
社内コミュニケーションにお悩みの方は多くいらっしゃるのではないでしょうか? マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)のこの記事で、言葉の定義を明示し、社内コミュニケーションを改善する方法を学びましょう。
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「部下の行動が遅い」「期待していた結果と違う」など、管理者は日々、コミュニケーションのズレに悩まされています。実は、このズレは、「誤解」や「錯覚」から生まれることがほとんどです。
本記事では、このズレを防ぐために不可欠な「言葉の定義の統一」に焦点を当てていきます。この記事を読むことで、貴社の組織コミュニケーションが劇的に改善し、目標達成のスピードが向上することでしょう。
マネジメントのロスを生む「誤解」と「錯覚」の正体
マネジメントにおいて、なぜコミュニケーションのロスが発生するのでしょうか。その根本的な原因は、話し手と聞き手の間で「言葉の持つイメージが一致していない」ことにあります。
例えば、上司が部下に「早めに資料を提出してくれ」と指示したとします。
・上司にとっての「早め」:今日の終業時刻まで
・部下にとっての「早め」:明日午前中いっぱいまで
この場合、部下は「早めに着手している」つもりでも、上司から見れば「行動が遅い」という評価になります。ここで生じているのは、「早め」という曖昧な言葉に対する定義の不一致です。
同様に、「頑張る」「ちゃんとやる」「真剣に取り組む」といった精神論的な言葉や、「リーダーシップ」「ホスピタリティ」などの抽象的な概念も、人によって解釈が大きく異なります。
マネージャーは、部下の思考や感情を直接コントロールすることはできません。しかし、部下の「行動」と「行動の結果」はコントロール下に置くことができます。この「行動」と「結果」を一致させるために、曖昧な言葉を組織内で使用禁止にし、誰もが同じ行動を導き出すことができる「定義の統一」が必須となるのです。
言葉の定義が統一されていない状態は、組織全体に以下のコストを発生させます。
1.時間のロス:認識のズレによる手戻り、確認作業の増加
2.コストのロス:誤った作業による資源の浪費や、結果が出ないことによる機会損失
3.モチベーションのロス:評価基準の不明確さや、無駄な作業によるメンバーの意欲低下
これらのロスを排除することが、効率的で成果の出るマネジメントの第一歩です。
「完全結果」で言葉を定義するマネジメント手法
曖昧な言葉の定義を排除するために、識学的なアプローチでは、言葉を「完全結果」で定義することを推奨します。「完全結果」とは、その言葉や指示が達成された際に、「誰が見ても、計測可能で、解釈の余地がない状態」を指します。
抽象的な言葉を「完全結果」に変換するためのプロセスは以下の通りです。
1.概念を「誰の」「何のための」「いつまでに」という視点で分解する
曖昧な概念(例:サービス向上)を、具体的な行動と紐づけます。
・「サービス向上」の概念を、「お客様へのホスピタリティ」に絞る
・「ホスピタリティ」とは、お客様が「感動した」と感じる状態
・「感動した」とは、お客様が「期待以上の対応を受けたと感じた」状態
2.結果を数値や有無で計測可能にする
「期待以上の対応」を、行動の結果として計測できるように定義します。
【誤った定義の例】
・「丁寧な接客」…人によって解釈が異なるため不適
【完全結果での定義の例】
・「丁寧な接客」…お客様からのアンケートで、5点満点中4.5点以上の評価を獲得すること
・「迅速な対応」…お客様からのお問い合わせに対し、30分以内に一次回答を完了させること
・「資料の完成」…上司によるA判定の承認が下りている状態
このように、感情や意図ではなく、最終的に得られた具体的なアウトプットの状態で定義することで、部下は「何をすればその言葉を達成したことになるのか」を明確に理解できます。
例えば、「責任」という言葉を使う場合、「最後までやり遂げる精神力」といった精神論で定義するのではなく、「与えられた任務に対し、期限までに、設定された完全結果を100%達成すること」と定義します。
ルール違反に対する「懲罰」を明確にする
ルールを定めても、それが守られなければ組織は機能しません。そのため、ルール違反が発生した場合の懲罰(ペナルティ)を明確に設定し、運用することが極めて重要です。
懲罰とは、罰金や感情的な叱責ではなく、ルールを破ったことによる次の行動制限です。
【報告期限のルールを破った場合のペナルティの例】
・次回の重要プロジェクトへの参加権剥奪
・本来得られたはずのインセンティブの減額
この懲罰の明確化と実行によって、メンバーは「ルールを守らないと不利益を被る」という緊張感のある環境で行動するようになり、ルール遵守が徹底されます。
言葉の定義の統一がもたらす組織の変革
言葉の定義を「完全結果」で統一し、それを「行動ルール」に落とし込んで運用することは、組織に以下の大きなメリットをもたらします。
1.評価基準の明確化によるモチベーション向上
「頑張り」や「プロセス」ではなく、「定義された結果」で評価されるため、メンバーは何に集中すべきか迷いません。結果を出せば評価されるという仕組みは、モチベーションと納得感を生み出します。
2.マネジメント工数の劇的な削減
上司は部下の行動プロセスに逐一口出しする必要がなくなり、「ルールが守られているか」というチェックと、「ルールそのものの妥当性」の検証にのみ集中できるようになります。
3.組織全体の再現性の向上
優秀な個人の「感覚」に頼るのではなく、「ルール」という形で組織のノウハウが蓄積されます。誰がやっても同じ結果が出る、再現性の高い組織体制が構築されます。
4.トップメッセージの浸透
社長や経営層が発するビジョンや戦略的な言葉も、「完全結果」に変換されルールに落とし込まれることで、現場の隅々にまで行動レベルで浸透させることが可能になります。言葉の定義の統一は、単なる組織用語集の作成ではありません。それは、マネジメントの曖昧さを排除し、組織を「人」ではなく「仕組み」で動かすための、最も重要な土台作りなのです。
記事のまとめ
マネジメントのロスの元凶となる「誤解」と「錯覚」を排除するためには、組織内で使用する「言葉の定義の統一」が不可欠です。本記事で解説したポイントは以下の3点です。
・曖昧な言葉(「早めに」「頑張る」など)を排除し、「誰が見ても、計測可能で、解釈の余地がない状態」である「完全結果」で言葉を定義する。
・定義した言葉を達成するための行動を、「〜する」「〜しない」という形式で具体的な「行動ルール」に落とし込む。
・ルールをポジションに適用し、ルール違反が発生した際の「懲罰(次の行動制限)」を明確にすることで、ルールの徹底を担保する。
言葉の定義を統一することは、一見地味な作業に見えますが、これが組織に「緊張感のある、集中できる環境」を構築し、結果として組織全体の生産性と再現性を劇的に向上させます。
まずは、あなたの組織で最も頻繁に使われ、最も解釈のズレが大きいと思われる言葉を一つ選び、それを「完全結果」で定義することから始めてみてください。その定義を基に、明日から実施できる「行動ルール」を3つ作成し、組織内で運用を開始してみましょう。この小さな一歩が、貴社のマネジメントを変革する大きな一歩となるでしょう。
【この記事を書いた人】
識学総研コンサルタント:長谷川翔平
株式会社識学編集部/『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作中。3,000社以上に導入された識学メソッドも公開中です。
引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/
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