 志むら』の白玉
こし餡は北海道産の小豆をじっくり炊き上げ、氷になじむよう丁寧に練り上げたもの。極上のなめらかさに恍惚となる。1750円。
『SATSUKI』のパイナップルかき氷?
器に見立てたパイナップルで華やかさが倍増。ココナッツゼリーとタピオカの食感がアクセントになり、南国の香りに包まれる。3025円。
『目白 志むら』の白玉
初めて「白玉」を見る人は、その姿に驚くに違いない。崖のようにそびえ立つ氷にしなやかに美しく流れ落ちるこし餡。器の縁ギリギリに浮かぶ白玉。1939年創業の和菓子店『目白 志むら』の名作である。
かき氷を提供し始めたのは1950年頃。「当初は宇治金時や白玉などの定番のみ。かき氷の人気にともない店でもアイデアを出し合うようになって、『生いちご』などの人気商品も生まれました」と昔を振り返るのは、女将の志村友子さんだ。その「生いちご」を盛りつけるときに、どうしても氷が沈むため、氷の山の一部を削ってみたところ、完璧に安定。かくして名物の“崖盛り”が生まれた。同時に「白玉」もこのスタイルになったという。
見た目のインパクトが際立つが、小豆から丁寧につくられたこし餡のおいしさは言わずもがな。なめらかな口当たりと上品な甘さで、職人の技が光る。白玉は看板商品「九十九餅」と同じ上質な白玉粉を使い、もちもちとした食感で柔らかめだ。氷、餡、餅が織りなすかき氷は究極の冷やしぜんざい。親子3代で食べに来るという、老舗和菓子店ならではの一品だ。
目白 志むら
東京都豊島区目白3-13-3
電話:03・3953・3388
営業時間:9時30分〜17時30分(最終注文)
定休日:日曜、月2回不定休あり
交通アクセス:JR目白駅より徒歩約3分
要予約(https://yoyaku.toreta.in/shimura/#/ より、前日と当日は電話予約、インスタグラムで確認)
『SATSUKI』のパイナップルかき氷?
誰もがうなるスイーツを生み出す、ホテルニューオータニ(東京)の『SATSUKI』。最高級の食材と確かなパティシエの技が合わさると、五感を揺さぶられる異次元の味に飛躍する。夏限定のかき氷もそのひとつ。今年は完熟パイナップルを贅沢に半分使い、ココナッツやライムの風味を効かせた、トロピカルな味わいだ。
シェフ・パティシエの森山雄大さんいわく、「かき氷は自由自在。氷という透明のキャンバスにアイデア次第で、華やかにも、繊細にも、いかようにでも表現できます」
パイナップル、ココナッツ、タピオカは相性のいい王道の組み合わせだが、パイナップルはひまわりの蜂蜜とライムの皮でマリネして華やかに、ココナッツはゼリーにしてつるんとした喉越しを、タピオカは希少なサゴヤシのタピオカを加えて上品なもちっとした食感に。森山さんの手にかかると、なじみの食材のクォリティがググッと上がるのだ。まとめ役の氷は日光天然氷。ふわっと柔らかい氷は、ココナッツソースの甘みをしっかり受け止める。
ホテルで芸術的なかき氷。ゆとりの空間で過ごす時間は、心満たされるひとときである。
SATSUKI
東京都千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ(東京)ロビィ階
電話:03・5275・3177
営業時間:7時〜22時30分(最終注文/かき氷提供は11時〜17時)
定休日:無休
交通アクセス:JR中央線ほか四ツ谷駅より徒歩約8分
※かき氷は2026年8月31日(月)まで。
取材・文/石出和香子 撮影/伊藤菜々子
※『サライ』2026年8月号より












