マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。

成長するためには競争環境が適切に作られる必要があります。スポーツの世界でもチーム内で競争があることで、選手が切磋琢磨し成長します。会社も同じです。そのような成長できる正しい競争環境の作り方やそのマネジメント方法について今回はお話ししていきます。

会社は常に市場の中で競争環境にある

当たり前のことですが、会社は常に市場において競争環境にあります。競争力を失うと会社としては倒産の恐れや業績が悪い場合、従業員の方への給与を支払うことができないのが事実です。昔と比べても新しい技術、製品がどんどん出てきます。また、インターネットの普及により、広告戦略や営業販売の方法も変化し、競争はより厳しくなっています。

社会、市場の変化に対応できない会社は競争で負けていくことになります。つまり、会社は成長する必要があるということです。会社は人の集合体ですので、会社を成長していくためには人の成長が不可欠となります。

市場の変化に対して、自社の強みをより磨くことが、競争環境の変化が大きい現代では重要になってきます。そのため、昨今は従業員研修やDX化などに資産を使っていく会社が増えており、ますます競争環境で新たな価値や生産性を生み出せることに注目されています。

では、会社を成長させるために、どれくらいの従業員の方が成長しているでしょうか。パレートの法則(売上の8割は2割の社員が生み出す)にもある通り、2:6:2の上位2の人だけが、会社を支えるのでしょうか。成長意欲があり頼りになるのは一部の人だけだとなれば会社が成長し続けるのは難しくなります。それぞれの人が自分自身の役割を果たすことが必要になります。

また、がんばっている、与えらえれたことはできているから役割を果たしていると考えることは、未来ではなく過去や現在のことに目が行っている状態です。つまり、自身の成長よりも、できたことを評価してほしい、認めてほしいことに目が行きやすい状況となります。外向きではなく内向きの成長しにくい状況となっているケースが多いのです。

つねに外向きに、例えば、市場や顧客に対して自分たちは何ができているのか、変化に対応しつつ成長することが求められています。評価されない会社にいることは、長い目で見るとリスクとなるため、離職や様々な問題に直面するでしょう。

会社は常に市場の中で競争環境にいることを理解した上で、成長することが必要となります。

成長を阻害する要因とは

成長を阻害する要因を考えてみます。そのために、まずは成長とは何かを考えます。

部下を思い描いて、成長したなと感じる瞬間、自分自身が成長したと感じる瞬間はどのような時でしょうか。それは、過去との比較ではないでしょうか。過去できなかった自分ができるようになっていると自覚した瞬間に成長を感じているということです。

逆に比較することがなければ、成長したかどうかの判断はつきません。逆に言えば、成長を感じないということは、何とも比較がない状況です。自分なりに頑張っていれば結果は後からついてくる、今回は自分なりに頑張ったから誉められるはずなど、このような考え方は比較がない状況です。

つまり、比較する対象がないので、自己完結している状態です。比較がない場合は自分の基準で成長していくので、その人の考え方やどれくらいの基準で行動しているかになります。個人に委ねられた状況です。この状況は、成果を出そうと成長意欲がある人は自然と成長していきますが、ほどほどに頑張ろうや、他の人が成果を出してくれれば自分が成果を出さなくても許されるなどと考えている人は成長しません。

このような会社では、属人的な組織になっており、Aさんはできるのに、できないBさんが悪いと人のせいにしがちです。とは言え、評価制度や育成機能の仕組みがないので、頑張りを評価しない会社が悪いと従業員が陰で話をしているケースが非常に多くなります。

これらはまさに成長を阻害している状況です。ルールが少なく、会社としての基準が曖昧もしくはない場合は、そもそも本人のやる気が影響するため、そのやる気に対して指導することになります。結果、パワハラなどのハラスメントやモチベーションを意識した個別対応が起こり、より管理が緩い状況になります。

管理が緩い会社では比較がされない環境となっているため、成長するにも理由が必要となり、管理者である上司への負担がさらに大きくなります。人間性などの個性で引っ張る必要があるため、対応が難しく、また、なり手がいない等の悪循環を起こします。

このように、基準がない環境が成長を阻害する要因となるのです。会社としての評価制度や育成機能が仕組み化できていることで、上司もコミュニケーションを取りやすくなりますので、そのような仕組みがあるか、それとも属人的になっているかは自社を見て考えてみてください。

自分の過去と今、今と未来との比較、同僚との比較、他社との比較が出来ている会社は競争環境が生まれやすく成長するためのコミュニケーションがとりやすい状態です。もちろん曖昧な基準であったり、基準はあるが機能していない(会議が属人的であるなど)もあり、ただ基準があるだけでは成長環境とは言えませんが、比較は必要です。

そもそも人は生まれた時から、どれを買うか、誰と友達になるかなど常に比較しています。自分自身も他者から比較されているという事実からは逃れられません。だからこそ、会社は何を基準に比較しているかを明確にすることは会社にとって必須事項なのです。

環境が整っているのに、成長しないのは何が問題か

会社が大きくなれば仕組みとして、就業規則、評価制度はじめ仕組みができていきます。環境が整っているはずなのに、人によって成長が異なるのはなぜでしょうか。

識学では、人は自分の置かれた環境を認識して行動に移るとお伝えしています。逆に環境を間違えて認識すれば、間違った行動をするのです。環境を間違える一番の要因は人です。人がゆがめていきます。

昨今では、1on1が流行っています。最近どうですかと始め、部下によりそうことが必要と考えている人も多いようです。1on1は非常に難しく、上司がかなりの準備をして望まないと機能しない仕組みです。「部下に合わせたマネジメント」とは、聞こえはいいのですが、複数いる部下に対して個別にすることで、本来の基準にもとづいた会話ではなく、部下の基準(考え方や価値観)に合わせた話になりやすいのが現状です。

部下は自分が話したことを受け止めてくれる上司に対して、分かってもらえたとなりやすく、逆に伝わらない場合は分かってくれない上司が悪いという状況をつくる要因となります。また1対1ですので、他の人がどのような話をして、どのような行動をしているのかを知らないまま、自分がやるべきことを上司と話して終わります。その内容がその他の同僚と比べて優れているのか劣ってるのか分からないまま、自分なりにやっていくことになります。

比較がない状況をつくることで、認めてくれない上司が悪い、評価に不満だなどと出てきます。1on1での話は比較がしにくい状況であり、成長を阻害することがあります。また、主体的な言動をしてくる部下には効果が得やすいものの、受動的な部下に対しては、上司がつねに励ましたり、すべて指示をしたりすることになり、その部下は指示待ちになりやすく、成長を妨げる要因をつくっています。

1on1がすべて悪いと言っている訳ではなく、比較しづらい環境での会話であることを理解して、そもそもの環境がつくれているかを考える必要があります。競争環境があるということは基準があるということですので、基準がある中での会話ができているかがマネジメントにおいては非常に重要となります。

まとめ

会社は常に競争環境の中にあります。市場で生き残るためにも、従業員も競争環境があることが必要です。競争環境がない、少ない会社では長い目で見ると市場に対しての競争力も落ちます。

また、やり方も昨今の様々な変化(モチベーション管理や離職問題、ハラスメントなど)があり、だからこそ、環境を整え、マネジメントである上下のコミュニケーションも整えていくことが必要な時代になりました。

個人としても成長しなければ希望の仕事ができない時代になってきています。だからこそ、競争環境をつくることで成長できると感じられる会社にしなければ、いい人材を獲得できません。「比較」されることを嫌う人が多いものですが、嫌でも人は比較します。その比較する社会で生きていくために、成長できる競争環境を用意できているかを考えてみてはいかがでしょうか。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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