
マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。今回は、健全な競争を生む組織マネジメントについて考察します。
はじめに
「チームワーク」を履き違え、和気あいあいとした「仲良しクラブ」のような組織を作ろうとしていませんか? 仲が良ければコミュニケーションも活発になり社内の雰囲気も明るくなる、そうなれば売上も上がっていくのではないかと思う上司の方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、仲の良いチームを目指す上司が陥る問題やその解決方法についてお伝えしていきます。
上司が仲の良い組織を作ろうとすることの弊害
会社には様々な価値観を持つ方が入社してきます。そうすると自然と仲良くなる人もいれば、上手く仲良くなれない人もいるのではないでしょうか。このような状況下で上司が仲の良いチームを目指そうと発言してしまうと、価値観の違う人と仲良くするために何を話そうか、どうすれば仲良くなれるかなどと考え、仕事をする上で必要な時間を奪われ、あげくの果てには仲良くなろうと話しかけたのに無視された、嫌な顔をされたなど結局人間関係に悩んでしまうことになってしまいます。
組織が存続する条件とは
上司も仲が良くないと組織が崩れるのではないかと心配してしまうことがありますが、組織が存続する条件とは大きく2点です。
1.同じ目的を共有している
2.外部に有益性を発揮している
同じ目的を共有しているということは会社の目的(理念)のもと集まった人たちであることを認識しているだけでなく、目的(理念)を実現するために設定された会社のルールや、求められる役割を認識して行動している状態を指します。
そして、各人が自らの役割を果たしていくことで外部に有益性を発揮し組織が存続していくのです。仲が良いことが行動の優先順位になってしまうことで、本来仕事としてやらなければいけないこととは別の思考と行動に時間を割いてしまい、外部への有益性を発揮するための役割を果たせなくなってしまいます。
ただし、仲良くする目的ではありませんが、仕事を効率よく進めるために、コミュニケーションのルールや業務におけるルール設定は必要です。それが設定されていないと挨拶をしたのに無視された、私ばかりゴミ捨てをしているが何で他の人は手伝ってくれないのか、メッセージを送ったのに返信がない、といったことが積もり積もって仕事の効率が悪くなり、人間関係にさえ悪影響を及ぼします。そして、仲を取り持つために上司が仲介する時間を割かなければいけないという悪循環にもなっていきます。
そうならないよう、「出社時にあいさつをする」「声を掛けられたら相手の方を向いて返事をする」「メンバー間のメッセージは〇時間以内に返信する」「ゴミ捨ては当番制にする」など、必要なルールがあれば設定して、守らせるのは上司の役割です。
メンバー同士でプライベートなことを話したり、業務時間外で食事に行ったりするのは自然と仲良くなった人がすれば良いし、それを制限する必要もありません。
ただ、仲が良くないからコミュニケーションを取れない、あの人と一緒に仕事は出来ないではなく、仲が良くても良くなくても仕事で自らの役割責任を果たす上でコミュニケーションを取っていく必要があることをメンバーに認識させるのが上司の仕事です。
同じ目的(理念)を共有し、会社のルールを守り、求められる役割を果たすことで外部へ有益性を発揮すれば、友達同士やプライベートでの仲の良さとは別の信頼関係が生まれます。同じ会社でなければコミュニケーションをとることのなかったタイプの方とも仕事を一緒にする中で、お互いの役割が必要不可欠だと認識し、信頼や尊敬が自然と生まれてくるような状態です。会社の上司は仲良くすることを目指すのではなく、是非この状態が自然に生まれるようなマネジメントを実践していきましょう。
競争環境の作り方
組織が外部に有益性を発揮する上で各人の成長が不可欠です。そのために必要なのが競争環境です。役割を果たして目標を達成している人を蹴落とそうではなく、自ら成長する刺激としてやり方を真似してみる、取り組んでいる内容を聞きに行く、追いつき追い越そうと努力する人たちがいる環境が競争環境です。
競争環境を生み出すためには下記4点が重要です。
1.ルールが明確
ルールを明確に設定してメンバーがルールを守っていることを徹底しましょう。また守れていないメンバーには指摘をして改善をしていきましょう。
2.役割が明確
役割を明確化して目標として数値に置き換えて、自らが目標を達成しているのか、他の人は目標を達成しているのかを見える化していきましょう。ただし、目標未達成の人を感情的に否定したりするのではなく、次どうやったら達成できるのかを考えさせて、次の行動を約束させるような理論的な管理をするのが重要です。
3.平等な采配
ルールにおいてベテランだからと指摘しない、言いづらいからルール違反を黙認している状態では平等な采配とは言えません。また、役割を明確化する上で部下の目標設定の難易度を合わせていくことも重要です。感情や上司との相性などによって目標値を上げたり下げたりするのではなく、理論的な根拠を設定して平等な目標設定をしましょう。
4.距離感
上司がある特定の部下と仲が良いなどと距離感にバラツキがあると競争環境は生まれにくくなります。上司はあの人をひいきしているなどと感じたら、いくら目標を達成している優秀な人だったとしても、それを刺激にして成長しようと思わなくなるからです。どの部下とも同じような距離感でいること。個別に飲みに行くことやプライベートで交流がある状態は避けましょう。
また、平等な采配は重要ですが、おかれている環境や取り組む仕事によっては、完璧で平等な目標設定をすることは難しい時もあります。上司が必要な情報を収集したうえで理論的に目標設定して、上司が決断をしたのであればやり切らなければいけないという認識を部下に持たせなければいけません。そのためには、上司と部下の距離感が近すぎると、自ら目標達成において解決しなければいけないことでも、いい訳や不満を上司にぶつけることが多くなり、結果として部下の成長を阻害することになるので注意しましょう。
最後に
「チームワーク」を履き違え、和気あいあいとした「仲良しクラブ」のような組織ではなく、同じ目的を共有して外部に有益性を発揮していくためにチーム内に「健全な競争環境」を作っていきましょう。
仲良くすることを禁じている訳ではありません。「仲が良いから○○できる」「仲が良くないから○○できない」という状況で仕事をするのをやめて、どのような状況でも自らの役割を果たしていくためにどうするべきかを考え行動できるようなプロ意識の高いチームにしていくことが重要です。
個人が成長し、組織が成長して外部からの有益性が発揮できれば、自然と信頼関係や尊敬は生まれてきますので、目の前の仲の良さに一喜一憂するのではなく、上司として必要なマネジメントが何かを見極め取り組んでいってください。今回お伝えしたことがマネジメント力向上にお役に立てれば幸いです。
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