6月18日はおにぎりの日。その日に合わせ、一般社団法人おにぎり協会(http://www.onigiri.or.jp/)が、コンビニエンスストアにおけるおにぎりの人気トレンドを調査しました。その結果をご紹介しましょう、
<調査概要>
調査タイトル:2020年コンビニおにぎり人気調査
調査実施:一般社団法人おにぎり協会
調査対象企業:株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社ファミリーマート、ミニストップ株式会社、株式会社ローソン(50音順)
調査地域:全国
調査期間:2019年4月〜2020年3月
■もはや定番となった「健康」を意識したおにぎり
ファミリーマートでは、前年度に引き続き、スーパー大麦を中心とした商品開発を行っています。今後は、幅広い年代をターゲットに、定番具材である鮭やシーチキンマヨネーズなどもスーパー大麦シリーズとして展開する予定です。
ローソンも健康志向おにぎりとして、もち麦を使用したおにぎりを継続して展開。2020年5月には、見た目がカラフルで楽しい女性向けの新シリーズ「まぜおにぎり」として「5種雑穀の柴漬ひじきおにぎり」の販売を開始しました。
また、セブン-イレブンでは2020年の注力ポイントに「健康感のある雑穀米等を使用した商品を開発予定」と回答があったことから、2020年-2021年も引き続き健康志向のおにぎりが店頭に並ぶことが予想されます。
■人気具材が上位を独占も、アプローチの異なる各社の新作おにぎり
新顔を見ると、昨年度のコンビニおにぎり人気調査(※)のトレンド予想の通り、各社ごとに食感に注力したおにぎりが続々登場しました。
セブン-イレブンは「新潟県産コシヒカリおむすび 塩むすび」や「新潟県産コシヒカリおむすび 熟成炙りたらこ」などの、お米に注力した新商品を発売。お米への負荷を軽減させる精米を可能したセブン-イレブン専用開発の精米機によって、よりふっくらとした口当たりのおにぎりを実現。前述のように、お米の品質を追求した結果、首都圏エリアで販売をしている新潟県産コシヒカリを使用したおにぎりが特に好調でした。
ファミリーマートは「熟成さばおむすび」や「手巻 ザクっとラー油」、ミニストップは「明太バター焼おにぎり」や「ねぎ油香る玉子炒飯」など、両社は風味やこれまでにない食感、見た目に特徴のある新商品を発売。具材の美味しさと満足感のあるボリュームで人気を博しました。
2018年度は「悪魔のおにぎり」が大ヒットしたローソンは、鶏そぼろや福神漬など食感の異なる具材を詰め込んだ「悪魔のおにぎり カレー醤油味」をはじめとする新作フレーバーや、餃子のおいしい具だけや人気料理のやみつきになる部分だけを集めた「ここだけおにぎり」など、今年も一風変わった新商品を発売。トレンドに敏感な若年層のみならず、幅広い年齢層から支持を集めました。ローソンは、「悪魔のおにぎり」ヒットをきっかけに商品の多様化が進んだ印象です。
各社とも定番にせよ新顔にせよ、具材の組み合わせやお米などで「食感」を楽しませようとするものが多かった1年といえそうです。
さらに、セブン-イレブンの「ペヤングそばめしおむすび」やファミリーマートの「味覇チャーハン」、ミニストップの「牛角カルビめし(カルビ専用ごはん風)」、ローソンの「チキンラーメン ローストしょうゆ風おにぎり」など、今年度はメーカーとのコラボ商品も続々登場し注目を集めました。これは、おにぎりの値引きで集客増を目指す従来のやり方に加え、おにぎりそのものに話題性を持たせ、認知や集客を狙おうとする各社の考えが垣間見えました。
■コラボに加えて、次のトレンドは「食材」へのこだわり!
今回の調査で、各社ともにおにぎりの品質を高めるためのお米や具材など食材の質に注力していることが判明。特に、おにぎりの味を左右するメインであるお米は、さらなる美味しさを追求しています。
セブン-イレブンでは、前述のお米の精米方法はもちろんのこと、海苔の焼き方や産地にもこだわり、より「家庭で作るお母さんのおにぎり」に近づけられるよう「進化」させるとのこと。また、雑穀米等を使用したおにぎりの開発にも着手するようです。
「美味しいお米に対するお客様ニーズは継続しており、さらに品質を高めた商品を開発予定」(セブン‐イレブン)
ファミリーマートでは、2019年度に好評だった「塩麴熟成鮭はらみ」や「熟成さば」などこだわりの食材を使ったおにぎりを受け、さらに品質を向上させるためにお米や海苔の選定、具材の調理方法などの見直しを行うとのこと。また、明太子やいくらを使った「魚卵づくし」やたけのこを使った「たけのこづくし」など、その食材を好きな人におすすめの「づくし」シリーズを発売開始。食材本来の味を楽しめる商品を開発していく予定とのことです。
「美味しいお米と海苔、そしてさまざまな食材を使い、お客様に美味しさと食べる楽しさをお届けできるようにしていく」(ファミリーマート)
ミニストップでは、炊飯時の調味液や炊飯油を工夫して粒立ちよくふっくらとした炊きあがりなるようごはんの製法に注力するようです。
「粒立ちよくふっくらとしたおむすびをポイントにこだわって改良していく」(ミニストップ)
ローソンでは、主力商品である「手巻シリーズ」「金しゃりシリーズ」の品質向上にさらに注力するとのことです。
「海苔は手巻シリーズと金しゃりシリーズで産地の異なる海苔を使い分け、お米は厳選した国産米をブレンドし粒立ち良くふんわりとした食感に。引き続き、主力商品の食材にこだわり、品質を追求する」(ローソン)
上記のアンケート結果から分かるように、2020年-2021年は各社、お米の選定や精米方法、海苔の使い分け、具材の品質などを見直し、定番おにぎりの品質をさらに高めて販売する動きが予想されます。
■パッケージの仕様変更で進むプラスチック削減
今や、プラスチックゴミによる環境汚染が問題になり、レジ袋の有料化をはじめ、各業界でさまざまな取り組みが行われています。
そんな、プラスチック問題を軽減するために、セブン-イレブンでは2017年、ローソンでは2020年からおにぎり包材の一部に植物由来のバイオマス原料を活用したフィルムの使用を開始しています。そのほかにも、フィルムの厚みを薄くし、プラスチック使用量を減らすなど、各社ともに環境問題に取り組んでいます。