俳優 中村梅雀さん
1955年、東京生まれ。俳優、ベーシスト、作曲家。舞台、映画、テレビドラマで活躍。音楽ライブやコンサートにも出演。曾祖父は初代中村梅雀、祖父は三世中村翫右衛門、父は四世中村梅之助。9歳で初舞台、24歳で二代目中村梅雀を襲名。昨年、芸能生活60周年を迎えた。

「日本のウイスキーは優しくてまろやか。造り手の心情がうかがえます」

俳優でありベーシストとしても活躍する中村梅雀さんは、ウイスキーをこよなく愛する。その梅雀さんが主役を務めるテレビドラマが『BARレモン・ハート』(BSフジ)だ。ドラマではバーのマスターとしてカウンターの中から蘊蓄を傾けるが、今回は客となりマスターが厳選したジャパニーズウイスキーを味わってもらった。

マスターの古谷陸さんから注目のウイスキーについて教わる梅雀さん。棚には常時40種以上のジャパニーズウイスキーが並ぶ。

指南するのは『BARレモン・ハート大泉学園店』のマスター、古谷陸さん(35歳)だ。陸さんの祖父は漫画家の故・古谷三敏さん。ドラマの原作となった漫画『BARレモン・ハート』の作者である。

「大泉学園店」とあるのは、本店はあくまで漫画の中にあるからだ。

左から、マルス駒ヶ岳蒸溜所シングルモルト「駒ヶ岳」、長濱蒸溜所シングルモルト『BARレモン・ハート』特別ボトル、秩父蒸溜所「イチローズモルト」ブレンデッド。いずれも古谷さんおすすめの限定品。

さて、陸さんが選んだのは3本(画像上)。どれも定評のある蒸留所の逸品だ。最初にすすめるのが、マルス駒ヶ岳蒸溜所(長野県)のシングルモルト「駒ヶ岳」。陸さんの知り合いのバーテンダーがセレクトした限定品である。

ストレートをひと口含んだとたん、梅雀さんの顔つきが変わった。

「あ、これは危ない(笑)。62度もあるのに柔らかでスッと飲めてしまう。軟水を使ったジャパニーズウイスキー、優しい味です」

次なる一本は、漫画の『BARレモン・ハート』のマスターを象ったスペシャルボトルだ。長濱蒸溜所(滋賀県)のミズナラ樽で熟成されたシングルモルトである。

「なんとまろやかな! それに何だろう、なんともいえない香りと後味。これがミズナラ樽の味わいですか。苔が生えている日本の森の湿度を感じます」

最後は秩父蒸溜所(埼玉県)の「イチローズモルト」が登場。漫画の連載40周年記念にボトリングした特別なウイスキーだ。陸さんが選んだシェリー樽のモルトとグレーンのブレンデッドである。

「なるほど。シェリーの華やかさを感じます。キャラメルのような滑らかさがフワっと漂います。極上のブレンデッドウイスキーです」

梅雀さんは陸さんが選んだジャパニーズウイスキーに触れて、改めてその実力に感じ入ったようす。

「以前、小諸蒸留所(長野県)を見学したときも感じましたが、造り手の細やかな配慮や工夫によって、ジャパニーズウイスキーの特色が生まれるのだと思います」

年齢とともに深まる味わい

梅雀さんは『BARレモン・ハート』の年末スペシャル番組のためにベースのソロ曲を作った。タイトルは『ドロップス・オブ・ザ・ハート』(心のしずく)。

「お客さんとバーのマスターの心の通い合いをイメージしました。ウイスキーとは、飲み手の心情によって味が変わる心のしずくではないかと。心のしずくは年齢とともに熟成され、味わい深くなっていく気がします」

BARレモン・ハート大泉学園店

バーの一角に古谷三敏さん直筆の額や色紙、漫画『BARレモン・ハート』の関連グッズが飾られている。

東京都練馬区東大泉4-2-15 原田屋ビル地下1階
電話:03・3867・1682
営業時間:18時~24時
定休日:日曜、不定休
交通:西武池袋線大泉学園駅より徒歩約3分

取材・文/宇野正樹 撮影/藤田修平

※2026年「サライ」3月号より

3月号大特集は『ジャパニーズウイスキーを極める』

 

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