マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。今回は、注目を集める「ホワイトハラスメント」を取り上げます。

はじめに

近年、「ホワイトハラスメント」という言葉が注目されるようになりました。これは、相手のことを考えすぎた結果、過度な気遣いや配慮が逆効果となり、本人の成長機会を奪ったり、組織全体の生産性を低下させたりする現象です。例えば、「業務の負担を減らしてあげよう」と上司が部下に重要な業務を任せずにいると、部下は成長機会を失い、部下のやる気が低下してしまいます。

ホワイトハラスメントの根本的な問題は、加害者側に悪意がないことです。そのため、行為自体が問題視されにくく、被害者側も「配慮してもらっているのだから……」と意見を言いにくくなり、結果として組織にとってマイナスの影響を及ぼします。

この記事では、このホワイトハラスメントを識学の観点から分析し、組織としてどのように防ぐべきかを考えていきます。

ホワイトハラスメントの具体例とその影響

ホワイトハラスメントは、主に以下のようなケースで発生します。

1.成長機会を奪う配慮

・「新人だから難しい仕事はやらせない方がいい」と考え、挑戦する機会を与えない。
・「忙しそうだから仕事を振らないようにしよう」と考え、実力を評価せずに業務を割り振る。

→ 本人の成長が阻害され、スキルアップの機会が失われる。

2.不公平な待遇の発生

・「家庭の事情がある人には負担をかけないようにしよう」と考え、特定の人だけ業務負担を軽くする。
・「あの人はメンタルが弱いから配慮が必要」と考え、厳しいフィードバックを避ける。

→ 組織内に不公平感が生まれ、他のメンバーのモチベーション低下につながる。

3.本人の意向を無視した気遣い

・「ストレスを与えたくない」と考え、意見を求めずに勝手に決める。
・「負担になるかもしれない」と考え、責任のある仕事を任せない。

→ 本人が主体的に仕事をする機会を失い、やる気を削がれる。

識学の観点から見たホワイトハラスメントの本質

識学では、「組織のルールと役割を明確にし、感情を排除することが重要」としています。ホワイトハラスメントは、この「ルールや役割の曖昧さ」「感情による判断」が引き起こす問題です。

1.ルールではなく「忖度」によって意思決定が行われる

ホワイトハラスメントが発生する組織では、業務の割り振りや評価基準が明確でなく、個人の感情や忖度で決まることが多いものです。その結果、「配慮」の名のもとに特定の人が優遇されたり、逆に成長機会を奪われたりします。

2.役割と責任の曖昧さが成長の機会を奪う

識学では、「役割と責任を明確にし、その範囲で業務を遂行することが重要」としています。しかし、ホワイトハラスメントが発生する組織では、「この人には負担をかけたくない」という理由で、本来の役割が果たされなくなります。その結果、組織全体の効率が落ち、個人の成長も阻害されるのです。

3.感情を優先することで、不公平が生じる

「この人は苦労しているから優しくしよう」「あの人は頑張っているから特別扱いしよう」といった感情的な判断が、組織の公平性を損ないます。本来、業務や評価はルールに基づいて公平に行われるべきであり、個人の事情や感情によって左右されるべきではありません。

ホワイトハラスメントを防ぐための識学的アプローチ

ホワイトハラスメントを防ぐためには、識学の考え方を取り入れ、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

1.役割と責任を明確にする

ホワイトハラスメントを防ぐには、「誰が何を担当するのか」「どこまでが責任範囲なのか」を明確にし、業務を個人の感情ではなくルールに基づいて進めることが重要です。

【具体的な取り組み】

・各メンバーの業務範囲を明文化し、忖度ではなくルールに従って業務を割り振る。
・「この人には負担をかけない」という配慮ではなく、「この業務はこの人の役割である」と明確にする。
・仕事を任せる際には、論理的に説明し、「あなたの成長のために必要な業務である」と伝える。

2.感情ではなくルールを基準に判断する

識学では、組織運営において「感情を排除し、ルールを基準に判断する」ことが重要としています。ホワイトハラスメントを防ぐためには、「個人の事情」ではなく、「組織のルール」に基づいて業務や評価を決めることが必要です。

【具体的な取り組み】

・ルールを統一し、全員が公平に業務を担当する仕組みを作る。
・「この人は特別だから」といった理由で業務を減らさない。
・評価制度を明確にし、「配慮」によって評価が歪まないようにする。

フィードバック文化を醸成する

ホワイトハラスメントは、「相手のために良かれと思っているが、実際には迷惑になっている」ケースが多いため、定期的なフィードバックを行い、相互理解を深めることが重要です。

【具体的な取り組み】

・ミーティングを定期的に実施し、「仕事の配分に無理がないか」を確認する。
・社内相談窓口を導入し、偏った気遣いを防ぐ。
・「負担を減らす」のではなく、「成長機会を提供する」という視点で業務を任せる。

まとめ

ホワイトハラスメントは、「良かれと思った行動」が逆効果を生む現象であり、加害者に自覚がないことが問題を深刻化させます。これを防ぐには、識学の考え方を活用し、以下のポイントを徹底することが重要です。

1.役割と責任を明確にし、忖度を排除する。
2.感情ではなくルールを基盤に意思決定を行う。
3.定期的なフィードバックを通じて「本当に相手のためになっているか」を確認する。

こうした対策を組織に浸透させることで、ホワイトハラスメントを防ぎ、個人の成長と組織の生産性向上を同時に実現できるでしょう。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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