「南都(なんと)」と呼ばれた奈良に、古くから連綿と受け継がれてきた珠玉の仏教絵画。奈良時代には後世まで規範とされていく国際色豊かな天平絵画が大寺院を彩り、平安時代になると貴族好みの優美な仏画が盛んに礼拝されました。南都仏教の復興期にあたる鎌倉時代以降、天平の図像に基づく復古的な仏画が描かれるようになるとともに、「南都絵所(なんとえどころ)」と呼ばれる奈良の仏画工房に所属した絵仏師たちが、仏画や絵巻の制作、さらには仏像の彩色にも携わるようになりました。

奈良国立博物館蔵
◎展示期間7月18日〜8月16日
奈良国立博物館で開催の「ボストン美術館共同企画 特別展 南都仏画―よみがえる奈良天平の美―」は、南都仏画の歴史を選りすぐりの仏画・仏像の名品とともにたどる初の試みです。(7月18日~9月13日)
本展の見どころを、奈良国立博物館企画課長の谷口耕生さんにうかがいました。
「奈良国立博物館で開催される「南都仏画」展は、かつて「南都」と呼ばれた奈良の地で1300年にわたり受け継がれてきた仏教絵画の至宝が集まる特別展です。アメリカのボストン美術館との約20年もの構想を経て実現した国際共同企画であり、海を渡った名品たちの「里帰り」とともに、国内の国宝や重要文化財が一堂に会します。その見どころは大きく3つあります。
1つ目は、ボストン美術館のコレクション帰還です。明治期にフェノロサや岡倉天心が絶賛し、流出の危機から守られた天平仏画の名品「釈迦霊鷲山説法図(しゃかりょうじゅせんせっぽうず)」などの傑作が、一挙に奈良へ里帰りを果たします。

奈良時代(8世紀)ボストン美術館蔵
◎通期展示 William Sturgis Bigelow Collection Photograph(C)Museum of Fine Arts, Boston
2つ目は、幻の名刹「内山永久寺(うちやまえいきゅうじ)」の至宝の集結です。「西の日光」と称されながらも明治の神仏分離で廃寺となり散逸した、ボストン所蔵の「四天王像」や世田谷観音寺所蔵の「不動明王および八大童子像」などゆかりの仏像・仏画が奇跡的に再会し、往時の栄華を再現します。

鎌倉時代・建長5年(1253)頃 重命筆
ボストン美術館蔵 ◎通期展示
Fenollosa-Weld Collection Photograph(C)Museum of Fine Arts, Boston

鎌倉時代・文永6年(1269) 康円作
文永9年(1272)重命彩色
東京・世田谷山観音寺蔵 ◎通期展示
3つ目は、南都仏画の原点「法隆寺金堂壁画(ほうりゅうじこんどうへきが)」です。遣唐使がもたらした大陸の表現を映す力強い線描と豊麗な彩色の魅力を、昭和24年の火災前に写された忠実な模写などから紐解きます。

昭和15~26年(1940~1951)入江波光ほか筆
奈良・法隆寺蔵
◎展示期間8月18日~9月13日
時空を超えて奈良の地に集結する祈りの美を、ぜひ会場で心ゆくまでご堪能ください」
【開催要項】
ボストン美術館共同企画 特別展 南都仏画―よみがえる奈良天平の美―
会期:2026年7月18日(土)~9月13日(日)
前期7月18日(土)~8月16日(日)
後期8月18日(火)~9月13日(日)
会場:奈良国立博物館 東西新館
住所:奈良県奈良市登大路町50
電話:050・5542・8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://nantobutsuga2026.exhibit.jp/
開館時間:9時30分~17時、土曜日は~19時、8月5日~7日及び8月9日~14日は~18時(入館はいずれも閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし7月20日、8月10日は開館)、7月21日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝











