「エンゲージメントサーベイ」という言葉をご存じですか? マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」で、「エンゲージメントサーベイ」の意味や目的、効果などについての知見を得ましょう。

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エンゲージメントサーベイとは、従業員と企業との心のつながりを示すエンゲージメントを可視化することです。エンゲージメントサーベイを行って従業員の現状を把握し、適切な対処を施せば生産性やモチベーションの向上が期待できます。

エンゲージメントサーベイの概要や目的と効果、実施のポイントについて解説します。

エンゲージメントサーベイとは、従業員のエンゲージメントを測定する調査

エンゲージメントサーベイは、エンゲージメントを測定(サーベイ)するという意味です。エンゲージメントが高まると、組織が活性化したり、業績が向上したりなど、メリットが多いとされています。

まずは、「エンゲージメント」の意味や似た言葉である従業員満足度との違いについて解説します。

エンゲージメントの意味

エンゲージメント(engagement)は、直訳すると「婚約」「約束」「関与」といった意味です。企業でエンゲージメントという場合は、「従業員と企業との心的なつながり」を指します。

従業員エンゲージメントが高まると、企業に対する信頼感や貢献したいという気持ちが従業員に生まれるのが一般的です。これは企業にポジティブな影響を与えるため、企業はエンゲージメント向上を目指すことが望ましいとされています。

エンゲージメントと従業員満足度の違い

エンゲージメントと似ている言葉に、従業員満足度があります。

「従業員満足度」とは、福利厚生や報酬など企業が従業員に提供したものに対してどれくらい従業員が満足しているかを示す指標のこと。「働きやすさ」の度合いを表すものと言えます。

それに対して、エンゲージメントは、従業員が企業にどのくらいの愛着や信頼を持っているのかを示す指標です。つまり、「働きがい」を調査したものです。両者とも重要な指標ですが、最近はより働きやすさを重視する傾向にあります。

エンゲージメントサーベイの目的

続いて、エンゲージメントサーベイを行う目的について見ていきましょう。大きく3つの目的を紹介します。

現状のエンゲージメントを把握する

企業が従業員のエンゲージメントを高めるためには、まず現状の状態把握が大切です。

エンゲージメントサーベイを行えば、エンゲージメントの高い従業員がどれくらいいるかが分かります。同時に、企業のミッションやビジョンがどれくらい従業員に浸透しているかも確認できる機会になります。

従業員の企業への期待と現実のギャップを可視化する

エンゲージメントサーベイを実施することで、従業員が企業や組織へ求める期待と現状とのギャップを把握できます。

エンゲージメントサーベイによって従業員が企業に何を期待しているのか、反対に何に不満を持っているのかが可視化でき、優先順位の高い課題が見えてくるでしょう。さらに、上司や同僚、部下との関係や、自己成長などについても従業員自身の期待と現状とのギャップにも気づくことができます。

企業の見えない課題を洗い出す

売上や利益率などは企業活動において重視されやすく分かりやすい課題ですが、企業には可視化されていない課題があるものです。

例えば、業績は良いのに次世代のリーダーが育っていない、企業に不満を募らせた従業員が多いなどの課題を抱えている企業もあるでしょう。

エンゲージメントサーベイを行えば、従業員のモチベーションの低下や人間関係の悪化、企業に対する不信感など、数字には表れない課題を発見できます。

エンゲージメントサーベイを実施するメリットや効果

エンゲージメントサーベイの実施で、企業はさまざまなメリットや効果を得ることができます。5つの項目について、紹介します。

従業員のモチベーションの向上

エンゲージメントサーベイを実施することで、従業員の業務状況やコンディションを把握できるようになります。

もし、従業員のモチベーションが下がっていれば、適切なタイミングでフォローができ、対処法を講じることも可能です。さらに、モチベーションアップのための対策も実施できるでしょう。

生産性の向上

エンゲージメントサーベイによって得られたデータをもとに人事施策を見直したり、課題解決に取り組むことで、働きがいを向上させることが可能です。

従業員のモチベーションや働きがいが向上すれば、従業員が自分の仕事に責任を持つようになり、結果としてパフォーマンスや生産性が上がります。生産性の向上は企業としての利益に直結するため、エンゲージメントサーベイを行い適切な対処を行うことは業績向上につながるでしょう。

離職率の低下

エンゲージメントサーベイで、離職の予兆を発見できる場合もあります。

予兆を早めに発見して人事面談などの適切なフォローを行えば、離職率低下に貢献できるはずです。加えて、エンゲージメントサーベイの結果を活用して企業への愛着度や信頼度を深められれば、従業員の定着率の向上につなげられるでしょう。

人事トラブルの抑制

エンゲージメントサーベイの際、匿名性をきちんとアナウンスしてフリーコメント欄を設けることで、企業内の人事トラブルの火種を発見して予防策を講じられるようになります。

対人関係の悩みはなかなか表立って相談しにくいため、匿名性の高い調査であることをアピールすると打ち明けやすくなるでしょう。もし、実際にエンゲージメントサーベイで人事トラブルを発見した場合は、守秘義務を守って調査を行うのが重要です。

従業員エンゲージメントの向上

エンゲージメントサーベイの結果を見ると、従業員のニーズや要望をより具体的に把握できるようになります。それに基づいた改善策を実施すれば、おのずと従業員エンゲージメントの向上が期待できるでしょう。

従業員エンゲージメントが向上すると、従業員の企業への愛着や貢献意欲もアップします。顧客に対して、より企業の魅力を伝えるようになるため、顧客満足度や業績が上がるなどポジティブな影響が期待できます。

エンゲージメントサーベイ実施の流れ

エンゲージメントサーベイを実施するときは、しっかりとした準備とアフターフォロー体制の整備が大切です。エンゲージメントサーベイ実施の流れについて、確認しましょう。

1.目的を明確にする

エンゲージメントサーベイは実施する目的によって、質問の内容や実施方法が変わります。そのため、何のためにエンゲージメントサーベイを実施するのか、目的の明確化が必須です。目的がはっきりしていないと、せっかく調査を行っても、収集したデータを効果的に活用できません。

従業員の満足度を把握したい、従業員のモチベーションを向上させたいなど、具体的に何をしたい・知りたいのか、明確にすることから始めましょう。

2.質問事項を検討する

目的を明確にしたら、従業員エンゲージメントを正確に把握するために適切な質問項目を検討します。従業員が自分の意見を正直に述べられるよう、プライバシー保護への配慮が大切です。

エンゲージメントサーベイの調査項目として、従業員ロイヤルティを計測するeNPS(Employee Net Promoter Score)や12個の質問項目で構成されたQ12などが代表的です。

3.調査対象従業員へ目的や意義を説明する

調査対象となる従業員には、エンゲージメントサーベイの実施を説明して理解、協力してもらう必要があります。調査の目的や理由、内容はもちろん、プライバシーを尊重して個人情報の取り扱いは厳重に行う点についても同時に説明してください。

可能であれば、エンゲージメントサーベイの実施説明会を設けた方が良いでしょう。

4.調査結果の分析とフィードバックを行う

エンゲージメントサーベイ実施後は、必ず結果を分析して従業員へ結果のフィードバックを行います。場合によっては、解決策をすぐに打ち出せないかもしれませんが、その時点での企業としての意向を従業員へ発信することが重要です。

調査結果のフィードバックの実施は従業員の意見を尊重することを意味し、信頼関係を築けます。反対に、フィードバックを行わないと、企業への不信感が生まれる原因となるでしょう。実施後、できる限り迅速にフィードバックを行うことが大切です。

5.定期的にエンゲージメントサーベイを行う

エンゲージメントサーベイは繰り返し行います。エンゲージメントはすぐには向上しないので、調査結果をもとにアクションを起こし、さらにそのアクションに対する測定を繰り返しましょう。

場合によっては、時間の経過とともに新たに別の課題が発生する場合もあります。従業員のエンゲージメントは常に変化するものであるため、その都度分析や施策の実行を行ってください。半年〜1年の一定期間で、定期的に行うのがベターです。

エンゲージメントサーベイを実施する際のポイントや注意点

エンゲージメントサーベイを行う場合、タイミングやフィードバック方法、頻度などについて考えておく必要があります。エンゲージメントサーベイはポイントや注意点を押さえながら、取り組んでください。

適切なタイミングで行う

エンゲージメントサーベイを実施する場合は、タイミングも重要です。組織やチームが結成されてすぐ実施しても、正しいデータは得られません。

また、業務が忙しい時期も回答が雑になってデータの有効性が担保できない場合もあるため、チーム結成後、業務が落ち着いた時期を見計らって実施しましょう。

エンゲージメントサーベイは基本的に定期的に同じタイミングで実施するのが望ましいですが、何度も行ううちに定型業務になってしまう場合もあります。対象者には毎回調査の目的をしっかり伝える点にも注意してください。

エンゲージメントサーベイはフィードバックとセットと考えて行う

エンゲージメントサーベイの結果は必ず従業員にフィードバックします。調査に協力したのに企業から何もアクションがなければ、従業員の不信感が募り、今後の協力を得られなくなるリスクがあります。すぐに施策に活かせなくても、まずは回答へのねぎらいを伝えましょう。

フィードバックはタイムリーに行うこともポイントです。個別にフィードバックを行うのが難しい場合、社内報に結果を掲載するのもおすすめの方法です。

コストや時間がかかるため費用対効果を考慮した頻度で実施する

エンゲージメントサーベイは専門業者に依頼する場合と自社で行う場合とがあります。

業者へ依頼すれば、サービス利用料がかかります。自社で実施する場合でも、専門家やコンサルタントへの監修費が発生する場合もありますし、作成の時間は必要でしょう。

回答時は、従業員の業務時間を使うことになります。実施後の結果分析やフィードバックにも時間が必要です。

エンゲージメントサーベイは定期的に行うのが望ましいですが、複数回行うとその分の費用と工数が発生するため、自社の現状にあった頻度を考えることが大切です。

エンゲージメントサーベイの頻度は、調査方法によって2種類に分けられます。

中長期スパンで行う「センサス」

年に1回など中長期スパンで行われる大規模なサーベイを「センサス」と呼びます。質問項目は50~100問と多く、幅広い項目について調査できるメリットがあります。対象者も設問数も多いため、多角的に課題を検討できるでしょう。

ただし、準備からフィードバックまでに費用面でも時間的にも負荷が大きい調査方法です。また、課題をタイムリーにキャッチアップできない点もデメリットと言えます。

短期スパンで行う「パルスサーベイ」

月に1度などの短期スパンで行うのが「パルスサーベイ」です。質問項目は3~10問と少なめで、コストや業務負荷も少なく、タイムリーに現状を把握可能な点がメリットといえます。従業員のストレスチェックなどで良く用いられる手法です。

ただし、従業員がサーベイに慣れてしまってマンネリ化してしまうデメリットもあります。

エンゲージメントサーベイは目的を明確にして組織作りに役立てよう

エンゲージメントサーベイは、従業員の企業への愛着や信頼などを可視化することです。

目的を明確にしてエンゲージメントサーベイを行えば、企業の課題を明らかにできるため、有効な施策へつなげられ、エンゲージメントの向上が期待できます。さらに、従業員エンゲージメントの向上は、業績の向上や優秀な人材の確保にも有効です。

エンゲージメントサーベイを活用して、エンゲージメントの高い組織作りに役立ててください。

【この記事を書いた人】
識学総研 編集部/株式会社識学編集部です。『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作中。3,000社以上に導入された識学メソッドも公開中です。

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/
コンサルタント紹介はこちらから https://corp.shikigaku.jp/introduction/consultant

 

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